脳梗塞の初期症状を見逃さないように
先日、知り合いの歯医者さんで起きたある出来事を聞きました。
70代の母親とその娘さんが来院した際、娘さんが、さっきから母の様子が少しおかしい、と歯の治療のさなかにふと話したそうです。
詳しく聞くと、呂律が回らないとか朝に手足のしびれがあった、手に力が入らないといった症状があるとのことで、もしやと思った歯医者さんはすぐに血圧を測定して、その結果、上が180、下が120という異常な数値を示していました。
すぐに内科へとつないでみると、結果的に脳梗塞の初期段階と診断されたのです。
軽度だったため、手術ではなく薬の治療で回復したとのことです。
voicyでも以前から何度か脳梗塞などについてお話していますが、やはり早期発見は充分可能であり、脳梗塞のサインを知る大切さを改めて感じました。
今回は今一度、脳梗塞の症状や予防方法について詳しくまとめていきたいと思います。
脳梗塞の3つのタイプ
脳梗塞とは簡単に言うと、脳の血管が詰まり、血液の流れが止まることで脳の細胞が死んでしまうという病気です。
血流が止まるということは、脳細胞は酸素や栄養を受け取れなくなり、ダメージを受けてしまいます。
脳梗塞には大きく分けて3つのタイプがあり、1つ目はラクナ梗塞という、脳の細い血管が詰まるタイプで、主に高血圧が原因とされ、高齢者に多く見られるタイプです。
2つ目はアテローム性脳梗塞で、動脈硬化が原因で血管が狭くなり、詰まってしまうタイプで、脂質異常症や糖尿病が要因とされています。
最期が心原性脳梗塞で、心臓でできた血栓が脳へと行き、脳の血管を塞いでしまうというものです。これは特に心房細動のある人に多いとされています。
いずれのタイプも、発症すると後遺症が残る可能性があるため、早期発見、治療が鍵となります。
ただ、万一なってしまった場合でも、リハビリを懸命に行なうと後遺症を軽減できることもあります。
これも知り合いの先生の例ですが、ステージで歌唱中に脳梗塞で倒れてしまった歌手の方がいましたが、自力でリハビリを懸命にした結果、1か月程度で発症前と遜色ないほど歌唱できるようになったようです。
脳梗塞を早期発見するための「FAST」チェック
脳梗塞はその症状の重たさから、おかしいと思った時点ですぐに病院に連絡するか、実際に動作に症状があればすぐに救急車を呼ぶことも充分必要と言える病です。
その症状をある程度見極める際に便利なのが、「FAST」というチェック方法です。
これはFace(顔)、Arm(腕)、Speech(言葉)、Time(時間)の頭文字を取ったものです。
まず、Faceは、笑った際に片側の口角が下がるなどの顔の歪みがないかを確認します。
次にArmは、両腕を前に伸ばしたときに片方が下がる、力が入らないといった症状を、Speechは呂律が回らない、言葉が出にくい、などの異常を示します。Speechでは特に破裂音の「パピプペポ」が言えなくなることが特徴的な症状です。
最期のTimeは発症時間のことで、F、A、Sの症状が1つでも当てはまる場合はすぐに処置を、という意味です。およそ発症から4~5時間以内が勝負とされており、早ければ早いほど後遺症のリスクを減らすことができます。
その他の書状だと、急に血圧が高くなるとか、硬めが一瞬見えにくくなる、起きた時に手足のしびれが起きる、と言ったものがあります。
それは一過性の虚血発作で、一時的に脳の血流が悪くなっただけで、数分から数時間程度で症状が消えます。
これも一つの脳梗塞の初期症状になり、放置しておくと本格的に脳梗塞になる可能性がありますので、おかいしいと思ったらすぐに病院に行って相談してください。
脳梗塞を予防するための生活習慣
脳梗塞の最大のリスク、直結する原因は、何よりも動脈硬化です。
ですので、血圧管理が非常に重要になります。高血圧の方はやはり、塩分を控えた食生活を心がけることが大切で、ウォーキングや軽いジョギングといった軽い運動を週3回程度行うのがおすうすめです。
また、糖尿病や脂質異常症もリスク要因となるため、血糖値やコレステロール値の管理も大切になります。特に悪玉コレステロールのLDLが高いと、血管内に汚れが溜まり、より詰まりやすくなります。
そしてもちろん喫煙も動脈硬化を促進するため、禁煙は何よりも重要になってきます。
定期的な健康診断を受けて、血圧や血糖値、コレステロール値を把握しておくこともひとつの予防になります。もし高血圧であれば日常的に血圧を測定してメモをとっておくことで、異常があった際には分かりやすいのでおすすめです。
脳梗塞は突然発症し、命に関わる可能性のある病気ですので、とにかく早期発見が大切になります。先ほどのFASTも参考にして、突然何かが起こった場合はすぐに救急車を呼んでいただければと思います。