喉の痛みの対処
先日コメントにて、咽頭炎と診断されたがお医者さんから「薬を飲まなくても自然に治ります」と言われたものの未だに治らない、というものをいただきました。
風邪をひいたときにしばしば出て来る「喉頭」や「咽頭」という部位ですが、これらは「上気道」を構成する部位のことを指します。
口や鼻から取り込んだ空気が、喉で合流して気管を通って肺に入っていきますが、上気道のどこかに細菌やウイルスが感染して、炎症を起こしている状態を上気道炎と言い、いわゆる風邪をひいたという状態になります。
今回コメントで頂いた「咽頭」ですが、咽頭は3つに分かれており、鼻に近い側が上咽頭、次いで中咽頭、そして喉に近い側にある下咽頭の3つです。下咽頭で、鼻からの空気と口からの空気が合流して、肺に入っていきます。
今回は主にこの咽頭について、詳しくまとめていきたいと思います。
咽頭炎も喉頭炎も2週間前後で治る
咽頭に続いて出て来る「喉頭」と言う部分ですが、喉頭は下咽頭のさらに下の部分、声帯や声を出しているあたりのことで、文字通り喉の部分になります。
扁桃腺もこの部分にあり、喉のところにあるリンパの免疫を司る場所が扁桃腺で、白血球などが多く溜まっており、ここに炎症が起きると扁桃炎となります。
症状でざっくり分けると、飲み込む時に激痛が起きるものの咳はほとんどでないというのが扁桃炎で、咽頭炎は飲み込む時も痛くて咳も出ることが多く、咽頭炎は声が出しにくいとか声が枯れるという症状が強い、という風に見分けられます。
そして、この咽頭炎、喉頭炎、扁桃炎はいずれも、長くても2週間ほどたてば自然と回復していくことが大半です。
ただし、なかなか治らないこともあり、慢性的に炎症が起きてしまうケースも多々あります。
例えば鼻の奥から喉にかけて鼻水がずっと降りてくるような症状を「鼻漏」と言いますが、これも慢性的な咽頭炎の一つになり、今回のケースでは鼻声がずっと続いて治らないという事でしたが、それも咽頭炎が慢性化している表れと言えます。
炎症を起こしやすいのは上咽頭で、その部分の炎症が重くなると首がこったり、頭痛やだるさと言った全身の不調に繋がっていきます。
その原因はまだはっきりとしたことが分かっていませんが、一つは上咽頭の周辺には血管やリンパ管が密集しており、そこで炎症が起きてしまうと、体内で炎症が起きていることを示す物質が分泌され、それが血管やリンパ管を通じて全身に回ってしまい、体が不調な状態だと認識してしまっているという説があります。
もう一つが、上咽頭の近くには神経線維も密集しており、その中には脳の迷走神経と自律神経の末端もあり、それが刺激されてしまって様々な不調となって現れる、という説です。
また最近ではcovid-19の後遺症によって、慢性上咽頭炎になったというケースもあるようです。
風邪が長引いている、という時は、こうした他の影響もあって、なかなか体力が回復しないという可能性もあります。
喉の炎症を抑える薬
咽頭炎は自然と治っていくことが大半ですが、慢性的なものだったり重いものだと、お薬でも治療できます。
covid-19の回で時折登場している、トラネキサム酸はもちろん効果がありますが、うがいのお薬でも治っていくことがあります。
耳鼻科での処置は、ネブライザーという鼻に吸入するお薬を使って、上咽頭に直接あてることもします。
最近では鼻うがいのお薬が販売されており、これを使えば自宅でネブライザーのような治療ができるためおすすめです。
さらに、耳鼻科では上咽頭炎の際にはBスポット治療という方法が使われることもあります。
Bスポット治療とは簡単に言うと、長めの綿棒を使って炎症を起こしている部分に直接お薬を塗る、という方法です。
鼻からが多いですが、場合によっては喉からも綿棒を直接挿入し手お薬を塗ります。
Bスポット治療は何度か通院して行う必要がある上に、完全なエビデンスがある治療ではなく、現在も議論が交わされている手法の一つですが、行っている病院もあるため、もし慢性的な炎症でお悩みの場合は検討してみてください。
最後に、自律神経が乱れていることで、炎症が長引いているという可能性もあるので、きちんと睡眠をとるとか、ストレスを溜め込まないでしっかりと休むことも充分に意識してください。