お雑煮は健康に良いの?#674

お雑煮の意味

前回、おせち料理について取り上げましたが、今回はおせちと合わせて食べることが多い「お雑煮」についてです。

お雑煮は日本では平安時代のころにはすでに食べていた記述があり、新年のお正月以外にもお祝いの席で振舞われる料理が始まりとされています。

そして、お雑煮に入る「餅」そのものも特別な日に食べられるもので、正月にお供えをした作物と共に、煮込んで食べる食べ物のことを「雑煮」と言う説があります。

神様にお供え物をしたものを頂くということから、神様の力をもらえる、みたいな意味もあり、とてもおめでたい食べ物の一つとされています。

また江戸時代よりも前の時代は、餅は非常に高価で一般庶民にはなかなか手に入らないもので、里芋で代用することもありましたが、江戸時代あたりから庶民にも餅が手に入るようになり、現代にも続く、餅の入ったお雑煮が主流になっていきました。

後述しますが、お雑煮は関東や関西など、本州地域での文化なため、沖縄や北海道では本州とは少し違う点もあります。

前回のお節に続いて、今回はお雑煮について詳しくまとめて行きたいと思います。

餅の形に違いが

東日本で一般的には、焼いた角餅をお雑煮に入れることが多いです。

こうなったのは諸説ありますが、江戸っ子は短気なため、餅を丸く整形するのは時間がかかって嫌がったとか、相手を伸すという意味を込めて、つきたてのお餅を伸ばした伸し餅を切った角餅をお雑煮に入れるようになったなどがあります。

関西はその真逆で、丸餅で焼かずにお雑煮に入れることが多いです。

これも諸説ありますが、丸くすることで家庭円満などの縁起を担ぐなどの意味があるそうです。

このお餅の形については、位置的には関ヶ原あたりでしっかりと別れるとされています。

ちなみに、前述の北海道については角餅か丸餅かは特に決まっておらず、全域でバラバラになっているとされています。

これは、北海道開拓時に日本各地から人が移植して来たため、お雑煮の中身やお餅の形に決まったものが無く、地域ごとに変わるようになったとされています。

その他だと、香川県にはあんこの入ったお餅を食べることがあり、あんこの入ったお餅をお雑煮に入れていることがあります。

香川県は、江戸時代まで砂糖の名産地で、当時においての砂糖は極めて貴重品で、お正月だけは庶民にも砂糖を振舞うべく、餅に砂糖を入れていたという説があり、現在も続いているとされています。

そして、お雑煮のおつゆとなる「だし」についてですが、これは関東だと醤油のすまし汁系ですが、関西だと白味噌や赤味噌などの味噌味が主流で、他には鳥取や島根は小豆汁でぜんざいのようなお雑煮が主とされています。

お雑煮は栄養バランスが取れている

今回のお題ともなる、お雑煮の健康効果についてですが、まずネギなどの野菜が入っているため、バランスとしてはなかなか優れている料理と言えます。

前回も触れたように、おせち料理は野菜が不足しがちですが、ある意味鍋料理のように野菜を豊富に摂れるお雑煮はとても体に良い料理です。

また汁物で温かい上に、お餅そのものにも体温を上げる働きがあるため、冬の寒い時期にも非常に適しています。

お雑煮に、一つ付け足すとさらに健康に良いのが、「大根おろし」です。

大根おろしの入った雑煮は、みぞれ雑煮とも呼ばれており、大根おろしに含まれる消化酵素が消化を助けてくれて、胃腸の調子を整えるのにとても効果的です。

ただし、やはりお餅は炭水化物の塊で、普通サイズの角餅2個で、ご飯一膳分のカロリーがあります。

お雑煮に餅を入れる際、1個2個はともかく、4つほど入れる方もいると思いますが、それだとかなりのカロリーオーバーになります。

お餅は食べると太る、と言われがちですが、餅が特別太りやすいわけではなく、お雑煮などで食べやすいため自然と食べ過ぎてしまうためですので、食べ過ぎには充分注意してください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属