秋は白内障にも注意が必要?#647

秋に注意したい「白内障」

今回は、秋こそ気を付けたい「白内障」のお話です。

白内障というと目の病気の一つで、特に季節は関係なさそうですが、実は夏よりも秋ごろから、寒くなって来てからリスクが高まる病の一つです。

今回はこの白内障という病について詳しく掘り下げていきます。

水晶体そのものが濁る

白内障とは、簡単に言うと水晶体が濁る、という病です。

水晶体は目のレンズになる部分で、外からの光を集めるという役割があります。

この水晶体が老廃物などにより、元々は透明できれいだったのが徐々に白く濁ってきます。

濁ってくると、目がかすみやすくなったり、視界がぼやける、光が異常にまぶしく感じる、などといった症状になって現れます。

これらはいずれも、疲れ目でも同じような症状がおこるため見分けがつきにくいですが、疲れ目は血行不良などで目の奥が疲れてるとか、肩こりや体のだるさなどほかの症状も起こることが多いです。

つまり、目の見え方だけが異変を起こしていると、白内障という可能性がある、と言えます。

白内障の原因の大半は加齢で、単純にレンズが汚れてくる、というのが大きな原因です。

そして白内障は進行が非常にゆっくりで、早い方だと40代から進みますが、すぐには気付かないことが多いのも特徴の一つです。

ちなみに加齢以外だと、糖尿病やアトピー性皮膚炎などの病から、白内障が引き起こされることもあります。

空気が澄んで目に紫外線が入りやすい

秋に白内障のリスクが高まるのは、寒くなってくると空気が澄み、紫外線が直接目に入りやすいためです。

夏のただ強い日差しとは違い、紫外線がダイレクトに目に入りやすくなるため、水晶体へのダメージがかかりやすいのです。

ですので、秋でも天気のいい日に外に出る場合は、サングラスなどがあると目が守られるため便利です。

白内障の治療は手術のみ

白内障は、現在の医療では、手術以外で治療することはできません。

白内障に効くという目薬は、昔から現在でも市販されていますが、それらは今以上に老廃物がたまらないようにするお薬や、老廃物を外に出すという働きができるだけで、一度濁った水晶体を戻すには手術をするしかありません。

進行を遅らせるために、予防となるのはやはり、目への刺激を減らすことが一番です。

外では紫外線、家ではブルーライトの対策をしておくのがおすすめです。

サプリメントでは、ルテインという成分や、ポリフェノールが豊富に含まれるブルーベリー系のサプリメントが効果的ですが、前述のようにいずれも白内障の進行が遅くなるだけで、元に戻るということはありません。

「目の手術」が怖いとき

最後に、白内障の手術についてですが、水晶体を取り換える作業をします。

白内障に限らず、「目の手術」というものはいくつか種類があり、基本的にはどれも「怖い」イメージがあると思います。

なるべく手術をせずに、目薬などで治したいという方も多いと思います。

目薬で進行を遅らせていくのか、手術に踏み切ってきれいに治すのかを考えるタイミングですが、まず大切なのは日常生活に影響が出ているかどうかです。

日常生活に影響が出ていればすぐに手術をすることをおすすめします。

そしてもう一つ、手術が遅れると緑内障など別の目の病が引き起こされるケースもあることを知っておいてください。

緑内障も加齢によって起こる目の病の一つで、眼圧が必要以上に上がってしまい、最終的には失明に至るという重大な病で、緑内障は手術が非常に難しいという特徴があります。

こうしたことは眼科のお医者さんとも話していくと思いますが、自分の環境や実際の症状を鑑みながら、ベストな治療法を探っていくのが確実です。

ちなみに、白内障の手術は濁った水晶体を取り換える作業ですが、今では遠視用近視用のものは保険適用されるうえに短時間で終わります。

メガネのように、自分に合わせて遠視用か近視用かを選んで手術を行います。

さらに現在は保険適用外ですが、遠近両用のものも出てきており、選択の幅が広がっていますので、白内障の治療の際にはお医者さんに相談してみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属