よくあるおなかの痛みの対処法は?#676

おなかが痛い時の対処法

最近、年末年始のせいか不明ですが、おなかの調子を崩す方が増えて来ている印象があります。

おなかの痛みと言えば、ノロウイルスのようなウイルス性の胃腸炎などが代表的ですが、痛んでいる場所によって原因となっているところが合う程度分かります。

例えば、みぞおちの周辺のような、おなかよりも胸に近い方が痛い時は、十二指腸などを含めた胃の方に原因があることが多く、逆におへそなど下の方が痛いときは胃よりも小腸や大腸に異変があり、またおなかの右側であれば胆石や虫垂炎、左側であれば大腸や尿路結石が起きている可能性があります。

さらに女性の方であれば生理痛のような、単なる胃腸の痛みではなく婦人科系の病が起きていることも考えられます。

今回はざっくりと「おなかの痛み」という事についてまとめて行きたいと思います。

2種類の痛み

おなかの痛みは大きく2種類あり、一つが酷く強い痛みが「体性痛」というものです。

痛みが強まったり弱まったりというような波が無く、痛みがずっと続くタイプで痛い位置が分かりやすく、痛いところを押したりして刺激すると痛みがより強まるのも特徴です。

体性痛が起きている場合は、その部分で胆石や尿路結石のようなものが大きくなっている可能性があり、緊急で処置が必要なことが多いです。

もう一つが、痛い場所がはっきりとせず、また痛みの波もある「内臓痛」です。

例えば1回痛みが引いて治ったと思っても少し経つとまた妙に痛みが出る、というようなときは内臓痛になります。

内臓痛の場合は痛みや冷や汗や吐き気なども併せて出ることもあり、重いと意識がもうろうとしてくることもあります。

鋭くはっきりとした痛み、というよりも、差し込むような重い感じの痛みが内臓痛です。

起きている病によっては、最初は内臓痛のような痛みでも、だんだんと痛い部位がはっきりしてきて痛みも強まって体性痛に変わって来るというケースもあるため、一概には言えませんが、おおむねこの二種類に分けられます。

痛み止めが効かない痛みも

おなかが痛いときは、まずおなかを温めて見てください。

横になって休むのも良いですが、毛布や腹巻などでおなかをくるんだり、カイロがあればカイロを使っておなかを温めてみてください。

低温やけどには注意が必要ですが、少し温めて痛みが落ち着いてくるのであれば問題はない事が多いです。

腹痛に効くお薬は、古来からあらゆるタイプのものが販売されていますが、全ての痛みに効果があるわけではないので、痛みの部位によって使い分けるのがベストです。

おなかの上側、みぞおちのあたりが痛い場合は胃酸が原因であることが多いため、ガスターのような胃酸をとめるお薬が便利です。

それよりも下の方が痛いときは、大腸に原因があることが多く、便秘や下痢なども併発していることがあるため、整腸剤や下剤がおすすめです。

どちらかというと整腸剤を使って、あとは温めたり食事を見直すなどで対処するのが安全です。

もし便秘や下痢が無いのに痛む場合は、ブスコパンという薬を使うと早く楽になることが多いです。

女性で生理痛の場合だと、おなかに効くの痛み止めよりも、ロキソニンやカロナールのような普通の痛み止めがあると便利です。

もし、おなかの痛みでロキソニンだけで効かないときは、ロキソニンとブスコパンを一緒に使うのも手です。

市販薬で、エルペインコーワというお薬がありますが、これにはロキソニンのような痛み止めの成分とブスコパンの成分が一緒に入っているため、生理痛を和らげるには非常に便利なお薬になっています。

突然の激しい痛み、吐血・血便が起こった場合は救急車を

最後に、何の前触れもなく突然激しくおなかが痛んだ時や、強い腹痛と同時に冷や汗が出たり、血を吐いたり、血便が出たといった時は救急車を呼んでください。

また体性痛が非常にはっきりと、特定の場所を押したり、動かすと痛みが激しく出るという時もできれば救急車を呼んでください。

また、痛みは強いものの救急車を呼ぶのを躊躇する程度の場合、例えば強い痛みがずっと続いているとか、下痢や吐き気と同時に熱でも出ている、ということがあれば、#7119などの専用の相談窓口に連絡したり、夜間休日診療がある場所を探すなどをして、速やかにお医者さんにかかるのをおすすめします。

他には、何らかの決まったものを食べたら必ずおなかが痛くなるとか、特定のタイミングでおなかが痛くなるという時も、何らかの病の可能性があるので、その都度市販薬で対処せずに、お医者さんに診てもらってきちんと治すようにしてください。

また、ガスターやブスコパンなど、お薬を飲んだら数日直るものの、しばらく経つとまた痛くなるという時も、市販のお薬では効き目が弱い証拠ですので、病院に行って診てもらうようにしてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属