冬のブルーを吹き飛ばせ!季節性感情障害(SAD)と上手に付き合おう!#767

冬特有の気分の落ち込みを改善するために

春に五月病という言葉があるように、季節の移り変わりで気分が落ち込むことがあると思います。

今回取り上げるのは、SADという季節性感情障害と言う病で、秋から冬にかけて症状が起きやすい、うつ病の一種です。

五月病のような、休み明けや環境の変化に伴って起こる疲れとは違うもので、寒いときに起こるのが大きな特徴です。

もし、心当たりがある方は、是非参考してみて頂ければと思います。

日照時間の短さが原因

SADは季節性感情障害と言い、季節性と名付けられていますが、春から夏にかけて起こることは稀です。

症状としてはうつの症状と近く、1日の大部分を気分が落ち込んだ状態で過ごすとか、これまで好きだったものや興味があったものに対して、特に理由もなく興味が無くなるとか、気力がなくなるといったことが起きます。

うつと違う部分で言うと、例えばうつの場合は不眠の症状が出ることが多いですが、SADの場合は起きることが難しくなって寝すぎてしまうということもあります。

SADが重症化することはまれですが、深刻になると集中力が無くなるとか、不安が増大して自殺願望が出てくるといったことも起こります。

SADの最大の原因は、秋冬になって日照時間が夏よりも短くなることにあり、特に1年で日照時間の変動が大きい、北の地域に住んでいる人で起きやすいとされています。

光療法でセロトニンを得る

SADとうつは、どちらも気分の落ち込みという意味で同じなため、見分けるのは非常に難しいです。

もし重いストレスなどの心当たりが無い場合は、日照時間が短くなったことによるセロトニン不足ということで、意識して日光を浴びたり、気分転換をしてセロトニンを補給することが大切です。

ですので、病院に相談に行く場合は、心療内科や精神科のお医者さんに行くのがベストです。

病院では光療法と言い、光を直接当てて体内時計をしっかり整えるという治療が出来ます。

また逆に、夜明けシミュレーターとして、暗い状態から徐々に光を強くさせていくようなシミュレーター装置を使って、自然に目覚める感覚を取り戻すといった治療も行います。

それ以外では、やはり日頃から毎日、外に出て日光を浴びるのが最も改善につながります。

ビタミンを忘れずバランスの良い食事と朝一での運動を

食事で言うと、特徴としてはビタミンDが少ない場合はなりやすいので、ビタミンDが大切ですが、やはり基本的なことですが果物や野菜、穀物、低脂肪のタンパクも含めて、偏りのないバランスの良い食事をとることが重要です。

そして出来れば、朝に外に出て、一定のテンポで軽く歩くだけでも良い運動になり、セロトニンの分泌を助けるため、試してみてください。

そのほかストレス対策をすることや、睡眠時間をしっかりとること、気分転換をすることはもちろん大切で、SADの予防をはじめとした様々な不調の予防につながりますので、是非普段から意識して頂ければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属