幸せホルモンの反対はストレスホルモン?ノルアドレナリンって?#754

怒り・不安・恐怖を司る脳内物質

これまで、幸せホルモンとして3つの脳内物質について取り上げてきましたが、今回はその逆で、怒りや不安、恐怖といったものに深くかかわる、ノルアドレナリンという脳内物質についてです。

人間の感情や感覚は、脳内の物質によって感じとる部分や、コントロールされているという一面があります。

このノルアドレナリンは、前回のドーパミンと対になるような物質で、セロトニンがそのバランスを調整するという働きがあります。

ですので、ノルアドレナリンはいわばストレスホルモン、という言い方をされる場合もあります。

アドレナリンとの違い

まずノルアドレナリンは、アドレナリンとは似ていますが、違う物質です。

アドレナリンと言うと、心拍数が上がったり血圧を上げたりといった効果があることで有名で、特に興奮しているようなときなどに、アドレナリンが出てきたと表現する方も多いと思います。

体が戦闘モードに切り替わるような働きを持っているのは確かであり、実はノルアドレナリンもほぼ同じ効果が出ています。

ただし、一番の違いが、アドレナリンは脳に行かない物質で、ノルアドレナリンは脳内で働く物質、という点です。

アドレナリンはあくまでも心臓や筋肉といった、脳ではない体の部分で働くもので、人間の怒りや不安、恐怖といった感情について大きく働くのが、ノルアドレナリンということです。

そしてもう一つは、体内のアドレナリンの原料となるのが、ノルアドレナリンという物質になります。

例えばアドレナリンはストレスにさらされている場合も分泌されますが、その際には脳内でノルアドレナリンも分泌されている、ということです。

ずっと分泌されていると、アドレナリンは足りなくなり、ノルアドレナリンも出なくなり、結果として集中力が落ちたり、気力が落ちたりといった状態が起き、いわゆるうつ状態になって行きます。

ノルアドレナリンは決して悪いものではありませんが、過剰にありすぎると体のパフォーマンスだけではなく、感情を伴うため過度に攻撃的になりやすくなるとか、悪化するとパニック障害などの原因にもなり得ます。

逆に少なすぎると、集中力が落ちる大きな要因になり、うつ状態の引き金にもなります。

ですのでやはり、ドーパミンの存在も必要であり、ドーパミンとのバランスを上手く調整してくれるセロトニンも必要、ということです。

ドーパミンとのバランスが肝心

ノルアドレナリンは体のパフォーマンスを上げたり、ストレスへの耐性を上げたりと、生きる上で非常に重要な意味を持つ物質の一つですので、ストレス対策は必要ですが、無理にノルアドレナリンを抑えなきゃいけないというものではありません。

つまり、ドーパミンとのバランスをとるのが非常に重要であり、それにはやはりセロトニンの分泌が何よりも大切になってきます。

先日お伝えしたような、トリプトファンというアミノ酸、タンパク質を取ることが大切で、太陽の光を浴びるとか牟田さんが言っていたようなリズム運動もとてもおすすめですので、是非普段から試してみて頂ければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属