途中で目が覚めちゃうのはどうしたらよいの?#710

夜中に目が覚めるときの対処

先日コメントにて「2時に目が覚めてしまい、7時間眠りたいところを4時間睡眠ぐらいになってしまう」といただきました。

薬を飲んでようやく4時間睡眠ぐらい、とのことで、いわゆる不眠症になっているようです。

睡眠に関しては度々触れていますが、今回は不眠症というものについて、詳しく取り上げていきたいと思います。

不眠症の定義

不眠症の医学的な定義としては、1日や2日程度ではなく長期にわたって、睡眠に何らかの障害が起きているということと、自覚できる精神や体の不調が起きている、という二つが起こっていると不眠症となります。

コメントのような中途覚醒に加えて、例えば体のだるさや頭痛、うつのような症状などが起きて、日中の生活に支障が出ていると、不眠症治療が必要になってきます。

なんとなく眠れないというのは、おそらく誰しもが経験あることで、実際に一般成人の3割から4割ほどは何らかの不眠症状、睡眠にまつわる問題があるとされており、男女で言うと女性のほうが多いとされています。

いつも眠りが浅いとか眠れた感じがしない日が多いというような、慢性的な不眠がある方は全体の1割ほどとされており、成人の10人に一人は眠れていない計算になります。

さらに60歳を超えると半分以上が睡眠に何らかの問題を抱えているとも言われています。

眠りは自分でコントロールことはほぼできないため、睡眠に関する症状は非常にポピュラーで特殊なことではありませんので、不安に思う必要はありません。

まずは原因を取り除く

代表的な不眠の睡眠障害は大きく分けると、寝つきが悪いが一度眠れると朝まで目が覚めないというタイプと、コメントのように途中で目が覚めてしまってもう一度眠りにつくことができないタイプ、そして睡眠の途中ではなく、予定よりも早いうちに目が覚めてしまうタイプに分けられます。

いずれも原因はストレスや生活習慣の乱れが主ですが、例えば痛みなどの不調で体が落ち着かず、眠れないということもあり、コーヒーなどのカフェインの影響によることもあります。

また周囲の騒音などの環境によるものでも眠れないことがあります。

ですので、対策としてはこれらの原因を取り除くことをやってみてください。

痛み止めを飲んだり痛みに対しての治療をするとか、騒音は周囲の問題もあるため難しいですが、耳栓を使うとかカーテンを防音遮光性能の高いものに変えるなども一つの対策になります。

ただやはり一番原因になりやすいのが、ストレスや生活習慣の乱れです。

特に睡眠に関しては精神的な影響も大きく、コメントの方などのように、時間にこだわってしまうと余計に眠れなくなります。

朝何時に起きるとか、何時間は眠れないと厳しい、という風に考えてしまうとそれが大きな負担になり、不眠が悪化しますので、少し難しいですが考えないようにするのも一つです。

あともう一つ、眠れないときは一度起きてトイレに行くなど、少しリセットするように軽く活動をして、寝なおすというのもとても有効です。

寝れないままベッドや布団の中にいると、その位置が眠れない場所と認識してしまい、眠りにつくことが一層難しくなります。

ですので寝れないと思ったらいったん起きて、別のことをして気分転換して、それから再度入りなおすのも手です。

あとは自律神経などの回でも触れているように、朝日を浴びて体内時計をリセットするのも大切です。

朝日を浴びて体内時計がリセットされると、そこからおよそ14時間後に眠くなるようにできているため、それを逆算して生活リズムを整えるということもできます。

それ以外だと、ニコチンやカフェイン、アルコールは睡眠を妨げる一因になるので注意が必要です。

カフェインは有名ですが、お酒は少し眠くなるような作用があり、寝酒という言葉もありますが、実はその効果はとても短く、逆にアルコールの分解などで内臓が働き、利尿作用もあるため中途覚醒の大きな原因になりやすいのです。

睡眠薬は一時的な助けに

最後に、睡眠に関するお薬、睡眠薬についてですが、これはあくまで一時的に飲んで、寝る習慣をつけるという意味では便利に使えます。

睡眠薬は日中の生活に支障が出るのが問題ですので、あくまで一時的に、睡眠時間をとることで日中元気に活動するためと意識して使う分には問題ありません。

市販薬だとドリエルというお薬が、睡眠導入薬として有名ですが、これはアレルギー用のお薬が元となっており、アレルギー用のお薬の副作用に眠くなるという効果があり、それを利用して睡眠に入るというものです。

あとサプリメントとして、グリナというものがありますが、これは寝つきがよくなるというよりは、熟眠感が高くなり、短い時間でもぐっすりと寝た感じが得られるため、中途覚醒が多い方には非常に役立ちます。

ただ、グリナはコストが高めのサプリメントで、グリナの原料となるグリシンという粉末のものだと安価ですので、これを寝る前に3グラムほど飲むのがおすすめです。

グリナ、グリシンは成分で言うとアミノ酸の一つですので、アレルギーも起こらないため、もしお悩みでしたら試してみて下さい

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属