Voicy更新しましたっ!
今回は最近大きく動きを見せたcovid-19のワクチンについて
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ワクチンに90%以上の効果が?
つい先日、アメリカのファイザー社など、いくつかの会社のワクチンで90%以上の効果が確認できた、と言うようなニュースがあったと思います。
今回はcovid-19に関して、明るい一報となったこのニュースについて詳しく触れていきます。
ニュースのおさらい
まず今回のニュースは、アメリカのファイザー社とドイツのビヨンテック社の共同開発のワクチン、アメリカのモデルナ社のワクチン、イギリスのアストラゼネカ社のワクチンで高い効果が出た、と言う内容です。
ファイザー/ビヨンテック、モデルナのはどちらも95%以上の効果が、アストラゼネカ社のは60から90%以上の効果がある、と発表されました。
アストラゼネカ社のワクチンは確認できた効果に幅がありますが、これは試験をしたグループで効果に差があったため、このようなばらつきがありますが、最低6割以上には効果が確認できた、ということになります。
ここで言う「90%以上のワクチンの効果」とは、以前もワクチンの回で触れた第三層試験で確認できたことを表します。
第三層試験で効果が確認
第三層試験とはワクチンの試験の3段階のうち、最後の臨床試験のことです。
対象者には内緒で、半分の方にワクチンのお薬が入ったものを、もう半分にはお薬の入っていない無害なものをワクチンの試験と称して与えて、効果があるかを確かめるという実験です。
なぜ入っていないものを与えるかと言うと、プラセボ効果という思い込みの効果を確認するためです。
実際にお薬を使っていないのに、お薬を使ったかのような効果が出る、ということがあるため、その可能性を排除するのです。
その上で実際に、ワクチンを使った方のグループと、使っていない方のグループとで見比べて、どれぐらい差があるのかを確認します。
これがワクチンの効果となります。
ファイザー/ビヨンテックのワクチンの例では、投与してから3か月の間でcovid-19に感染した人の割合を比べたところ、実際にワクチンを使った方は陽性者が8人、使ってない方では162人となりました。
この結果を簡単に言い換えれば、ワクチンを使っていなかったら162人感染していて、ワクチンを使っていれば8人に抑えられた、となり、このワクチンには95%の効果がある、と断定したという事です。
これが、第三層試験で確認できた「ワクチンの効果」という言葉の意味になります。
これはファイザー/ビヨンテックのほかの、モデルナ、アストラゼネカ社、いずれも同じような流れと仕組みで試験がされていて、同様に90%以上とか60%から90%以上の効果が確認できた、と発表したのです。
ちなみに一部では、重症化のリスクもワクチンで減らせられるという報告があります。
一般的に65歳以上の方は免疫力の低下もあり、ワクチンの効果が薄い可能性もあると指摘されていますが、重症化率を下げられるのであればインフルエンザのワクチンのように、充分効果的なワクチンになると思われます。
ただし、最初の例では、投与してから3か月間は全体で8人の方だけ、陽性が確認されたということですので、これが6月や1年間でどうなるのか、という事は現時点では分かりません。
むしろ反対に、一度感染してから治って、抗体が体内にあるはずの方でもまた感染したという報告は日本も含めた世界中でありますので、そういう意味では油断は一切できないと言えます。
副作用について
ワクチンとセットになって触れてきたのが、副作用の問題です。
以前もワクチンのお話に併せて、副作用が出て臨床試験が一時中断したというニュースを紹介したと思います。
今回のこれらのワクチンでは、およそ5%から10%ほどの割合で、だるさが出るとか頭痛が起こる、と言った軽い副作用が見られましたが、特別大きな副作用が起きたという事は現時点では一つも確認されていません。
ですので臨床試験の段階では、かなり高い安全性があると言えます。
しかし言うまでもなく、一般に流通された場合には臨床試験とは比にならないほどの数の方に使うことになります。
あらゆる人種、年齢、体格の方にワクチンを使うことになりますので、そのときにどういう副作用が出るかは、正直分かりません。
以前の回にも重なりますが、このことは新しいワクチンやお薬には必ず付き物で、例えば10万人に一人程度しか現れないという副作用もあります。
そしてその副作用を見つけるためには、統計学的には、理論上で30万人以上に投与してはじめて分かるとされています。
昨今のような事態であれば、重大な副作用が高い頻度で出ることはない、ということが確認出来るだけでも、とても大きな前進と言えます。
流通・管理について
そして、このニュースでもう一つ注目されていたのが、流通の問題です。
ファイザー/ビヨンテックのワクチンは、マイナス70度で保管した場合には半年間持ちますが、凍結しない程度の温度、およそ2度から5度の間では、5日しか持たないという、扱いが非常に難しい薬になっています。
もう一つのモデルナ社の方は、保管の際にはマイナス20度で、温度が2度から5度になると30日程度しか持たないとされています。
ちなみにアストラゼネカ社のワクチンは8度以下で、2度から8度程度であればある程度保管が効くので、流通管理の面だけで言うと、こちらのものが便利になるそうです。
日本国内でのワクチン
最後に、こうしたワクチンがいつ日本に来るのか、日本国内ではどうなるのかについてですが、以前触れたように各製薬会社とすでに契約を交わしており、それぞれで一定の回数分を確保しています。
ポイントが人数ではなく、回数で契約を交わしているということで、これらのワクチンはいずれも、一度打ったら終わりではなく、ひと月ほど開けて2回接種するように、とされています。
ですので、3社合計で1億5000万人ほどは現時点で契約していますが、前述したように、その効果がどれぐらいの間続くのかは分かりません。
つまり、ひと月ほど開けて2回接種するというのを一度したら、来年までしなくても良いのか、それとも半年後にもう一度、同じように接種しなければならないのかは、現時点では分かりません。
また、これは確保数の問題になりますが、2回目の接種は1回目と同じワクチンを打つ必要があるため、その場合には数は足りるのか、ということもこれからの問題として立ちはだかります。
さらにこちらも国内の問題として、本当にその海外の製薬会社のワクチンを承認して一般に流通させるのかも、現時点では不透明です。
ちなみに、以前の回で、ロシアですでに実用化されているお話をしましたが、アメリカでも来月の頭に緊急的にワクチンを一般に使うと発表されています。
ポジティブに考えると、海外でたくさんの人数にワクチンを使うと、先述したような稀な副作用や、使い方についてある程度情報が回って、把握できるので、そう言う面では一つの利点にもなり得ます。
ちなみに、ワクチンを使う優先順位は、しばしば言われていますが「covid-19に関わる人達」が最優先で使われます。
つまり医療従事者や高齢者、基礎疾患のある方などのような感染するリスクや重症化リスクが高い方や介護従事者が最優先で、その次に妊婦さんや健康面に不安があるような方、最後に一般の方という風に検討されています。