第8波は来るの?早めの準備が大切?#655

covid-19「第8波」の恐れ

10月に入り、先のgotoトラベルに続いた旅行支援策が全国展開されました。

冬本番を迎える中で、今以上に人の往来が増えることが予想されますが、最近は体感でもcovid-19の患者さんが増えていると思われます。

現在、当薬局ではファストドクターという、夜間の処方箋を扱うお医者さんと共に深夜でも薬局業務を行っており、この業務の中でも、発熱の患者さんやcovid-19で陽性が出たという患者さんが、先週や先々週と比べると増えて来ているように感じました。

新しい変異株も無く、また実際に見られる症状もあまり変わっていないため、配信でも少し遠ざかっていましたが、今回は気温が下がった中で旅行の機会が増える今、再び注意喚起していきたいと思います。

10月初めは”底打ち状態”だった感染者数

実際の最新のデータでは、10月初め頃は微増、微減状態で、いわば底を打ってた状態と言えます。

しかし、翌週は先週と比べ増加に転じた地域が多く、数字で言うと全国平均で1週間の感染者数が前週比で1.07倍を超えました。

先週比で1倍を下回っていれば減少、超えていれば増加となりますが、これが先週比で1倍を超えたため、全国的に増加に転じていると見られます。

ただし地域によって様々で、規模が大きい地域では微増と微減を繰り返しているところもある上に、関東の首都圏ではまだ微減のところも多いです。

一方、地方では増加の割合が多いところもあり、それほど激増しているわけではないものの、山梨では前週比1.3倍、山形では1.4倍、北海道では1.33倍と増加しています。

去年同時期と比べると、10月の後半ごろからオミクロン株などの影響により微増し始め、11月から12月にかけて増加に転じて今年1月に一気に急増して、第6波となりました。

もともとインフルエンザなど、冬場の風邪は毎年10月後半から増え始めて冬本番となる12月、1月は最もピークを迎える時期となります。

そして今年は651回で触れたように、インフルエンザが流行る可能性が一段と高いため、去年おととし以上にインフルエンザにも気を付ける必要があると言えます。

第7波を超える恐れが

政府が発表する試算では、次の第8波は7波を超える恐れがあるとしています。

もっとも最悪な状況を考えると、covid-19とインフルエンザが同時に大きく流行した場合、発熱の症状がある患者数は1日で75万人にまで上ると予想しています。

これは第7波の時に発熱の症状がある患者さんは1日およそ40万人ほどで、そしてインフルエンザの流行のピーク時には1日35万人ほどの患者さんが居たためです。

これまでのcovid-19のピーク時でも混乱を極め、自治体がまん延防止等重点措置などを発令することで対処していましたが、最悪のケースだとこれをさらに上回る混乱が予想されます。

この想定を踏まえ、厚労省は「インフルエンザが同時流行した場合、発熱外来では重症化リスクの高い人のみ診る」という方針になると見られています。

重症化リスクの高い方以外の方は、陽性者登録センターなどに問い合わせて、受診を希望する方はオンラインでの受診になるとされています。

そしてまん延防止等重点措置や緊急事態宣言についてですが、これはウイルスに大きな変異が無い限りは見送る方針となっています。

やはり現状流行っているタイプでは、重症化率はそれほど高くなく、また感染状況も大幅に悪化する危険はあまりないため、宣言や措置は現状では不要とみています。

お薬、検査キットを用意しておくという対策

最悪の事態だと、発熱外来にかかるのも難しいという現状で出来る対策としては、お薬や検査キットを準備しておくことです。

炎症を抑えるお薬など、医療用医薬品の品薄が相変わらず深刻な状況にあり、特に喉に効くトランサミントラネキサム酸やアセトアミノフェン、解熱剤や痛み止めの効果があるカロナール、さらに咳止めのメジコンなどは当薬局でもかなり手に入れにくいお薬になっています。

他の薬局やドラッグストアなどが、ある意味買い占めのように、在庫を多く仕入れようとしている影響もあり、感染状況がこれまでよりも落ち着いている現時点でも、お薬が品薄状態になっているのです。

一方の検査キットですが、現状ではどちらかというと手に入りやすいものの、今後感染者数が増えると品薄になってくると予想されます。

お店などの無料検査場やPCR検査会場は、結果が出るまで2,3日かかる上に、発熱などの症状がある場合は会場内に入ることができず、検査が受けられないため、事前に買っておいて家で検査できる体制を整えておくのがベストです。

以前お伝えしたように、抗原検査でも症状がある場合はすでにウイルスが体内にある証拠ですので、症状があったとしても陰性となれば、それはcovid-19ではない別の原因で起こっています。

症状が出てからの検査であれば、抗原検査の方が素早く結果が分かります。生活スタイルなどにもよると思いますが、一人当たり2個ほど、用意しておくと今冬は乗り越えられると思います。

お薬についてですが、ロキソニンSやリングルアイビーなど解熱剤の市販薬があると便利で、喉の痛みにはペラックTという市販薬があり、おすすめです。

咳止めで言うと市販薬でアネトン咳止め錠があり、個人的にも咳止めの中では特に便利なお薬だと思います。

最後に、voicyでも頻繁に漢方薬について出てきますが、漢方薬は症状ごとに最適なものが分かれており、例えば高熱であれば「麻黄湯(まおうとう)」、微熱だと「葛根湯(かっこんとう)」、咳や喉の症状が大きくて熱が無い場合は「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」などなど、様々別れるため、常備薬として使うのは正直難しいです。

医療用医薬品ではない、市販薬でも徐々に品薄になってきているため、ご家族など、家庭環境にあわせて備えておくようにしてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属