秋の体調不良はどこから来るの?#645

秋特有の体調不良の原因

今年も9月に入り、夏が終わって秋を迎えました。

いわゆる「季節の変わり目」には、様々な体調不良が起きますが、暑さから寒さに変わるこの季節は、特に気分が優れないということが多いです。

これまでもたびたび、秋バテなどの回で、秋特有の体調不良についてご紹介していますが、今年も今一度注意して、秋口を乗り越えていきましょう。

朝夜の寒暖差が激しい

秋の体調不良の大きな原因の一つが、朝と夜の寒暖差です。

夏場は日中はもちろん、夜も熱帯夜が多く、ほぼ24時間暑さが続く時期と言ってもいいほどですが、秋口は夕方や夜になると急激に気温が下がり、自律神経が乱れやすくなります。

さらに加えて、台風や秋雨前線が来やすい時期で、低気圧が活発になる季節でもあるため、人によっては天気痛も併発することがあります。

天気痛は358回で詳しく触れていますが、いわゆる「古傷が痛む」というような感じで、天気の悪さや気圧に変動によって体調を崩すという症状のことです。

低気圧で体調が悪くなるのは精神的な要因もありますが、実際に空気中の酸素濃度が下がるのも原因の一つです。

酸素濃度が下がることで、頭痛やめまい、だるさといった症状が起き、同時に自律神経にも影響が出ます。

酷い場合では食欲不振や胃もたれ胸やけなど、消化器系に影響が出るケースもあります。

ちなみに421回では自律神経に関することをまとめてありますので、よかったらそちらも参考にしてみてください。

もう一つは、日の短さも夏と秋で大きな違いがあります。

夏至から冬至へと変わるこの季節は、日の短さが特に顕著になり、睡眠に影響が出たり気分が落ち込みやすくなります。

実際に「季節性うつ」という言葉もあり、うつの症状の一つとして存在します。

生活リズムを整えることが大切

秋の体調不良は、いずれも自律神経の乱れが最大の要因ですので、自律神経を整えるようにするのが重要になります。

特に、前述のように日の短さなどもあるため、生活リズムが狂わないように、規則正しく生活するのが大切です。

できるだけ同じルーティンで過ごせると自律神経は乱れづらくなり、落ち着いていくため、体調が整いやすくなります。

とはいえ、生活リズムを整えると一口に言っても難しいことが多く、例えば運動を習慣づけるのもかなり難しいと思います。

これはvoicyでも度々触れていますが、エスカレーターやエレベーターを使うところを、一部分だけ階段を使ってみるなど、些細なもので十分です。

習慣づけることももちろん重要ですが、「今、運動している」と意識して、体を動かすことが重要ですので、毎日の動きの中で、少しでも運動になりそうなことがあれば、是非それを意識して、実践してみてください。

次に食事ですが、やはり体を温める系のものがおすすめです。

夏場もできるだけ内臓を冷やさないようにする食べ物が大切ですが、秋は特に寒暖差も激しいため、冷やさないようにする対策が重要になってきます。

根菜類やスパイス系をふんだんに取り入れたカレーやお鍋などがとてもおすすめです。

普段の生活の中では、一つ羽織れるものをもって、日中は脱いで過ごして帰りや夜には着て体を冷やさないようにする、というのも良い対策になります。

ビタミンB系のサプリメントが便利

最後にサプリメント、お薬についてですが、バテてしまって疲れの症状が重いというときは、ビタミンB系のサプリメントがおすすめです。

ビタミンB群は体のエネルギーに関わってくるビタミンですので、ビタミンB群を補給すると疲れやだるさが改善する可能性が高いです。

食べ物でいうと特に豚肉に豊富に含まれています。

気圧の変動による頭痛やだるさの場合は、サプリメントでは改善は難しいですが、「五苓散(ごれいさん」という漢方薬が非常に効果的です。

東洋医学では、めまいや頭痛は、頭の中に水分が多すぎるから、という考え方をしており、五苓散によって余分な水分を取り除く、ということをします。

商品名でいうと小林製薬さんから「テイラック」という名前で、五苓散を主成分としたお薬が市販されており、テイラックという名前も、低気圧の時に飲むと症状が改善される、楽になるということから「テイラック」と名付けられています。

次に食欲不振と同時に胃もたれや胸やけなど、胃腸が弱っている場合は「六君子湯(りっくんしとう)」が、そして胸やけなどの症状と同時に食欲もなく、元気も出ない場合は「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」という漢方が便利です。

食欲はあるけど元気が出ない、調子が戻らないというときは「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」、「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」がおすすめです。

これらの漢方薬は、いずれも2週間ぐらいは使ってみてください。

カフェインのように飲んで数分や数時間でスッキリ改善されるというものではないため、最低でも2週間程度は飲んでみて、徐々に回復している気分がするか、もしくは何も変わらないか、判断して頂ければ幸いです。

上記の漢方薬はいずれも薬局で零売されていますので、興味があれば、是非試してみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属