今知っておくべき感染症の基礎知識#392

Voicy更新しましたっ!

今回も新型肺炎に関連して、今だからこそ知っておきたい「感染」・「感染症」という言葉のお話

健康情報を声で聞ける!

医療・健康ナビ なくすりーなはこちらから聞いてみて下さいね^^v

「感染」・「感染症」のお話

連日、全国規模で報道されている「新型コロナウイルス」の問題ですが、国内でも徐々に感染者数が増えており、報道がますます過熱していきそうな現在です。

今回はその「感染」ということ、そして「感染症」について、今だからこそ詳しくお話していきますので、是非参考にしていただければ幸いです。

感染とは

voicyでも度々出ていて、世間でも何気なく登場する「感染症」とか、「感染する」という言葉ですが、これを具体的に言うと「体に入った病原体が、その中で増えてしまうこと」となります。この病原体とは、体に悪い影響を与える、目に見えない微生物のことです。

大きさ順に言うと、この新型コロナウイルスや前回も含めて何度も登場しているインフルエンザウイルスのような「ウイルス」が最も小さい種類になります。

次がかなりマイナーですが、腸チフスのような虫の中に存在している「リケッチア」、性病で有名な「クラミジア」、そして「細菌」と続きます。

例えば大腸菌に善玉菌と悪玉菌がいるように、良い影響を与えるものもあるのが細菌です。

そして、細菌よりも大きいのが「真菌」と言い主に水虫の原因菌で、その上が原虫と言い、虫に近い種類で、マラリアの原因体が当てはまります。

最も大きいのが、いわゆる「寄生虫」で、少し前に話題になったアニサキスもこれになります。

これらが何らかの原因で体に入って、体の中で増殖した状態が「感染」となります。

病原体によって引き起こされた病気を「感染症」

そして病原体によって引き起こされる病気のことを総称して「感染症」と言います。

なので、言ってしまえば腐敗して悪い菌がいっぱいいるものを食べてしまって起こした「食中毒」も、感染症の一つと言えます。

またこれに関連して、まさに今、徐々に知られていることと思いますが、感染したからと言って必ず症状が出る、ということでもありません。

菌を持っていても症状が出ない場合、つまり感染をしていても症状が出ないという事がありますが、何らかの拍子で発症して、感染症にかかることは充分あり得ます。

感染に至る三つの要素

簡単にまとめると、ウイルスや細菌が体に入ることで感染となる、という事ですが、その感染に至るまで、つまり体に入るまでには3つの重要な要素があります。

それは「感染源」「感染経路」「感染の受けやすさ」になります。

まず一つ目の感染源とは、文字通り「源」となる部分で、生きた菌が確実に含まれている「もの」のことです。

せきによって飛散したつば、くしゃみによる鼻水と言った体液はもちろんですが、例えばノロウイルスにおいて有名な、吐いてしまったものも一つの感染源になります。

そして次が、その菌は主にどのような経路でうつっていくか、ということです。

感染経路は前述の病原体によって様々あり、ウイルスと原虫、寄生虫とでは全く大きさも重さも違うため、いくつか種類があります。

有名な、主な経路は3つあり「空気」「飛沫」「接触」です。

空気感染が最も広がりやすく、ウイルスや菌そのものが空気中に漂い、何気なく呼吸するだけで体内に入り感染する恐れがあるタイプになります。

これは以前もお話しましたが、麻疹、水疱瘡は空気感染する代表的な病ですので、小さいお子さんが居る方は充分注意してください。

次が飛沫感染で、飛沫そのものを吸い込むことで感染するタイプです。

そして、接触感染が最も多く、この新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスも飛沫感染と接触感染によってあらゆるところに広まって行きます。

例えば駅の手すり、ドアノブ、つり革などに菌が付着して、そこを触った手で鼻や口を触ったり、目をこすったりして菌が入ってしまうと、接触感染となります。

ちなみに、手に菌がついた状態で、何かの食べ物を触って食べてしまい、食中毒といったような何らかの感染症が起きた場合は、経口感染という接触感染の一種となります。

感染の受けやすさ

そして最後の要素となる「感染の受けやすさ」ですが、これはやはり「免疫力」が大きい要素です。

前述した、感染しても悪い影響が出ず、特に気付かないケースは、その人の免疫力が病原体よりも強く、菌を持っていても病気にならないように抑えつけているのです。

しかし、ストレスがあったり睡眠がとれていない時のような、免疫力が落ちている時に発症してしまうとか、高齢者や赤ちゃんのような免疫が不十分な方だと、感染してすぐに発症する可能性が高い、ということです。

そして、今現在のような新型ウイルスの大流行中には、一体どうするのが一番良いのか、という事ですが、それはこの3つの要素に注意するほかありません。

感染源・感染経路を断ち切り、免疫力を高めること

この3つはどれも欠かせない要素で、ウイルスや菌を寄せ付けないためには、全てに充分な対策をする必要があります。

まず感染源は、これは夏場の食中毒のお話でよく出てきますが、食器類や衣類、寝具類をしっかりと洗って、消毒するのがベストです。

これは特にお子さんやお年寄りの方の、看病の際に特に有効ですが、一人暮らしなどであれば、「感染経路」を断ち切ることを一番に注意するのがおすすめです。

例えば前述した接触感染を防ぐために、帰って来たら出来るだけ何も触らないで、すぐさま手洗いや消毒をして、手をきれいにするとか、スマホもアルコールでさっと拭いて消毒をすると、より効果的だと思います。

さらに、冬場ということもあり、外に出るときは手袋をするのも対策の一つになります。ただし、その手袋のまま顔を触ってしまうと、結果的に同じことですので、気をつけてください。

もう一つ、インフルエンザ予防で何度かご紹介しましたが、お茶や水分をこまめにとって、喉の粘膜が乾燥しないようにしておくのも手です。

そして最後、バランスの良い食事と充分な睡眠をとって、免疫力を維持することが重要です。

新型コロナウイルスではまだありませんが、インフルエンザや帯状疱疹などはワクチンがあるので、年齢的に不安があるとか、春の受験や繁忙期など、ここぞというところで休めないという時は、ワクチンも活用しながら、十二分に対策をして行きましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属