洗口液には危険性があるの?【リスナーからの質問】#665

「洗口液」って飲んでも大丈夫?

先日コメントにて、虫歯の治療中で歯磨き後に念のためマウスウォッシュをしている、というものをいただきました。

洗口液を使い続けても、内臓に影響が出ないのでしょうか、というコメントで、製品名で言うと「モンダミン」を使用されているとのことです。

マウスウォッシュとは、日本語にすると「洗口液」のことで、文字通り口の中を洗うもので、歯や口腔内のケアに役立つ製品としていくつも販売されています。

今回はこの、洗口液について詳しく掘り下げていきたいと思います。

洗口液と液体歯磨き

現在販売されている洗口液は、お口の中を洗うだけの「洗口液」と、歯磨きができる「液体歯磨き」の2種類があります。

それぞれ「マウスウォッシュ」と、「デンタルリンス」のことを指します。

どちらも使い方が同じで、似たようなものに思われそうですが、実はこの二つは大きく違う製品です。

ちなみに自分はリステリンという液体歯磨きを使っていますが、パッケージの見た目も似ているため、購入の際は必ず裏面を見て、洗口液か液体歯磨きかを確認してから購入してください。

まず始めに洗口液、マウスウォッシュの方ですが、これは先述のように文字通りお口の中を洗う目的のもので、口の中の不快感を取り除いたり、口臭予防として使える製品です。

ですので、まずは普通に歯ブラシで歯磨きをして、クロスなども使ってきちんと汚れを取った後に、最後の仕上げとして洗口液で口の中を洗う、というのが最も効果的な使い方になります。

虫歯や歯周病の原因菌は、普通の状態だとバイオフィルムという膜を作って守っているため、ブラッシングで壊す前に洗口液を使っても殺菌されないという特徴があります。

一方の液体歯磨きは、ブラッシングの前に使って口をゆすぐことで、歯磨きの効果が高まるという製品です。

普通の歯磨き粉のように研磨剤が入っていないため、歯を不必要に傷つけることなく、歯垢や菌を落とせるという利点があります。

どちらも刺激が強いのが難点

この洗口液と液体歯磨きの両者に共通しているのが、刺激の強さです。

これは言い換えれば爽快感が強く、口の中がスッキリとする感じがするという事ですが、その分口の中がきれいになった感覚がして、ブラッシングがおろそかになることがあります。

ですので、どちらにしてもブラッシングは必ずしっかりと、入念にすることは忘れないでください。

また、洗口液も液体歯磨きも、アルコールが成分の一つとして含まれているため、何度も使うと口の中が乾燥することがあります。

手指の消毒でアルコールを使うとわかりますが、アルコールはすぐ乾くうえに水分を奪って、乾燥させる一因になります。

口の中でも同様のことが起こり、口内の唾液の量が減って逆に口臭がひどくなる恐れがあったり、唾液内の必要な細菌類もまとめて殺菌してしまうことで、虫歯や歯周病のリスクが上がることにも繋がります。

ですので洗口液も液体歯磨きも、1日に何度も使うのではなく、必ず製品によって定められた回数を守ってください。

ほとんどは1日3回になっているかと思いますので、繰り返しになりますが必ず用法用量を守り、そして製品が洗口液なのか液体歯磨きなのかをきちんと確かめてください。

洗口液も液体歯磨きも、安全なの?

ちなみに洗口液に含まれるアルコールは、アメリカの歯周病学会では特に問題視されており、1日3回以上使うと口腔がんのリスクが高まる恐れがある、という発表もされています。

ただ、お酒やたばこなどと比べて高くなっているのであれば問題ですが、そういうことはないため誤差の範囲内という見方もあり、また1日3回という目安内であれば安全であることは確実です。

さらに最近ではアルコール成分が抑えられていたり、アルコールを使用していない製品もあるため、不安な場合はそちらを選ぶとより安全と言えます。

そしてもう一つ、フッ素を含む洗口液があります。

フッ素は歯そのものを硬くする働きがあり、歯医者さんでも欠かせない成分ですが、体内にとり過ぎるとフッ素中毒というものを起こす可能性があります。

これも毎回吐き出さずに全て飲み切ってたら起こる可能性がある、というレベルですので、普通に使う分には問題ありません。

たとえ誤って一口飲んでしまっても、すぐに吐き出さなきゃならないということは無いため、そこまで心配することはありません。

日本では安全性がきちんと認められたものが流通しているので、用法用量を守って使用していただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属