夏の水分不足は便秘にもなる?便秘の種類と対処法#735

水分不足から便秘に

8月中旬を迎え、依然として全国的に厳しい暑さが続いていますが、先日おなかの調子が悪く、便秘がなかなか治らないという患者さんが来られました。

来られるたびに色々とアドバイスをしていきますが、思ったよりも水分が取れていないのでは、という話になりました。

本人的には、意識していつも以上ぐらいの量を飲んでいるつもりのようですが、やはり暑さの影響で想像以上に水分が失われており、それによって便秘になっている可能性も考えられます。

水分が不足すると、健康的な便は作れず、便秘となることがあります。

今回はこの便秘について、詳しくご紹介していきます。

5種類の便秘

便秘は大きく分けて5種類あります。

まず最も代表的なのが、大腸の動きが悪くなったことで便が動かずに起こるという、弛緩性便秘です。

次に多いのがそもそも食べる量が少ないため便が作られず便が出ない食事性便秘、そして腸の一部がけいれんしてしまい、腸が動かずに便秘になるというけいれん性便秘、便を出すという刺激が直腸部分まで届かなくなってしまったという直腸性便秘、そして最後がほかの何らかの病気によって大腸の中が狭くなり、便が出にくくなってる器質性便秘、の5つです。

これらを順にみていきますが、まず初めに、今回のきっかけとなった水分不足が原因の一つとなる便秘が、弛緩性便秘です。

運動不足によって腹筋や腸の動きが悪くなり、水分不足で便が不健康な様子になると、弛緩性便秘が引き起こされます。

特に運動不足は大きな要因で、お腹の筋肉が弱まっていると腸の動きもどんどん悪くなっていくため、便秘のリスクは高まります。

これはいわゆる筋トレのような運動でなくとも、お腹をもんだりマッサージして刺激するだけでも腸にとってはいい刺激となりますので、試してみてください。

弛緩性便秘の場合は市販の便秘薬で対処でき、腸に刺激を与えて解消していくタイプと、便を柔らかくするタイプの2種類があります。

初めて便秘薬を使う場合は、便を柔らかくするタイプを使うのが、腸への負担が少なく済むのでお勧めです。

ダイエットが主な原因となる食事性便秘・ストレスが主な原因となるけいれん性便秘

次の食事性便秘は、文字通り食事が原因によって起きている便秘です。

これはダイエットしたときに実際に経験したことのある便秘で、意外と苦しくなって精神的にも辛くなってきます。

体にも悪いため、野菜を中心に食物繊維はある程度とっていくと、スムーズに改善していきます。

ファスティングのような、断食を中心としたダイエットの際には難しいかもしれませんが、便秘で辛いときは多少でも食べて便を作っていくほうが安全で健康的かと思います。

ちなみにこれは便が少ないタイプになるため、お薬を使う場合はコーラックのような刺激を与えるタイプの便秘薬が効果的です。ただし、刺激性のお薬は体が慣れてしまい、飲む癖がついてしまう恐れがあるため、あまりおすすめはできません。

次のけいれん性便秘は、ストレスが主な原因となるタイプで、便秘ではなく逆に下痢が出ることもあります。

けいれん性便秘は、腸が不必要に働き過ぎてしまって起こっているという特徴があります。

つまり、おなかを壊したと思って、腸をいたわろうとして腸のに良いもの、栄養になるものを食べてしまうと、逆に刺激してしまい、便秘や下痢といった症状が悪化する恐れがあるのです。

当然、便秘薬を使うのも刺激となり、効果が上手く出ないことのほうが多いです。

ですので、まずはストレスを取り除くことをしたり、生活リズムを整えて自律神経を整えること、必要があれば精神的な治療をすることも検討してみてください。

そのほかの便秘との見分け方としては、ストレスになる出来事が起きているかを考えるのと、便秘と下痢を繰り返したりしている場合は、けいれん性便秘の可能性が高いです。

限界まで排便を我慢していると直腸性便秘になることが

次の直腸性便秘は、仕事などの影響によってトイレに行けず、排便を強く我慢することが多い方になりやすい便秘です。

便が直腸まで来ており、出す準備は整っているのに、出す刺激、指令が無いため出せない、というものです。

これはかなり苦しいもので、便意があるからトイレに行ったのになかなか出てこないとか、1度に少ししか出ず、便意だけは何度も催すということがあります。

また寝たきりの高齢の人などで、排便が面倒だったり力が上手く入らずに便秘になるという方も、この直腸性便秘に該当します。

直腸性便秘の場合も、酸化マグネシウムのお薬などで便を柔らかくして、出しやすくするという対処が効果的です。

あとはトイレのときの姿勢として、前かがみでいきむのも意外と大切ですので、意識してみてください。

大腸がん・腸閉塞などの可能性がある器質性便秘

最後の器質性便秘は、やはり大腸がんなどの影響によって腸が狭くなり、便が出にくくなっているという状態のことです。

大腸がん以外だと腸閉塞が起きているの可能性もあり、吐き気を伴ったり、おならも出なくなっているという場合は腸閉塞が考えられます。

大腸がんの場合だと、物理的に腸内が狭くなっているため、異様に細い便が出るというサインがあります。

こうなると腸の働きや便の状態による便秘ではないため、便秘のお薬を使っても効果は無いのでお医者さんにすぐに診てもらってください。

お医者さんのもとで、便潜血や内視鏡などの検査を受けて、どういう病かを確認してください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属