発熱の秘密とは?体を守る熱の役割と賢い対処法【リスナーからの質問】#784

熱が出るメカニズム

先日コメントにて、息子が39℃の熱を出していて結果待ちです。免疫力が落ちているのかな、と頂きました。

今時期の高熱と言うとやはり、インフルエンザか新型コロナかどちらかに感染したとか、小さいお子さんだとそのほかの可能性も充分あるので、不安だと思います。

体が起こす発熱という症状は、免疫システムによって起きる反応の一つということは、voicyでも折に触れてお伝えしていると思いますが、これは見方を変えると、熱が出る=免疫力が下がっている、と受け取られることもあるかもしれません。

しかしこれは、一概にはそうとは言えません。

今回は今一度、発熱という症状と免疫力についてまとめて行きたいと思います。

2段階に分かれる免疫システム

人間の持つ免疫システムは、大きく2つの段階に分かれます。

まず一次の免疫として、侵入した病原菌や異物を見つけ、無力化するという働きをします。

この時に働くのが白血球やリンパ球という細胞になります。

この一次の免疫によって、万が一呼吸などでウイルスや菌が体内に入ったとしても、具体的な症状が出ないまま、知らず知らずのうちに撃退されるのです。

ちなみに免疫システムは、一度入ってきた病原体をある程度記憶して専用の武器を作る働きもあるため、同じ病原体が入ってきた際にはすぐに対処できる体制にもなっていますが、長期的に覚えておくということは出来ません。

生活習慣の乱れなどによって免疫力が低下していたり、強力なウイルスが入ってきたりすると、この一次の免疫システムを突破して、体の中で悪影響を及ぼします。

その時に戦うのが抗体という細胞です。抗体も免疫細胞が使う、その病原体専用の武器のようなものと考えてください。

例えばワクチンも基本的には、こうした抗体を体内で作っておくために接種するものです。

発熱と言う反応

そして、今回の本題となる「熱」についてですが、最初に述べたように免疫システムが病原体に対して戦ってる反応として、体温が高まります。

これはなぜそうなるかというと、温度が上がるとほとんどの細菌やウイルスは生きるのが難しくなり、大幅に弱るのと同時に、逆に免疫細胞熱が出るとより活発に動くという仕組みになっているためです。

具体的にどのようにして熱を生み出しているかと言うと、体の代謝やエネルギー消費なども含めて、いくつかの流れがありますが、そのうちの一つに免疫細胞のマクロファージというものがあります。

これは免疫細胞が病原体をやっつける際、飲み込んで破壊していきますが、その時に熱を引き起こす物質が分泌されることで、体の熱が上がって行く、という一説があります。

つまり、熱の温度が高くなるということはその分、体内に大量の病原体が体内にあるのと同時に、大量の白血球やリンパ球が働き、撃退の活動をしているがために高くなっている、と言うことが出来ます。

そして言い換えれば、熱が出ていないからそれほど重い事態にはなっていない、と思っていると、実はマクロファージが上手く出来ないほど体内に免疫細胞が無く、病原体だけが体内で広がってしまう、ということが起きるケースがあります。

これは特に高齢者の方で、軽い肺炎だと思っていたら、老衰によって熱などの症状が出ないほど免疫細胞が衰えていて、実際にはかなりの重度な肺炎になっていた、ということも実際に起こります。

ちなみに、ゆでたまごのように高温になるとたんぱく質が固まるように、40℃を超える熱は人体にとって危険な数字で、特に42℃を超えるような熱は体の機能を支えているたんぱく質の形が変わる恐れがあり、機能を失う危険があります。

42℃以上になるのは熱中症のような場合が多く、感染症によって42℃を超えることはまずありませんが、万が一41℃や42℃を超えるような場合はしっかりと水分を取るのと同時に冷やすことも忘れないで下さい。

発熱した際の対処

以上を踏まえると、発熱は免疫が活発に働いている証拠でもあるため、解熱剤などを使ってすぐに下げる必要は無いと言えます。

病原体と戦っている最中であれば、ある程度熱が高いほうが早く治りやすい、ということです。

解熱以外で必要な対処としては、まず重要になるのが水分補給です。

これは、汗のために水分が必要になるという意味ですが、さらに元をたどると、汗は必要が無くなった熱を下げて、平熱に戻すために分泌されるものです。

汗が出せないと、熱を下げたいときに下げるのが難しくなるということになり、体力を余分に奪うことにつながります。

ですので、水分補給は欠かさずに行ってください。

スポーツドリンクがあると便利ですが、激しい高熱で水分が受け付けない場合もありますが、その時は経口補水液を使って、熱中症の時のようにこまめに補給するようにしてください。

次に末端の様子を見てみてください。

もし、熱がすでに出ているのに手足の末端が冷たいというときは、これからまだまだ熱を上げようとしている準備をしている段階ですので、この時は熱を上げやすいように厚着をしたり、毛布を重ねてかけて安静にするようにしてください。

その逆に、末端も温まって暑くなってきたら、体がこれから熱を下げようとしているサインになります。

そうなったら、水分をより一層しっかりと取って汗が出るように促して、不必要に寒くならない程度に風通しが良い服装をしたり、毛布を掛け過ぎないようにして調節してください。

ちなみに、体質によっては平熱が低く、熱を上げることが難しいということもあります。

例えば、普段の平熱が35℃前半ほどだった場合、免疫細胞が働いて発熱して2℃上がったとしても、数字としては37℃になり、微熱程度と思われやすいですが、本人からすると平熱から2℃も上がっているため非常に苦しい状態になります。

こうした場合だと、37℃台でも食欲がなく、水分も受け付けないこともあるため、その場合では解熱剤を使って体力を確保するのが最善です。

最後に、もし熱と同時に強い頭痛や吐き気、嘔吐、首のこわばりと言ったような、別の症状を併発している場合は、何らかの別の病によって急を要している可能性があるため、すぐに病院に行くか、緊急の救急相談を利用して頂ければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属