血糖値の意味
先日、自分の知り合いで「検査の2時間前にケーキを食べた」という方が居ました。
食後は血糖値が急激に上がるため、普通は健康診断や血液検査の日は朝ごはんを食べないとか、空腹で受けるのが常ですが、この方はケーキを食べてからわずか2時間後に検査をしたのです。
この話になったときに、そういえば食事から2時間後の血糖値は糖尿病の予備軍かどうかを知るのに意外と大切、という事を思い出しました。
今回はこのお話しから、血糖値そのものについて今一度深くお伝えしてみたいと思います。
血中に溶け込んだ糖質の量を示す値
「血糖値」という言葉は、これまでのvoicyの配信でも、ダイエットや生活習慣や健康診断などに関する際には度々登場していると思います。
一言で言うと「血中にどれだけの量の糖質が溶け込んでいるか」を表している数字が、血糖値です。
米や小麦などから得る炭水化物、そしてお菓子や果物から得る糖分、どちらも糖質で、摂取することで血糖値が上昇します。
ブドウ糖や果糖と言った、最小の大きさのものまでに分解されたのち、小腸に行き、それから一旦肝臓で貯まります。この時、血糖値が一定になるようにバランスをとるように肝臓が働きます。
血糖値は高すぎても低すぎても体には悪影響で、まず糖は水分を奪うため、血糖値が高すぎると喉が渇き、体内の水分が減り脱水状態になり、意識を失うこともあります。
逆に血糖値が低すぎると、体はエネルギー不足になり、体の動きが悪くなったり、こちらも同様に意識を失うこともあります。
肝臓では担えない働きをするのが「インスリン」
血中の糖が減れば肝臓から糖を出して送り込み、血中の糖が多ければ肝臓からの供給は一旦止めます。
それでも糖が不必要に多い時に分泌されるのが、インスリンです。
インスリンはホルモンの一つで、血糖値が高い時に分泌して、糖分を脂肪に変えて細胞内にエネルギーとして溜め込むという働きをします。
糖質を摂りすぎると太る、というのはこのインスリンの働きによるものです。
そして、インスリンが大量に分泌されてもなお血糖値が下がらず、血中の糖が濃いままになってしまうのが、糖尿病です。
糖尿病になっているかどうかを判断するのが、空腹時の血中の糖分の濃さです。
言ってしまえば、しばらく何も食べていないのに血糖値が高いのは異常ですので、糖尿病と言えます。
糖尿病予備軍とは
最初に出て来た糖尿病の予備軍、という言葉ですが、これは空腹時の血糖値は正常でも、食後の上がり方が激しく、いわば爆上がりするような方のことを指します。
食後には血糖値が上がりますが、この上がり方が激しすぎると、動脈硬化になりやすく、心筋梗塞や脳梗塞の引き金になります。
食後の血糖値が急激に上がる理由は、インスリンの分泌量が減ったり、インスリンそのものの働きが鈍くなっている可能性があります。
この糖尿病予備軍かどうかを知るための検査が、食後2時間後血糖という検査です。
通常の健康診断などで行う血糖値の測り方は、正式には空腹時血糖と言い、お腹が減っているときの血糖値を確認します。
ですが、食事から2時間後の血糖値を測ることで、食後の血糖値の上がり方が正常かどうか、食後のインスリンの分泌の仕方はどうかが確認できます。
食後の血糖値の急上昇に注意
食後の血糖値の上昇は普通の方でも大敵で、注意が必要です。
例えば、ご飯の早食いやジュースを一気にたくさん飲んでしまうと、血糖値が急激に上がり、インスリンの分泌も大量になります。
ですのでやはり、基本的なことになりますが、ご飯は早食いせずにゆっくりと食べるとか、糖分の多いジュースを飲み過ぎないといったことを気を付けてください。
ご飯を食べるときは、普段飲み込むところよりも5回だけ多く噛むなど、少しでも噛む回数を増やすことで、消化吸収がゆっくりになって血糖値の上昇も緩やかになります。
また食べる順番も、野菜類や繊維質を最初に食べて、最後に炭水化物を食べることで、炭水化物の吸収が遅くなり、血糖値の上昇が抑えられます。
食べる順番を考えるだけで、同じ物を食べたとしても太りづらくなり、糖尿病を防ぐことができますので、是非普段から意識してみてください。