膀胱に起こる「過活動膀胱」と言う病
先日コメントにて、過活動膀胱について話して欲しい、と頂きました。
過活動膀胱とは、文字通り膀胱に起こる病で、ご存じでない方も多いかと思います。
突然強い尿意が来たり、突然尿を漏らしてしまうと言った、深刻な病になります。
今回はこの過活動膀胱について、少しまとめて行きます。
尿意がゼロから100になる
通常、尿意を感じたとしても、多少であれば我慢が出来ると思います。
例えるならゼロの状態から徐々に数字が上がるように、強まっていくかと思いますが、過活動膀胱はゼロだったのが突然100になって、我慢できずに漏らしてしまうことも起こり得るのです。
他には、およそ1日に8回以上トイレで排尿するとか、夜に2回以上尿意で目覚める場合も、過活動膀胱に該当します。
これらは全て、名前の通りに膀胱が過敏に反応して活動しているために起こっています。
発症しやすいのが中高年の女性で、主な原因は神経の異常や、骨盤底筋の衰えが挙げられます。
骨盤底筋は尿を我慢する際に刺激される筋肉で、ここが衰えてしまうと、尿の量が少しであっても尿意が強くなってしまうということが起きます。
女性であれば、出産も過活動膀胱を高める一因になります。
ちなみに過活動膀胱の診断は、問診だけではなくエコー検査も活用して行います。
過活動膀胱は単にトイレの回数が増えるだけではなく、実際に漏らしてしまうこともあるため、非常にストレスになる病で、日常生活に支障をきたすこともあります。
過活動膀胱の治療薬
治療薬は主に二種類あり、まずは抗コリン薬と言うお薬を使います。
膀胱が縮むことで、中の容積が減るため、尿意を感じやすくなりますが、抗コリン薬によって膀胱が縮むのを抑えることで、尿意を軽減させることができます。
具体的にお薬の名前で言うと、ベシケアやウリトス、バップフォーと言ったものがあります。
ですが、これらはいずれも、副作用として、口が乾きやすくなるというものがあります。
口が乾きやすくなるということは、しっかりとお薬が効いている証拠と言えるほどですが、これもストレスになる上に、便秘の症状も起きやすいため、使いづらいお薬とも言えます。
さらに言うと、こうした抗コリン薬は緑内障の持病がある方には使用できないという点もあります。
そしてもう一つのお薬が、β3作動薬というお薬です。
これは、膀胱の筋肉を緩め、それによって尿をしっかりと貯められるような状況を作る、というお薬です。
製品名で言うとベオバ、ベタニスと言ったものがあります。
比較的新しいお薬で、前述の抗コリン薬と似たような副作用がありますが、度合いは軽減されているため、使いやすいという特徴があります。
ですが、厳密に言うとどちらも役割が違うため、同時に使うケースもあります。
お薬以外の治療で言うと、ボツリヌス毒素の注射と、仙骨神経刺激法があります。
ボツリヌス毒素を膀胱の壁に注射して収縮を抑えるというものと、膀胱に向かう筋肉を電気刺激して、膀胱の活動を抑えるという手法です。
仙骨神経刺激法は手術になるため負担が大きいですが、ボツリヌス毒素の注射はあくまでも注射ですので、どちらかと言うと負担が軽く済みます。
もし過活動膀胱の可能性がある場合は、こうした治療も検討してみてください。
下半身のトレーニングで予防を
大きな原因の一つが、骨盤底筋の衰えですので、尿を我慢するというイメージ、意識を持って、椅子に座った状態で、筋肉を締め付けるように力を入れる、というだけでも一つの筋トレになり、予防に繋がります。
回数で言うと1回5分程度で大丈夫です。
もう一つ、似たような形で、尿意を感じたら少し我慢してみるのも一つのトレーニングになります。
急に激しい尿意を感じるのが過活動膀胱ですので難しい部分もあり、無理は禁物ですが、尿意を感じても自分で意識して我慢するのも一つの手です。
そして一般的なことですが、寝る前の水分摂取を少し控えるとか、カフェインやアルコールを控えるのも、利尿作用があって膀胱を刺激してしまうため、注意してください。
そしてやはり、こちらも一般的なことですが、ストレスをため込まずにリラックスするのも、膀胱を安静に出来るので、気分転換をしたり、別のことに集中するなども、予防につながりますので、意識してみてください。