カラダの防衛は免疫にお任せ!健康の盾を鍛えるには?#770

人間が持つ「盾」となる「免疫力」

今年は暖冬と言われますが、北日本では寒さが本格化し始め、降雪や気温低下が例年並みに厳しくなり始めています。

これまで中年太りやお肌のトラブルと言ったことについて触れてきましたが、今回はそうしたものにも少し影響してくる、免疫力についてのお話です。

免疫力については新型コロナや胃腸のお話などに関連して度々取り上げておりますが、免疫力そのものについて取り上げたのは3年ほど前のようでしたので、今回は今一度、免疫力とは、ということについてまとめて行きたいと思います。

人間が持つ防衛システム

免疫力とは、簡単に言うと体が持つ防衛システムのことを指します。

病気や傷の回復はもちろんのこと、例えばウイルスや細菌、炎症の原因となる物質や異物といったものが外部から入ってきた際に、それを無毒化するために働くのも免疫力の仕事の一つです。

免疫力において、最重要とも言える物質が白血球です。

白血球はいわば兵士のような存在で、赤血球に交じって体の中を常に巡回しながら、体の中にある異物を見つけ、飲み込んで無毒化するという仕事をします。

風邪をひいた際に鼻水が黄色くなるとか、膿が出たりすると、それは白血球の死骸と言われることもあると思います。

そして兵士となる白血球と同時に、武器となるのが抗体と記憶細胞です。

抗体はインフルエンザのワクチンで有名ですが、侵入してくる異物に特化した特別な武器のことで、記憶細胞は一度倒した敵をある程度覚える細胞で、再度同じ異物が入ってきた際には、こうした抗体や記憶細胞を活用して、より素早く倒していく、ということが可能です。

また、免疫力は体のバランスを保つ役割もありますが、その働きが狂うと、花粉症やアレルギー反応が起こるように、本来は無害なものを毒とみなして攻撃してしまう、自己免疫疾患が起こるケースもあります。

免疫力が低下するということ

体の免疫力が低下する、ということは、前項のような働きが全て弱くなるということを意味します。

具体的に言うと、外敵をやっつけるのに時間がかかり、発熱などの症状が出て長引いてしまうとか、傷の治りが遅くなる、臓器にダメージが出るといったことにつながります。

体全体のバランス調整にも大きく関わるため、免疫力が低下すると疲労感やだるさが重くなり、体全体のエネルギー量が低下することにもなります。

そして当然、疲労感やエネルギーが落ちると精神的な負担にもなってくるため、免疫力が低下するということがストレスになってしまい、より免疫力が落ちていく一因になります。

免疫力を下げずに、高めるためには、まずは食事によって栄養素を補給することが大切です。

バランスの良い食事と適度な運動を

免疫力を高めるためには、やはり外から栄養を補給することが最善です。

ダイエットや生活習慣病予防などでも触れたような基本的なことではありますが、野菜や果物でビタミンやミネラル、食物繊維類を摂り、お肉や魚類や乳製品でたんぱく質を摂る、ということです。

こうしたものは出来れば1日3回に分けて摂るのがベストで、例えば間食にカットフルーツやナッツ類を食べるのもとても良いです。

当然、水分補給も欠かさずに行ってください。

そして運動も同じく、ダイエットや生活習慣病予防にも繋がり、免疫力向上にも大いに役立ちます。

ポイントは、激しい運動は体力を大きく消費して体にダメージになり、逆に免疫力を下げる一因になりますので、突然激しい運動をすることは控えてください。

無理のない範囲で、適度な運動量を継続して続けることが免疫力向上につながります。

そしてストレス対策や睡眠ももちろん重要で、免疫においては深呼吸やお昼寝が良い効果があります。

深呼吸や瞑想を1日5分ほど行うだけでも、ストレスが減って免疫力向上に役立つとされており、お昼寝は15分ほどであれば、胃腸に負担にならず、体力回復につながると言われていますので、もし可能な環境であれば試してみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属