美肌のためのビタミン
最近、偶然かと思いますが立て続けに、お肌のトラブルで悩む患者さんが来られました。
美肌に効くお薬や栄養分と言えば、ビタミンCや市販薬で言うとハイチオールCなどは美白や美肌に効果があると言われており、ご存じの方も多いと思います。
ですが、実はビタミンAも美肌に大きく関係しています。
ビタミンAは、肌だけでなく、視力の維持や免疫、粘膜の健康にも深く関わる重要な栄養素になります。
今回は、ビタミンの中でも意外と知られていない、ビタミンAの働き、注意点、効果的な摂り方について、詳しくご紹介していきます。
ビタミンAの主な働き
まず、ビタミンという成分について簡単におさらいすると、大きく分けて脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの二つに分けられます。
脂溶性ビタミンとは油に溶けやすいビタミンのことで、ビタミンA、D、E、Kが該当します。一方の水溶性ビタミンはビタミンB群やCなどで、文字通り水に溶けやすいという性質があります。
ビタミンAは脂溶性ビタミンで、物質としてはレチノール、レチナール、レチノイン酸などの形で存在します。ちなみにレチノールは、スキンケア商品などにも使われているため、名前を聞いたことがある方も多いかもしれません。
ビタミンAの代表的な働きは、大きなもので言うと視力の維持があります。
ビタミンAは特に暗いところでの見え方に関係しており、不足することで夜盲症を引き起こすことがあります。
もう一つの役割が、皮膚や粘膜の健康を保つことで、皮膚のターンオーバーや、鼻や喉などの粘膜のバリア機能にも関わるため、風邪や感染症の予防に役立ちます。
またビタミンCのように抗酸化作用もあるため、老化防止や生活習慣病の予防にもつながるとされています。
こうしたことから、ビタミンAは美肌ビタミンや免疫ビタミンと呼ばれることもあります。
さらに、骨の発達にも不可欠なビタミンですので、小さなお子さんにとっても欠かせない栄養になります。
ただし、ビタミンAはビタミンCと違い、過剰摂取に注意してください。
過剰にとってしまうと、頭痛や皮膚のかゆみが起こったり、肝臓への負担が重くなります。特に妊娠中の方が過剰に摂取すると、胎児に影響を及ぼす可能性があるため、サプリメントなどでの摂取には十分な注意が必要です。
とはいえ、普段の食事からビタミンAを摂りすぎることは、一般的な食生活であればまず起こりませんので安心してください。
ビタミンAが豊富な食材
ビタミンAには、動物性のレチノールと植物性のベータカロテンの2種類があります。
レチノールは主にレバーや肝油、うなぎ、卵黄、チーズなどの動物性食品に多く含まれており、中でもレバーはビタミンAが非常に豊富です。サプリメントで言うと、チョコラAとか肝油ドロップなどがあり、これらはビタミンAを直接補える食品ですが、日常的に摂りすぎると前述のような危険がありますので注意してください。
もうひとつのベータカロテンは、人参、かぼちゃ、小松菜、ほうれん草といった緑黄色野菜に豊富に含まれています。これらは体内で必要に応じて、ビタミンAに変換されるため、過剰摂取の心配はほぼありません。
きちんと野菜を食べていれば、自然と必要な量を摂ることができるうえ、ベータカロテンをたくさん摂取したとしても、体が必要としていなければビタミンAに変わることはありませんので安全です。
脂と一緒にとるのがおすすめ
ビタミンAを最も効率よくとるためには、「油」と一緒にとるのがベストです。
脂溶性ビタミンですので、例えば人参やほうれん草などの野菜を炒めて脂と一緒に食べたり、サラダの場合はオイル入りのドレッシングをかけて食べると、とても効率よく体に取り入れることができます。
例えば簡単に、人参とベーコンの炒め物などは、豚肉の脂分と共に入ってくるため、非常に手軽で栄養価も高い一品になります。
また、ビタミンAは加熱に強いどころか、逆に加熱することで吸収されやすくなるという性質もありますので、温かい料理にするのがおすすめです。
基本的に現代の生活環境で、ビタミンAが著しく不足するということはあまりなく、一般的な食生活を心がけていれば、自然と必要な量が摂れているケースがほとんどです。
言い換えれば、サプリメントで補う必要が出ることはほぼありませんが、もし美肌や健康について気を付けたいというときには、レバーやうなぎなどの食事も取り入れてみるなど、意識してみていただければと思います。