薬の併用・副反応は?ワクチン接種前に知っておきたい事#517

Voicy更新しましたっ!

今回は頂いたコメントにも関連して、前回に引き続いてcovid-19のワクチンについて

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ワクチンとお薬との併用

先日、神経内科と膠原病科に通院されている方からコメントで「神経内科の先生からは、打っても感染する人はいるし出血やら血栓やら副反応と治療の話を早口で喋り、考えてみて、と言われ、膠原病科の先生からは打つのが国民の義務みたいになってるから、と言われた」、と頂きました。

今回は具体的に見えてきたワクチンの副反応と、現在服用しているお薬との併用について、最新情報をいくつかまとめて行きます。

 

一部の心臓のお薬、血圧のお薬で注意する必要がある

現在接種が始まっている、コミナティ筋注では、一部のお薬を使用している方には、わずかにですが注意が必要です。

まず血液をサラサラにする効果のあるお薬や、一部の心臓や血圧のお薬を使っている方です。

このコミナティ筋注は、以前の配信で詳しく触れていますが、名前にある通り筋肉注射というタイプの注射ですので、一般の皮下注射よりも血が出やすいという特徴があります。

つまり、血液をサラサラにするお薬を服用中の方だと、血が止まりづらいような状況になる、という事です。

ただしこれは、血液をサラサラにするお薬を飲んでる人全員が該当する、というわけではありません。

特に効果が強い5つのお薬がありますが、それを服用中の方がワクチンを打った場合は、打った後に「2分間押さえてください」と言われます。そして、普通の方との違いはこれだけです。

2分間しっかりと押さえる、という以外で違いはありません。

特定の5つの、血液をサラサラにする効果のあるお薬以外のものを服用中の方は特に何もしなくて大丈夫です。

そして、心臓や血圧のお薬を服用中の方、と言っても非常に様々なタイプ、仕組みのお薬があり、ここでは書ききれないほどあります。

その中で特筆するお薬が、βブロッカーというお薬を服用中の方です。

このお薬を飲んでいる方で、打った直後に現れるアナフィラキシーショックが起きた場合は、通常の対処ではなく、専用の別のお薬を使う必要があります。

打つ前には服用中のお薬について聞かれるかと思いますが、もし不安なことがあれば、是非気軽に看護師さんやお医者さんなど、会場のスタッフの方に尋ねていただければと思います。

 

ワクチンの副反応の最新情報

続いて、ワクチンの副反応について、日本人への接種が本格的にスタートした現在分かってきた、最新情報についてまとめて行きます。

ファイザー製ワクチンの副反応については、以前490回や494回あたりで、メーカーからの発表や海外の事例について取り上げたことがありますので、そちらも併せて参考にしてみてください。

まず大きな問題となっているアナフィラキシーショックについてですが、これは現在の国内での報告事例で言うと、100万回辺り11.1回起きている計算になっています。

これはインフルエンザのワクチンが100万回あたり4回ですので、単純計算で4倍近い可能性で起きる、という数字です。

ただし、肺炎に使う抗菌薬で起こる重大なアレルギー反応は、およそ5000人に一人程度の割合ですので、それと比べると圧倒的にリスクは低いと考えられます。

また、現状では接種会場や病院内での処置がきちんとできているため、アナフィラキシーショックによる死亡例は一つもありません。

そしてもう一つ、以前のワクチンの副反応の回でも少し触れましたが、迷走神経反射というものがあります。

極度の緊張や不安と言ったストレスがかかることで、血管が不必要に広がってしまったり脈拍が少なくなることがあります。

その結果、頭痛や吐き気と言った症状が現れたり、最悪立ちくらみを起こしたり、失神するケースがあります。

これは割合で言うと1万人に一人程度ですが、ストレスによるものですのでしっかりと落ち着いていたら大丈夫で、万が一起こってもゆっくり休んでいれば問題なく回復します。

そして、ワクチン接種後に死亡した例は4月末時点で19例あり、これとワクチンとの因果関係がはっきりしているものは現状ではありません。

具体的に言うと、例えば脳出血が3件ありますが、いずれも高齢の方や基礎疾患がある方で、自然に起きる割合とそれほど変わりません。

その他の副反応は、腕の痛み、発熱、頭痛と言ったものがあり、特徴としては若い方の方が起きやすく、2回目の接種の方が起きやすいことが分かっています。

 

アストラゼネカ製ワクチンについて

前述の副反応はファイザー/ビヨンテック社製のワクチンで、モデルナ社製でも同じ種類、仕組みのワクチンですので、モデルナ社製のものでもおおむね同様のケースが報告されています。

ただし、以前からお伝えしており、また最近ニュースでも頻繁に取り上げられるようになった、アストラゼネカ社製のワクチンで見られる「血栓」の副反応ですが、これは確かに実際にあり、日本で日本人向けに接種は未だされていません。

海外の事例ですが、100万人あたり4人の割合で起きていることが分かり、この原因と対処ができるまでは日本人向けには接種しないことが決定していますので、一先ずは安心して良いかと思います。

 

ワクチンの効果について

ワクチンの効果は514回で詳しく触れておりますので、そちらも併せて参考にしていただければと思います。

徐々に、メーカー発表通りの、これまでお伝えした通りの状況であることが確かになっています。

2回接種した場合は従来型、去年から流行っていた初期型への抗体が99%出来ており、現在流行している変異株においても90%以上の抗体が作られていることが分かっています。

この数字は日本で接種された方から得た、日本人のデータですので非常に信ぴょう性が高い数字となっています。

ただ、確かにワクチンを打っても感染するケースはありますが、感染して陽性反応となっても無症状のまま終わったり、重症化のリスクが大幅に減るという効果は当然あります。

これはアメリカのデータですが、ワクチンを打った後での感染するというケースは、およそ1万人に一人程度にまで減り、重症化リスクは94%減ることが分かっています。

以前からお伝えしているように、ワクチンは打つリスクよりも、打たないリスクの方が高い、という事が言えます。

もしお薬の飲み合わせなど、不安なことがあれば、是非お近くの薬剤師や、かかりつけのお医者さんに聞いていただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属