冬に増えるノロウイルス
冬になると毎年インフルエンザの流行が目立ち、実際に患者さんも増えて来ますが、ここ最近で結構見かけるようになったのがノロウイルスです。
ノロウイルス、食中毒、胃腸炎といったことは、voicyでも折に触れて定期的に取り上げておりますが、今年もノロウイルスの流行が目立ちそうですので、今一度気を付けて行ってください。
気温が下がって乾燥してくると活発になる
まず、インフルエンザもノロウイルスも共通しているのが、寒くて乾燥した環境だと活発になるという点です。
これは言い換えれば、ウイルスは暖かくて湿度があると活動が大幅に弱まるということでもあります。
しかし逆に、適度に暖かくて湿度がある環境では、ウイルスではなく菌が繁殖しやすい環境になるため、夏場に食中毒が起きやすくなります。
冬の代表的な食中毒となるノロウイルスについては、266回でも取り上げておりますが、簡単にまとめると吐き気、嘔吐、下痢が主な症状であり、最大の特徴になります。
重症になって命の危険が起こることもありますが、重症化することは稀で、2,3日程度下痢を出し続ければ、自然とウイルスが消えて治って行くことがほとんどです。
ちなみに、自分も一度、確定ではありませんがノロウイルスにかかったと思われる症状が出たことがあり、丸2日間強烈な吐き気と下痢の中で過ごしたという経験があります。
ノロウイルスは、何らかの経路で体内に入り、感染してから24時間以内に発症するという特徴があります。
多くの場合は、下痢や嘔吐によって3日以内に体内から無くなることで治るため、これといったお薬や治療法はありません。
逆に言うと、吐き気や下痢を止めるお薬を使うと、ウイルスを体内にとどめることになるため、症状が無駄に長引くだけになります。
ですので、水分補給をしながら、ウイルスを出し切るのが唯一の治療になります。
ミネラル分の補給も欠かさないように
嘔吐と下痢によって、体の水分が大量に失われるため、水分補給は必ずしてください。
その時、ミネラルも失われるので、スポーツドリンクか経口補水液を使うのがベストです。
特に経口補水液は体への吸収が極めて速く、スポーツドリンクだと飲んでから水分として使われるまで1時間程度かかりますが、経口補水液は15分ほどですぐに吸収され、水分が必要な部分にいきわたります。
症状が激しく、わずかな水分も受け付けない場合は点滴によって処置しなければならないため、お医者さんに相談する必要がありますが、もし自力で取れる場合は、15分おきにペットボトルキャップ1杯分ほどの量で大丈夫なので、こまめに飲むようにしてください。
ノロウイルスのような、急激に水分が失われた際には経口補水液は非常に便利ですので、もしもの際には是非活用してみてください。
食材はしっかりと加熱・食事前には手洗い手指消毒で殺菌を
最後に、ノロウイルスの予防ですが、これは夏の菌による食中毒予防と同じで、加熱による殺菌と食事前の手洗いによって十分予防できます。
例えば生牡蠣も、加熱用の牡蠣であれば加熱して食べて、生で食べる場合は生食用のものを選ぶようにしてください。
次に手洗い消毒ですが、ノロウイルスについては通常のアルコール消毒では殺菌しにくく、有機酸が入っているものがあると効果的です。
市販のものだと、ノロウイルスに効果があると記載されている消毒液であれば問題ありません。
また、もし家族の誰かなどが感染した際には、嘔吐したものなどの汚物から二次感染することもあるため、次亜塩素酸ナトリウムを水で希釈して、使うのが最適です。
次亜塩素酸ナトリウムは、市販されているものだとキッチンハイターやミルトンといったもので、これをボトルのキャップ1杯を500ミリリットルの水に入れて混ぜると、ベストな濃さの希釈液になります。
汚物の上に新聞紙をかけて回収しやすくして、新聞紙の上にその希釈液をかけて、新聞紙ごとくるんで捨てる、と言うのが理想的な処理方法ですので、是非覚えておいて頂ければと思います。