目の前で事故が起こったら・人が倒れたら
先日、昭和の一世を風靡した、ドリフターズのメンバーの仲本工事さんが交通事故で亡くなるという出来事が起こりました。
様々な移動手段がある現代社会では、誰もが事故の当事者になる可能性があり、そして意図せず突然目撃する可能性もあります。
また、夏場の熱中症に代表されるように、他人が目の前で倒れるという事態も当然起こり得ます。
そうした時、どういう風に対処していくのか、今回は仲本さんの交通事故死という訃報から、掘り下げて行きたいと思います。
救護義務があるのは事故を起こした運転手のみ
始めに、運転中に他人を轢いたのに、適切な対処をせずにそのまま走り去るという、いわゆる「ひき逃げ」は重罪となりますが、これは一言で言えば「救護義務違反」になるためです。
事故を起こした運転者には救護義務と言い、事故を受けた被害者の保護や、救急、警察への連絡などと言った処置をすることが義務付けられています。
この義務があるのは事故の当事者となる運転者のみで、通りすがりで見かけただけの人にはありません。
つまり、見つけたからと言って警察に通報しなければならない、何かをしなければならない、という事は無いのです。
だからと言ってそのままにするのは倫理上の問題もあり、またいざ起きた時は動揺して、どうすればいいか分からないと思います。
実際に起きた時は、まず何よりも自分の身の安全を考えてください。
助けにいかなきゃとまでは思わずとも、野次馬のように様子を見てみようとして、二次的な事故になることがあります。
交通事故の現場は割れたガラスや車のパーツ、エンジンオイルや、最悪の場合はガソリンまで道路上に流れるため、非常に危険な状態です。
さらに事故直後は警察による誘導も無いため、対向車や後続車の通りも変わらず、夜の暗い時間帯は特に危険です。
ですので、まずはむやみに動揺したり近づかずに、きちんと状況を確認して、安全を確保することを第一にしてください。
安全が確保できたら、実際の事故の様子や、自分以外の他の方の様子など、現場の状況を把握してください。
目撃者が多く、すでに通報していたり救護が始まっている場合は問題ないですが、人通りが少ない場所で見つけた場合や、先述のひき逃げのように、被害者だけが取り残されていて、各所への通報もされていないような場合は、救急と警察に連絡してください。
救急の方の指示を聞いて、警察には事故を目撃したという事を説明してください。
通報した時は、到着するまで現場に留まる必要があるように思われそうですが、その義務もありません。
留まる方が親切ではありますが、警察や救急隊への対応をするのは正直時間もかかるため、難しい事も多いです。
無理してとどまる必要は無いものの、助けが必要そうであれば通報しておくのがベストです。
もし電波が悪いなど地域的な事情もある場合は、通りすがりの他の人や近くのお家に少し声をかけるだけでも良いので、助けを呼ぶようにしてください。
電車内にある「SOSボタン」
次に電車内の場合ですが、電車内には「SOSボタン」というボタンがあります。
ドアのそばや連結部分などにありますが、これはホームにある「緊急停止ボタン」とは違い、その場で乗務員の方と通話できるというボタンで、車内で異常が起こったり急病者が出た時に役立ちます。
「非常通報機」とも書いてあるため不安になるかもしれませんが、その場で急停車することは基本的には無く、非常事態が起こっていることを乗務員の方に連絡をするためのボタンになっています。
次の駅で適切な対処ができるように手配してくれますが、重大な事件等があった場合はその場で止まるケースもあります。
マイクを通して自分で話す必要があるため、万が一の時は動揺するかもしれませんが、非常に素早く緊急通報ができるシステムですので、もしもの時は活用してみてください。
道端で人が倒れた時・倒れた人を見かけた時
最後に、交通事故や公共交通機関などではなく、道で突然人が倒れるような場面に遭遇したときですが、この時も交通事故と同じでまずは安全を確保して、状況を確認してください。
場所が歩道であっても道が狭かったりすると、すぐそばに車や自転車などの交通があって危険な場合があります。
なのでまずは周囲の安全がどうかを見て、それから様子を見たり保護にあたるようにしてください。
まず意識があるかどうかを確認して、出来れば周囲の人に助けを求めてください。
一人で対処しようとするのは非常に難しいので、可能な限り近くの人にも知らせて、冷静に通報してもらったり、AEDを持ってくるなどの助けを得てください。
AEDは自動車教習所でも講習が義務付けられて久しく、ご存知の人も増えていると思います。
もしお店の近くなど、AEDがありそうな場所であればすぐにでも持って来てもらってください。
携帯性に優れているため、必要かどうかを考えずにひとまず持ってきて、その場に置いておけるだけでも生存の可能性は上がります。
反対に避けるべきことが、まず患者さんをむやみに動かさないという事です。
頭を打った場合や脳内で出血が起きた場合などは、処置をせずにむやみに動かすと余計ダメージが大きくなるため、出来るだけ動かさない方が良いです。
状況にもよりますが、こうしたことも含めて救急隊の方から指示がありますので、通報時はきちんと指示に従って、落ち着いて対処してください。