朝のリンゴは医者いらず?
前回、柿について取り上げましたが、今回は頂いたコメントから「リンゴ」についてのお話しです。
前回の柿には「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われることがありますが、リンゴには「リンゴは医者いらず」と言われることがあります。
これは日本に限ったことではなく、イギリスのウェールズ地方では「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」とか、スペインでは「毎日のリンゴ1個は医者を遠ざける」という風に、世界各国で似たような言い伝えがあります。
これは、柿に比べてリンゴが長期保存が効き、栽培も世界中で行われるため、古来から一年中、世界どこでも食べられてきた果物だから、と言えます。
時期も国も問わず、人類にとっては健康食品的に重宝されてきたリンゴについて、深く掘り下げていきたいと思います。
リンゴの消費量とお医者さんにかかる頻度の研究
前述のように、リンゴは健康に良くてお医者さんが要らなくなる、という言い伝えが世界中にあることから、実際にそれを研究したデータがいくつかあります。
それによると、リンゴを1日1個食べている人と食べない人では、食べている人の方が飲んでいる薬が少ないという結果が出ていたりとか、40代から50代の健康な中年の方において、リンゴを食べることで悪玉コレステロールが減り、健康に寄与していることが分かった、というデータがあります。
医者いらず、とまでは言えなくとも、健康に良い影響を与える食品なのは確実と言えます。
リンゴは成分の95%が水分で、残りの15%が様々な栄養になっています。
例えば、柿にも多いビタミンAやCはもちろん、リンゴ皮にはポリフェノールも含まれています。
しかし、ビタミンCの量はは柿よりも少なく、1個当たりにつき4mgしかありません。
ビタミンCが多いわけではないですが、実はリンゴには特殊な働きがあり、血中のビタミンCの量を増やすという働きがあります。
これは血液検査による研究でも明らかになっており、リンゴを毎日食べる前と後とを比べると血中のビタミンCの量が20%ほど増え、毎日のリンゴを辞めるとその分血中のビタミンC量が減った、ということが分かりました。
リンゴそのものに含まれているビタミンC量はわずかですが、体内に入る事で体内のビタミンC量が増えるのです。
その他はカリウムや食物繊維ももちろん豊富で、食物繊維はリンゴの皮に特に多い「ペクチン」があります。
全体的にみると柿に近いぐらいの栄養があるため、ビタミンが摂れるとか、腸内環境に良いといった効果は確かにあると言えます。
リンゴの効果的な食べ方は「生」
リンゴの一番効果的な食べ方ですが、ずばり「生で齧る」ことです。
柿と同じく、皮にもポリフェノールが多く栄養があるため、皮付きのまま食べるのが一番おすすめです。
また、生で食べると含まれているビタミンCを破壊せずにそのまま摂取できる上に、シャキシャキ感があることで噛む回数が増え、満腹感も上がります。
ただし、その分胃腸の調子が悪い時にリンゴをそのまま食べるのは、食物繊維の分解などで意外に負担になり、エネルギーがかかります。
そこで便利なのが、すりおろしたリンゴです。
すりおろしたリンゴは、昔から風邪をひいたときなどに便利とされており、実際消化しやすい上にリンゴの持つ栄養を充分にとれるため非常に役立ちます。
ただ、おなかの整腸作用を得たいという時は、リンゴは加熱するのがおすすめです。
単純な焼きリンゴなどで良いですが、100℃以上で加熱すると食物繊維が生の6倍から9倍まで増えるため、お腹にとても良い栄養になります。
ちなみに、リンゴは飲料でもたくさんの種類が出ており、おいしくて健康に良さそうに思えますが、リンゴジュースで最も効率よく健康効果を得たい場合は、100%で濃縮還元ではないものがおすすめです。
濃縮還元は一度しっかりと加熱して作るため、リンゴに含まれる栄養素の大半が壊れ、失われてしまいます。
ですのでどちらかと言うと、ストレートで100%のものの方が、健康効果という面では高いです。
食べ過ぎるとお腹を壊す
そして、リンゴは水分と食物繊維が特に豊富ですので食べ過ぎるとお腹を壊し、下痢の原因となります。
また糖質もそれなりに多いため、食べ過ぎるとカロリーオーバーになり、リンゴによって中性脂肪が上がるという可能性もあります。
ですので毎日食べたいときは、前回の柿と同じく、多くても1日1個にとどめるようにしてください。