カフェインは摂り過ぎると危険なの?#603

カフェインの摂り過ぎに注意

なくすりーなでは、LINEでの健康相談も受け付けています。

先日、そのLINEでの相談の中で、眠気覚まし目的でカフェインをとるとき、どういうものが良い?といったものをいただきました。

市販されている「メガシャキ」という飲料や、エスタロンモカという眠気除去薬などは、カフェインを主成分とした眠気覚ましに効果がある製品ですので、そういったものを活用していけば大丈夫です。

ただし、こういったカフェインの飲みすぎ、摂り過ぎには注意が必要です。

今回はこのことに関連して、カフェインについて少し取り上げていきたいと思います。

カフェインという成分

まず「カフェイン」という成分ですが、誰でも簡単に摂ることができる成分です。

例えば、コーヒーやお茶、ジュースのコーラやエナジードリンク、栄養ドリンクと言った飲み物に含まれていることで有名だと思います。

ちなみに、コーヒー、緑茶、コーラにはカフェインが含まれているのは、いずれももともと植物由来の飲料で、原料となる植物にカフェインが含まれているためです。

そして、メガシャキなどの栄養ドリンクや、清涼飲料水のエナジードリンクにカフェインが含まれているのは、眠気覚ましの効果を得る目的で、人工的に配合しています。

眠気覚まし以外の効果としては、利尿効果が大きく、カフェインを摂ることで文字通りおしっこが出やすくなるという効果があります。

また、カフェインは脂肪燃焼効果もあってダイエットにも役立つ、と言われがちですが、これはあまり得られません。

カフェインによる脂肪燃焼効果は、脂肪に働きかけるのではなく、自律神経の交感神経に作用することで、活動が活発になり、脂肪が普段よりは燃えて行く、というためです。

自律神経については421回で詳しく触れておりますので、参考にしていただければ幸いです。

そして、カフェインを摂りすぎるということは、この自律神経の交感神経を刺激しすぎてしまう、いわばアクセルを踏み過ぎてしまう、ということになって様々な悪影響が出ます。

カフェインの「急性症状」

カフェインを摂りすぎることで、急性症状が起き、いわゆる「カフェイン中毒」が起きます。

症状としては、めまいや不眠の症状、動悸、震えが出るとか、不安感が襲うと言ったもので、起きる量は個人差がかなり大きいため一概には言えませんが、成人の場合では1時間あたり400ミリグラム摂ると危険とされています。

これは一般的な量のコーヒーで換算すると、1時間5杯ほどとなります。これは一般的な成人の数字で、子供だともっと少ない量でカフェイン中毒になることがあります。

海外ではエナジードリンクを一気に飲んだお子さんがカフェイン中毒になりそのまま命を落としたということが起きています。

他には、妊婦さんの場合だと1日あたり300ミリグラム、産後で授乳中の方だと200ミリグラムほどにとどめておくように推奨されています。

そしてこのカフェインには、「依存性」もあります。

カフェインの中毒が問題に

近年、問題になってきているのが、カフェインの「中毒」になる方です。

これは前述の、1日当たり400ミリグラム(コーヒー換算で5杯程度)以上の量を、日常的に摂ってしまう状態です。

カフェイン中毒は1回あたりの摂取量が多いと起きやすいとされており、1回でコーヒー1.5杯ほどの量を一気に飲む方は注意が必要です。

そういった量を1日や2日ほどであれば、飲んでも問題ない事が多いですが、毎日飲み続けることで、飲んでいない時間にイライラしたり気分が落ち込んで良くならない、不安が出る、そして動悸や息切れといった中毒症状として表れてきます。

コーヒーを1日4杯以上飲む方や、一回の量が普通のコーヒーカップ1杯ではなく、大きめのマグカップのような容器で多めに飲んでしまう方は中毒の恐れがあります。

また、これはコーヒーに限ったことではなく、カフェインの飲料であればコーラやエナジードリンクでも起きる可能性があります。

特にエナジードリンクは人工的にカフェインを配合しているため、コーヒーと同程度の量が入っていることが多く、例えばレッドブルでは250mlの缶1本でコーヒー1杯と同じ量のカフェインが含まれています。

お茶や紅茶でもカフェインが含まれていますが、それらはコーヒーよりはカフェインが少なく、同じ量の1杯でもカフェインの含有量は半分から3分の1ほどです。

お茶や紅茶であれば、単純計算で1日15杯ほど飲まなければ、コーヒーと同程度のカフェインを摂取できないということになります。

長期間・多く摂取し続けることで依存に

カフェイン中毒、コーヒー中毒は、短期間で軽ければ、およそ1週間ほど飲まなければ元に戻っていきます。

つまりカフェインが体内から抜けて、通常に戻るのが1週間程度ですので、その間飲まなければ大丈夫ですが、毎日飲む量が多かったり、摂取していた期間が長期間になると、抜け出すのは難しくなります。

これはいわゆる禁煙や禁酒、つまりニコチン中毒やアルコール中毒とほぼ同じ仕組みで依存が起きるためです。

体内に常にカフェインが無いと上手く働かない、活動量が落ちる体質になってしまうため、簡単に辞めることができなくなるのです。

もしカフェイン中毒かも、と心当たりがある場合は、普段の量から1杯か2杯ほど、カフェインの入っていないコーヒーやジュースをとるようにして、一日の摂取量を少しずつ減らしてみてください。

そうして、少しずつ体からカフェインの量を減らしていくことで、無理なく抜け出すことができるかと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属