covid-19で患者数が5割増!痛風・高尿酸血症#556

Voicy更新しましたっ!

今回はコロナが原因で急増した「痛風」のお話

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covid-19によって「痛風」「高尿酸血症」の患者さんが激増

現在、covid-19の流行が今年一番と言っていいほど落ち着き、飲食店への制限緩和も全国的に進みました。

実はこの流行の陰で「痛風」や「高尿酸血症」の患者さんが激増しているという現実があります。

今回はこの問題について取り上げて行きます。

痛風や高尿酸血症については少し前の273回の配信でお伝えしておりますので、そちらも併せて参考にして頂ければと思います。

痛風のおさらい

まず簡単に「痛風」という病についておさらいすると、文字通り風が当たる程度の感覚でも激痛が走るという病のことです。

尿酸という物質が膝などの足の関節にたまり、そこで激しく炎症が起き、炎症による痛みが極めて強い、ということです。

初期症状としては、多くの場合では「足の親指の付け根」で起きます。

足の親指の付け根にわずかな痛み、違和感を覚えてますが、一旦は数日で治まります。

これが痛風の最初のサインとなり、放っておくとこの痛みや違和感が断続的に訪れて来るようになります。

進行すると、少し歩くだけで軽い痛みが出るようになるものの、これは痛み止めを飲んだら治るという程度ですので、この時に痛風と思うことはまずありません。

そして、ある時突然、風が当たっても痛いほどにまで、痛みの強さが跳ね上がります。

一歩を地面につけたときの衝撃、激痛が、経験したことのないレベルの強さになるため、その瞬間は本当に歩けなくなります。

こうなると普通の痛み止めは効かなくなる上に、さらに放っておくと足首から膝、股関節という風に痛みが徐々に上に上がってきます。

これが痛風です。

痛風のお話では大抵、尿酸が大敵だから尿酸に注意、と言われますが、尿酸自体は実は体にとって非常に重要な役割を持ち、欠かせない栄養素になります。

例えば活性酸素を取り除くという働きでは、ビタミンCよりも高い働きをもっています。

ただ、体内に大量に残ることで、激しい炎症の引き金になるのが尿酸です。

covid-19流行以前と比較して、患者さんが5割ほど増加している

さて今回の本題ですが、この痛風や、尿酸値が高くなる「高尿酸血症」の患者さんが、以前と比べて5割も増加しているという現状があります。

これは実際、当薬局でも確かに尿酸値が高いという方が多く、少し感じていたことでもあります。

こうなった一因はやはり、おうち時間が増えたことによる「運動不足」と「食生活」があると思います。

完全なドアtoドアでも無い限り、通勤時には多かれ少なかれ移動が発生しますので、運動の機会はあります。

それがcovid-19によって完全にリモートワークになれば、その分運動量は低下します。

また併せて、自宅でアルコールや糖分の多い清涼飲料水を手軽にとれる環境になったことも一つの理由と考えられます。

果糖で尿酸が溜まるという説が

また、痛風は一昔前には、ぜいたく病という言われ方をしていました。

ビール等のアルコールを豪快に飲んだり、魚卵系の食べ物をたくさん食べられる生活を指しての事ですが、最近では果糖という糖質が尿酸値を上げやすくする、という説があります。

英語で「フルクトース」とも言い、天然で存在している成分の一つで、果物にも含まれていますが、お菓子や清涼飲料水にたくさん使われています。

果糖はブドウ糖とは甘さが違い、果糖の方が甘みが強い上に、直接は血糖値を上げないという特徴があります。

ブドウ糖は摂取することで血糖値が上がりますが、果糖は血糖値が上がらないのです。

つまり、果糖をたくさん摂ってもあまり満腹感が得られず、食べ過ぎてしまって結果的に肥満につながるのです。

果糖はカロリーがそこそこありますので、取りすぎるのは注意が必要な成分です。

さらに、果糖が肝臓で分解、代謝されると、体が酸性に傾き、尿酸が溜まりやすい体質になります。

これの働きにより、果糖をたくさん摂ることが、痛風発作の引き金となるのです。

お菓子を良く食べるという人が、高尿酸血症気味なのはこれが原因と言われています。

尿酸値をコントロールして予防を

痛風を予防するためには何よりも、尿酸値をむやみに上げないことに尽きます。

お菓子や清涼飲料水、アルコールをとり過ぎないことが必要ですが、どうしても甘いものが欲しいという方はヨーグルトがおすすめです。

ヨーグルトは発酵食品で元々体に良い食品ですが、尿酸値を下げるという効果も持っているので非常におすすめです。

ただ甘く味付けされたものだと、果糖がたくさん含んでいる場合があるので必ず種類を見て、選ぶようにしてください。

次にお酒が好きという方、特にビールが好きという方は、可能であれば焼酎やウイスキーのような蒸留酒にすると、プリン体が少ないため便利です。

そして、体内がアルカリ性に傾くと、酸性の尿酸が外に出やすくなるため、アルカリ性のものを多めにとるのも一つの予防になります。

例えばお酢、クエン酸といったものです。

これはどちらも酸性ですが、詳しい説明は割愛しますが、摂取することで体内でアルカリ性になる、と考えてください。

これらをとることで、余分な尿酸が外に出て行きやすくなり、予防につながります。

運動は有酸素運動を長めに

運動も当然、痛風の予防になりますが、これは筋トレではなくジョギングやウォーキング、エアロバイクといった有酸素運動を主に行ってください。

筋トレをして筋肉が壊れると、プリン体が発生しますので、そのタイミングで清涼飲料水を飲んだりするとさらに尿酸値が上がります。

ですので、尿酸値を下げるための運動という意味では、ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を、ある程度長めに行うのが一番おすすめです。

最後に、水分をとることを忘れないで下さい。

少し前の便秘の回でも触れたように、水分は1日に2L分とるのがベストです。

水分をとることでも体内の尿酸は薄まり、排出されやすくなりますので、水分補給は普段から欠かさずに行ってください。

尿酸はコレステロール等と同じく、遺伝的に、体質的にコントロールが難しいという方もいますので、その場合は遠慮なくお医者さんに相談して、お薬を使うようにしましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属