鼻の中に出来るできもの、鼻茸とは?#711

鼻の奥にできるポリープ

先日患者さんから、鼻の奥が痛いという相談がありました。

鼻の奥にできものみたいな、何か塊らしきものがあるようで、指で押したら感触があるのと同時に痛みも出るとのことで、手術の必要があるのかと心配しているようでした。

鼻づまりも徐々に、日を追うごとに酷くなってる感じがしていて、とても不安そうでした。

このできものは「鼻茸(はなたけ)」と言い、いわゆるポリープの一つになります。

鼻の奥にできる鼻茸

鼻茸はポリープの一つですので、見た目で言うと半透明で鼻水が固まったような柔らかいものです。

ポリープと聞くと大腸ポリープが有名で、放っておくとガンになるように思われそうですが、この鼻茸はガンにはならず、悪化することはありません。

鼻茸は鼻の中で炎症が起きることでできるもので、原因ははっきりとはわかっていませんが、花粉症などのアレルギーがあって慢性的に鼻炎になっている方が患者さんとして多いことは明らかです。

また、風邪などで副鼻腔炎などのあたりにウイルスや細菌が感染することでも鼻茸ができますが、その場合は感染が収まって症状が治ると鼻茸も徐々に消えることがありますが、消えずに残り、逆に徐々に大きくなることもあります。

鼻茸は小さいものだと、気づいていないうちにできていることもあり、自覚がなくて日常生活にも問題がないのであれば放っておいても大丈夫なもので、徐々に小さくなっていって消えることもありますが、慢性鼻炎の一因になることもあります。

ただ、鼻水や鼻詰まりが鼻の奥でできているような、後鼻漏の原因になっていたり、においがわかりにくいといった症状の原因にもなり得ます。

進行していると、治療ができても嗅覚があまり元に戻らないということもあるため、もし心当たりがある場合は、耳鼻科さんに行くのももちろんおすすめです。

鼻茸は小さい場合は、放置していても徐々になくなっていることはありますが、大きい場合はしっかりとくっついているため、鼻をかめば取れるということはほぼ無い上に、放置して小さくなるケースはあまりなく、むしろ大きくなることのほうが多いです。

ステロイドの薬で治療

治療としては、ステロイドの薬での治療が基本となります。

点鼻薬も使いますが、飲み薬でも鼻茸に効果があり、早く小さくなるためお薬での治療が多いでが、それでも不快感が治らず、深刻なケースもあり、その場合は手術という選択肢もあります。

一昔前までは鼻の根元の部分から器具を入れ、削り取るような手術をしていましたが、現在では内視鏡を使っての手術になるので負担も少なくなっています。

初期のものであればお薬でも治るため、心当たりがあれば耳鼻科のお医者さんに診てもらうのがおすすめです。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属