柿を食べ過ぎて、石ができる?
秋に旬を迎える果物の一つに「柿」があります。
柿は、学名を日本語に訳すと「神の食べ物」となっており、果物の中でも非常に栄養豊富なのが特徴です。
先日、ツイッターで、柿を食べ過ぎると「柿胃石」という、胃に石ができると話題になってました。
今回はこの柿胃石のニュースから、柿について詳しく取り上げていきたいと思います。
甘柿と渋柿
柿は大きく分けて、甘柿と渋柿がありますが、そこからさらに完全甘柿、不完全甘柿、完全渋柿、不完全渋柿の4つに分けられます。
そして、渋柿の持つ特有の「渋み」は「シブオール」という物質によるものです。
シブオールは甘柿にも含まれていますが、甘柿のシブオールは水に溶けない状態ですが、渋柿のは水に溶ける状態で含まれています。
つまり、渋柿を食べた時はシブオールが唾液で溶け出し、舌の味覚のところに入って感じ取ってしまうため、渋いという味を認識するのです。
完全甘柿はそのまま食べられますが、不完全甘柿は種が入ると渋みが抜けて食べられます。
不完全渋柿は、種が入っても種の周辺だけがわずかに渋みが抜けているものの、全体的に渋みが抜けていない状態、完全渋柿は種が入っていても渋みが完全に残っている状態の柿、となります。
普段スーパーなどで売られている「柿」は、あまり渋みが無いため甘柿に思われそうですが、そういうわけではなく、渋柿の渋みを抜いて販売されていることが大半です。
どういうことかと言うと、単純な甘さで言うと甘柿よりも渋柿の方が強いため、渋柿から渋みを抜いて売る方が味が良くなるためです。
ちなみに渋みの抜き方というと、日本古来のやり方では天日干しで行う、いわゆる「干し柿」がありますが、現在では炭酸ガスやアルコールなど様々な手法があります。
柿の健康効果
柿は神の食べ物と言われるほど、栄養豊富な食べ物ですが、まず意外に多いのがビタミンCです。
柿一つにはおよそ140㎎のビタミンCが含まれており、人間が1日に必要なビタミンCは100㎎と言われているため、1日1個柿を食べると有り余るほどの量を補給できることになります。
ただ、干し柿にするとビタミンCが抜けてしまい、量が落ちることが明らかになっています。
次に多いのカリウムで、体内の余分な塩分を外に出す働きがあり、血圧を下げるとかむくみをとるといった働きをします。
ベータカロテンも多く含まれており、ベータカロテンは体内でビタミンAに変わる物質で、皮膚を健康に維持する栄養素ですが粘膜を強化する働きもあり、風邪予防の効果も期待できます。
またビタミンCのように抗酸化作用も強く、活性酸素を減らしてくれる働きもあります。
そしてご存知の方も多いと思いますが、柿には「タンニン」という成分が豊富に含まれています。
タンニンは前述のシブオールの一種で、こちらも抗酸化作用がありますが、アルコールの分解を助けるという働きもあり、お酒を飲む前に柿を食べると二日酔い予防の効果もあるほどです。
あとは食物繊維も多く、特に水分を抜く干し柿はグラム当たりの食物繊維量が増えます。
柿胃石とは
今回取り上げるきっかけともなった、柿によって胃に石ができるという問題ですが、これは前述の「タンニン」が胃の中で固まる、という事です。
胃石とは、文字通り胃の中にできる石で、放っておくと胃潰瘍や腸閉塞の原因になり、進行すると手術で取り除く必要も出てきます。
ただ、何の症状も無いケースもあり、コーラのような炭酸飲料で溶けて、小さくなるという特徴があります。
ですので、治療の際も炭酸で溶かして、必要に応じて外から超音波で砕く、ということもできます。
ちなみに、柿を食べると冷えを感じる、と聞いたことがある方も多いかもしれませんが、これは実際に、タンニンを急激にとると手足の皮膚の温度が下がる、という研究結果が出ています。
もう一つタンニンのデメリットとしては、鉄分が吸収されにくくなり、貧血を起こしやすくなるという恐れがあります。
柿は多くても1日に1個にしていただくのが、安全食べ方になります。