BA.5の大きな特徴「喉の痛み」
当薬局なくすりーなでは、深夜の時間帯でも処方箋を請け負っております。
深夜に来る処方箋のほとんどは急性期で、発熱や喉の痛みといった、既に起きている症状をすぐに抑えるお薬を必要としています。
割合で言うと8割の方がcovid-19による症状で来られており、その中でも特に多いのが「喉」の症状です。
喉のお薬は実際に薬局でも手に入りにくくなってきており、オミクロン株のBA.5の最大の症状は喉だと、肌で実感できているほどです。
今回はこのBA.5と喉の痛み、症状について、最新情報も交えながらお伝えしていきます。
多くは2日から5日間で改善
BA.5による喉の痛みは、海外のデータで言うとイギリスでは感染した方のうち59%の人が、ノルウェーでは72%の人が喉の痛みを訴えているとされています。
イギリスもノルウェーも、発熱や咳、だるさといったほかの症状もありますが、喉の痛みが突出して多いことが明らかになっています。
いずれのデータでも、およそ2日から5日間で、徐々に咳や鼻水といった症状に変わっていき、治っていくとされています。
こう聞くと、今の時期に喉の痛みの症状が出るとBA.5に感染したのでは、と思われそうですが、喉の痛みが大きな症状となる感染症は非常に多岐に渡ります。
例えば溶連菌は発熱と喉の痛みが大きな症状で、つばを飲み込むのも辛いほど痛むことがありますが、BA.5も同じようにつばを飲み込めないほど痛むことがあります。
もし溶連菌であれば抗菌薬が必要ですが、BA.5であればウイルスですので抗菌薬は効きません。
抗原検査で確認ができる
喉の痛みが溶連菌などによるもので、covid-19でないかどうかを簡単に確かめられるのが、抗原検査です。
ただ、店舗や街頭で行っている無料検査は、無症状の方を対象としていることが多いため、喉が痛いという症状が出ている場合は利用できないことがあります。
その場合は各自治体から、有症状者向けに配布されている抗原検査キットを使用してください。
以前、PCR検査と抗原検査についてまとめた回にも重なりますが、抗原検査はPCR検査よりも精度が低いと言われがちですが、症状が出ている場合ではほとんど変わらないという点があります。
何らかの症状が起きている場合は、体内でウイルスの量が充分にある証拠ですので、結果がわかりやすいのです。
反対に、感染者と接触して時間が経っておらず症状もない場合では、体内のウイルス用が少ないため抗原検査では正しい結果がわかりにくい、ということです。
安静にして喉を休める
喉の痛みの症状が出た時は、まずできれば安静にしてください。
炎症が起きている表れですので、寝て休むことで回復していきます。
症状が喉の痛みだけで、筋肉など体への症状は出ていないと、どうしても動きたくなる気持ちもわかりますが、いわば風邪をひいて免疫が戦っている状態ですので、動かず安静にして休むことが一番の回復になります。
難しい場合は、喉だけはいたわって休めることを意識してください。
大きな声を出したり話すことはもちろんですが、例えばたばこを吸ったり、スパイスなどの刺激物をとったりすると、喉へはダメージになるため回復が遅くなります。
そういったものをいったん控えて、水分を多めにとってください。
喉の痛みが激しくても、ほんの少しずつでも、舐めるようにでもいいので取るようにしてください。
それでも痛くて全く受け付けない場合は脱水症状の恐れもあり、痛みも激しいはずですので病院に行って点滴などの処置をしてもらってください。
とる水分はできればお水で、カフェインが入っているお茶などは不向きですので避けてください。
ちなみにのど飴やハチミツ、トローチといった物ももちろん効果的です。
特にハチミツはもともと炎症を抑える効果があるため、喉には非常に良い栄養になります。
ただ、ハチミツは1歳未満のお子さんには禁物で、乳児ボツリヌス症という病を引き起こすため、1歳未満のお子さんには絶対に与えないでください。
痛いときにおすすめのお薬
最後に、痛みが出ているときに便利な市販薬ですが、現在一番使われているのは「トラネキサム酸」という成分が入ったお薬です。
製品名でもそのまま「トラネキサム酸」という名前で出ることが多く、最初に出た先発医薬品では「トランサミン」という名前でも出ています。
市販薬で言うと、ペラックTというものが購入できます。
喉の痛み、炎症は、その箇所に「プラスミン」という成分が増殖しており、それが痛みを引き起こす最大の元凶となっています。
トラネキサム酸はプラスミンが増えるのを抑え、炎症を鎮めていくという働きをします。
ちなみに喉の痛みや風邪の症状には漢方薬が非常にたくさんの種類があります。
特にご存じの方も多い、風邪の引き始めに有効な「桔梗湯(ききょうとう)」は、喉の痛みにも高い効果があります。
桔梗湯は飲み方が若干特殊で、コップ半分ほどのぬるま湯に桔梗湯を溶かして、それをすぐに飲むのではなく一旦うがいをしてから飲み込みます。
痛みが強いなどでうがいが嫌な場合はそのまま飲んでも大丈夫ですが、うがいをするとよく効くのでおすすめです。
喉の痛みが特に強い場合は、「桔梗石膏(ききょうせっこう)」という漢方薬もあります。
これは石膏という成分が炎症を抑える効果が強く、それと桔梗とを併せてることでより強く炎症を鎮めていきます。
もし手軽に、飲みやすい漢方を、という場合は、駆風解毒湯(くふうげどくとう)トローチというトローチがあります。
駆風も喉の痛みに非常に強く効く漢方で、それをトローチにした製品です。
味は特においしいわけではないですが、効果は高いです。
最後に、BA.5による喉の痛みが強く残っているような場合には、「小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)」がおすすめです。
これは初期症状の喉の痛みにはあまり使わず、発熱などの症状が落ち着いて治って来ているものの、喉の痛みなど喉の症状だけが長引いて残っている、というような時に効果的な漢方です。
ただ、このいずれの漢方も、最初に書いたように最近では在庫が減ってきており、手に入りづらくなっている印象がありますので、注意してください。