なんでビタミン剤が肩こり・腰痛に効くの?【リスナーの質問】#605

肩こり・腰痛にビタミン剤が効く理由

先日、コメントにて「アリナミンを飲んでみたところ、肩こりや腰痛が軽減した」というものをいただきました。

針治療や痛み止めを飲んでももいまいちだったものが、様々なビタミンが入ったアリナミンを飲んだら少し収まった、ということですが、ビタミンが肩こり腰痛に効く理由は確かにあります。

今回はこのコメントから、肩こり、腰痛について触れて行きます。

肩こりは「筋肉の緊張」が主な原因

そもそも、肩こりの原因は、一口で言えば「筋肉の緊張」です。

筋肉が緊張することで、血液の流れが滞り、疲労物質が溜まったままになって痛みやだるさ、重さとなって現れます。また、筋肉の緊張によって神経を圧迫してしまい、激しい痛みとなることもあります。そして、筋肉が緊張する原因は、ありとあらゆるものが考えられます。

冷えや運動不足はもちろんですが、例えばデスクワークや立ち仕事で、同じ姿勢を長時間とってしまうことで、筋肉が不用意に固まるのも大きな一因になります。当然、ストレスも大きな要因で、緊張する仕事や場面などでは無意識のうちに体が固まって筋肉が緊張すると、肩こりや腰痛の引き金になります。

さらには、集中して目を使いすぎることでも、目の筋肉が緊張します。長時間目を使いすぎると、目から徐々に筋肉が緊張しだして、結果的に肩こりにつながります。

次に腰痛ですが、こちらも腰の筋肉の緊張や疲労が一因で起こることがありますが、肩とは違って様々な病気があるのが特徴です。有名なぎっくり腰やヘルニア、骨粗しょう症と言った病は腰で起き、それぞれ原因が分かれている上に、腰痛の全体の85%はその原因が未だ不明とされています。

ビタミンが筋肉に作用する

今回の本題となるビタミンですが、特に「ビタミンB群」が非常に効果的です。例えば、ビタミンB1は乳酸のような筋肉の疲労物質をエネルギーに変換する働きがあるため、補給することで筋肉内に貯まった乳酸がなくなり、肩こりが楽になります。

次に便利なのがビタミンB6、B12、葉酸です。これらは圧迫されて傷ついた神経を回復することができるため、肩こりが解消された後に残る、嫌な痛みをとるのに役立ちます。さらに、ビタミンB12は目の神経に働くため、目の疲れが取れたり、目の疲れによる肩こりの解消につながります。

B群以外だと、ビタミンEは血管を広げる働きがあり、血液の流れを良くすることにつながるため、疲労物質が流れて行って肩こりや腰痛の改善に役立ちます。

基本は食事でビタミン補給を

最後に、これらのビタミン類の補給ですが、基本的には食事で得ることをおすすめします。

野菜類もタンパク質類も含め、バランスよく食べることが一番必要ですが、全部のビタミンを食事でとるのは非常に難しく、非現実的とも言えるほどです。

したがって、ビタミンは食生活や体調に合わせ、必要に応じてサプリメントやお薬で摂るのが確実です。例えばビタミンB群は水洗いや加熱すると大幅に失われる上に、たくさん摂っても尿で排出されるため摂り貯めることもできないことから、ビタミン類の中でも特に不足しやすいとされています。

サプリとお薬のどちらが良いかですが、やはり医薬品として出ているビタミン剤の方が、体に吸収されていることや飲むことで得られる効能が証明されているため、安心感があります。サプリは当該の成分が入っていることは正式に確認されていますが、それによる効果までは確認されていません。サプリメント製品の中には、そのビタミン成分は含まれていても、あまり体に吸収されていないということもあります。

最後におすすめの食材ですが、ビタミンB群が最も豊富で効率よく得られるのは、牛のレバーです。鳥や豚のレバーはビタミンAが豊富で、たくさん食べるとビタミンAを摂りすぎてしまい逆に悪い影響が出ます。牛のレバーはビタミンAが少なく、ビタミンB群が豊富ですのでおすすめです。そのほかは豚肉、にんにく、しじみと言ったものもビタミンB群が多い食材になります。

そしてもう一つ、ビタミンEは卵、アーモンド、大豆類などのタンパク質源に豊富ですので、是非積極的に摂ってみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属