代謝のビタミン?!ビタミンB群ってどんなの?#884

ビタミンB群とは

前回、ビタミンAについて取り上げましたので、今回から少しビタミンについて、それぞれお話していきたいと思います。

今回はビタミンB群についてですが、数あるビタミンの中で一つだけ「群」と呼ばれていると思います。

これには理由があり、実はビタミンBは、発見当初は1つの栄養素だと思われていましたが、研究が進むにつれて、構造や働きの異なる複数の成分が含まれていることが判明しました。

いずれもエネルギー代謝や神経の働きに作用していることから、その栄養素をまとめて「ビタミンB群」と呼ぶようになったのです。

今回はこのビタミンB群について、詳しくご紹介しています。

ビタミンBの働き

現在、ビタミンB群として知られているものは、全部で8種類あります。

番号で呼ばれるものは、ビタミンB1やB2、B12などが多く、逆に番号ではなく名称で呼ばれることが多いものとしては、B3のナイアシン、B5のパントテン酸、B7のビオチン、B9の葉酸があります。

ちなみに、B4やB8などの番号は、かつては存在が認められたものの、よくよく調べてみると働きがその他のとは少し違うことが分かり、ビタミンではないと定めたため欠番となっています。

それぞれの働きを見ていくと、まずビタミンB1は糖質をエネルギーに変える働きを持ち、疲労回復にも効果的で、栄養ドリンクなどにもよく配合されているものになります。

ビタミンB2はリボフラビンという名前で、脂質の代謝に関わり、皮膚や粘膜の健康維持に役立つため、美容分野で注目されています。

その他、ビタミンB3のナイアシンは皮膚や脳の機能サポート、B5のパントテン酸はホルモンや神経伝達物質の合成に関与し、B6のピリドキシンはタンパク質の代謝を助け、免疫や神経系の調整に大きく関わります。

B7のビオチンは皮膚や髪の健康に関わるビタミンで、腸内細菌によって合成されることもあります。

B9の葉酸は細胞の成長や赤血球の生成に必要不可欠で、妊娠中の女性に特に重要とされており、B12も赤血球の合成と神経の健康維持に働きます。

ビタミンB群が不足すると

ビタミンB群は平たく言うと、糖質をエネルギーに変えるのに使うビタミンですので、不足すると体の活動において様々な悪影響が出ます。

たとえば、ビタミンB1の欠乏は「脚気(かっけ)」として知られ、近年ではあまり聞かれませんが、だるさやイライラなどの症状が現れることがあります。活動に使う体力が大きく落ちるため、疲れやすさや集中力の低下を感じやすくなります。

B5やB6の不足では、口内炎や肌荒れ、皮膚炎などのトラブルが起こりやすくなり、ビタミンB3が欠乏すると、ペラグラと呼ばれる特有の皮膚炎や下痢、認知障害などが発生することもあります。

葉酸やB12の不足は貧血を引き起こしやすく、特にB12は神経系にも影響を与えるため、しびれやふらつきが現れることもあります。

ビタミンB群の効率的な摂取方法

最後に、ビタミンB群を効率的に摂取するためにおすすめの方法ですが、まずは動物性食品を中心としたバランスの取れた食事が重要です。

豚肉やレバー、鶏肉、魚、卵、チーズのような乳製品には、B1、B2、B6、B12などが豊富に含まれています。またもちろん、大豆製品、ナッツ類にも多く含まれており、植物性食品からもある程度は摂取可能です。

ひとつ例外として、ビタミンB9の葉酸は植物性食品に多く含まれ、文字通り葉物野菜のほうれん草やブロッコリー、アボカドなどに多いため、妊娠を希望する方や妊婦さんには特に重要です。

ビタミンB群は水溶性ビタミンであり、過剰摂取しても尿として排出されやすいため、通常の食生活では過剰に摂ることはあまり問題になりません。

ただ、逆に言うと水に溶けやすいという特徴があるため、野菜を洗いすぎたり、ゆで汁を捨ててしまうと栄養が流出する恐れがあります。

加熱する場合は、スープや煮物のように、汁もごと摂取できる方法がおすすめです。

熱にも弱いため、過度な加熱は避けつつ、スープごと食べることで、効率的にビタミンB群を取り入れることができますので、試して見てください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属