Twitterで拡散!マスクは本当に不要なの?#602

エアロゾル感染により、マスクが不要?

先日、ツイッターで少し話題になっていたのが「マスクが不要になる」というお話です。

3月28日、国立感染症研究所が、正式に「covid-19はエアロゾル感染する」ということを認めました。

エアロゾル感染を簡単におさらいすると、まずインフルエンザやcovid-19と言ったウイルスは、くしゃみによる鼻水や咳による唾液の飛沫に、感染力のあるウイルスが含まれ、そこから感染が広がります。

そういったものの飛沫の中でも、さらに小さい飛沫を「エアロゾル」と言い、これは目に見えないほど小さいレベルの飛沫になります。

そのエアロゾルに感染力を持つウイルスが含まれ、実際にそこから感染が広がることが認められると、「エアロゾル感染をする」という風になります。

呼吸する中で吸い込んでしまう

通常のくしゃみや咳による飛沫は、勢いによっておよそ1メートルから2メートルほどは浮遊しますが、重力があるためやがて物や地面に落ち、付着します。

しかしエアロゾルは、空気中に漂う水蒸気レベルの大きさですので、それらよりも長時間空気中に浮かび、人間が呼吸する中で吸い込むこともあります。

つまり、感染力を持ったエアロゾルを吸い込むことで感染する恐れがあるのです。

これを防ぐためには、換気をこまめにして、感染力のあるエアロゾルを長時間同じ空間に留まらせず、吸い込まないようにすることが必要です。

エアロゾル感染に否定的だった国立感染症研究所

covid-19がエアロゾル感染するという説は、voicyでも度々触れていたように以前から世界的に話題になっていて、WHOやアメリカの疾病対策センターでは1年前ごろにはすでに認められていました。

ですが、日本の国立感染症研究所では、covid-19は通常の飛沫感染と接触感染が主な感染経路で、エアロゾル感染はしない可能性が高いという見解でした。

これが先日、エアロゾル感染も感染経路の一つ、という見解になったということです。

そしてこれと同時に、ツイッターで少し話題になったのが「マスク不要論」です。

ツイッターで拡大したマスク不要論

今回の本題となる、ツイッターで広がったマスク不要論ですが、このことと同時に引用されたのが、WHOの「感染予防にマスク着用は不要」というニュースです。

しかし、このWHOのニュースの引用元は2年前のもので、covid-19の一番初期、世界的にマスクが不足して医療従事者へのマスクの供給が著しく減ったことを受けての発表です。

感染拡大当初、まだウイルスの実情が分かっていない頃の事で「症状が無い方はマスクをつける必要は無い」という発表のニュースで、世界的にはその後、欧米各国ではロックダウンする都市が相次ぎ、死亡者も多数出ました。

そしてこの発表3か月後には、マスク着用を推進する発表をした上に、昨年11月にはオミクロン株の拡大を受けて、マスク着用を一層徹底するように、との見解も出しています。

ですので、この発表をもとにマスク着用が不要、というのは間違い、と言えます。

またエアロゾル感染についても、WHOは「エアロゾルは非常に小さい飛沫で、マスクを通過する可能性はあるものの、マスクの意味が無いとは考えていない」との見解を示しています。

エアロゾルはマスクを通り抜けるのか

エアロゾルとマスクの実験は、自分が調べた限りでは一つあります。

その実験は、普通の不織布マスクでも、鼻とマスクにわずかにでも隙間があれば、大きな飛沫は防げてもエアロゾルは防げない、というものです。

そしてこの実験の結論は、マスクをしていても隙間があればエアロゾルが入って来るので、隙間を作らないようにきちんとつけるように、と締めています。

この実験を、一部の人の間では、「エアロゾル感染が防げないからマスクは不要」と受け取ってしまい、マスク不要論が話題になったのです。

隙間無くしっかりと付けていた場合にエアロゾルをどれだけ防げるか、という実験データは、自分では確認できませんでしたが、個人的には海外と日本の感染者数、感染状況を見比べると、マスクをする意味は充分あると言えます。

以前から日本でのマスク着用率は当初より海外に比べて高く、オミクロン株で感染者数が増えたものの、他国に比べたらそこまで多くはないという現状があります。

今後新たな、別な実験や統計データが出てくる可能性はもちろんあるため確かなことは言えませんが、マスクである程度の感染を防ぐことは、個人的には充分可能と考えています。

不織布マスクを、隙間なくきちんとつける

最後に、久々にマスクのつけ方について、おさらいしていきます。

不織布マスクの、鼻のところに当たる針金をきちんと鼻に当てて、隙間を作らないようにつけることが大切です。

個人的におすすめなのが、マスクをつける前に、針金の部分を一旦内側に折り返して、半分にしっかりと折って折り目を付けてから、付けるという方法です。

このつけ方は意外に鼻に密着する上に、隙間が空いていないためメガネが曇るのも防げるので非常に便利です。

ちなみにウレタンマスクは、エアロゾルは一切防げないため、出来れば普段から不織布マスクをつけるようにしましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属