ドキドキのサイン!狭心症と心筋梗塞の違いと賢い予防法、!#783

狭心症と心筋梗塞の違い

前回、自分が心臓のCT、MRIを撮ることに関連して、CTとMRIと言う検査についてまとめましたが、これは自分に狭心症の疑いがあったためです。

特に中高年あたりの年代からは、高血圧などと並んで心臓の病が起こる方も増えてくると思います。

今回は前回にも関連して、狭心症と心筋梗塞について詳しくご紹介していきたいと思います。

心臓に血液が行かなくなって起きる病

狭心症と心筋梗塞もどちらも心臓の病であり、共通しているのが、心臓に血液が行かなくなる病、と言う点です。

まず狭心症は、心臓へ流れる血液が減っているという状況です。

心臓の血管が狭くなっているような形で、症状としては胸の痛みや不自然な圧迫感、締め付けられる感じがするといったものです。

これは中高年や高齢の男女はもちろん、糖尿病の患者さんでもこうした症状が起こることがあります。

胸の部分以外の症状が起きることも多く、軽い動作での息切れ、呼吸困難、胃腸の気持ち悪さを伴うこともあります。

他には冷や汗や不安、お腹周りの不調、さらには筋肉痛や肩こりに似た症状が出ることもあり、一見関連がないような症状でも、狭心症によって引き起こされているというケースがあります。

狭心症の最大の特徴は、長くても10分ほど動かずに、安静にしていると症状が引いていくという点です。

胸の苦しさなどの症状が突然激しく来たとしても、数分から10分ほど休んでいると全く無くなっていく、と言う場合は狭心症の可能性があります。

一方の心筋梗塞は、心臓の血管が文字通り塞がり、詰まって心臓の筋肉が壊れるような状態です。

ですので、痛みや苦しさとしては前述の狭心症よりも遥に重く、苦しいものになります。

さらに、少し休んだ程度では回復せず、一度発症するとかなりの長時間苦しさが続くのが心筋梗塞です。

もし、10分程度休んでも胸の苦しさや圧迫感が全く変わらないようなときは、緊急の処置が必要になりますので、事情を説明してすぐに救急車を呼んでください。

まずはお薬での治療を

狭心症はお薬によって治療が出来ます。

まず発作を抑えるお薬として、爆薬にも使われるニトログリセリンを使用します。

これは痛み止めのように発作が起きた時にすぐに使うもので、舌下錠になっているのが特徴です。

舌下錠とは文字通り、飲み込むのではなく、舌の下に置くことでお薬が溶け出し、すぐに効くというもので、これによって心臓の血管を一時的に広げ、心臓への血液の流れを正常に戻します。

非常に素早く、そして大きな効果があるお薬ですので、もし発作時にニトログリセリンを使っても改善しない場合は狭心症ではない別の病や、心筋梗塞の可能性がある、と判別することもできます。

他には血液をサラサラにするお薬を使って血栓を作らないようにするのも治療になりますが、狭心症でも薬で治療しきれない場合もあります。

その時はステント手術と言い、ステントという管を心臓の血管内に入れて広げるという手術をすることもあります。

次に心筋梗塞の場合は、緊急性が高いため、起こった場合にはすぐに処置を行います。

始めに行われることが多いのが、詰まった部分の血栓を溶かして血流を回復させる処置で、その次に血管を広げて血流を改善させるとか、心臓バイパス手術を行うこともあります。

ちなみに狭心症も心筋梗塞も、今後再発しないように、という意味で念のために手術を行うケースもあります。

動脈硬化に要注意

最後に、狭心症と心筋梗塞のきっかけ、引き金とも言えるのが、動脈硬化です。

動脈硬化は単に血管が硬くなるというだけではなく、血管が詰まり、中が細くなって血圧が高まっている状態でもあるため、これの改善、予防が狭心症と心筋梗塞の予防に直結します。

ただ、予防はともかく、改善は非常に難しく、一度分厚くなってしまった血管を細くするというのは至難の業になります。

ですので、これ以上細くならないように、詰まらないように予防していくことが大切です。

これは一言で言えば、生活習慣、食生活の見直しになりますが、例えば悪玉コレステロールは血管を分厚くしたり、老廃物をため込む一因になりますが、生活習慣の改善だけではコレステロール値は下がらないということもあります。

例えば、コレステロール値は遺伝によって生まれつき数字が高いケースもあり、その場合は食事や運動をしっかりと行っても改善しないこともあります。

その場合は薬によってコントロールする必要があるため、健康診断の際などには必ず確認するようにしてください。

その他だとやはり、バランスのいい食生活と運動習慣が大切で、タバコは厳禁になります。

特にタバコは血管を収縮させる作用があるため、動脈硬化のリスクを減らす際には禁煙は非常に重要な選択になります。

そしてもう一つ、肥満が危険なのはもちろんですが、それは体重が増えることで血液を送る場所が増えることになり、心臓にかかる負担が重くなるという点があるためです。

ですので、生活習慣の改善を含めて、肥満の傾向がある場合はその改善もしていくのが良いかと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属