風邪の正しい治し方#586

今こそ知っておきたい「風邪の治し方」

covid-19の増え方が徐々に落ち着き、高止まりの傾向になってきました。

今週いっぱいでピークを迎えて、減少に転じてくれればというところですが、実際にはまだわかりません。

今回は、covid-19のオミクロン株の症状と酷似している「普通の風邪」についてのお話しです。

これはあくまでも風邪であり、covid-19とは異なりますが、寒さが一層厳しくなって来る今こそ、充分に注意していきましょう。

風邪が治るまでは1週間から10日かかる

まず、実は「風邪が治る」までには、実は1週間から10日ほどの時間が必要です。

どういう意味かと言うと、体の免疫がウイルスをやっつけるための抗体を作るのに最低1週間ほどかかる、ということです。

ですので、体の中から風邪のウイルスが完全に消えるのには、およそ1週間以上はかかります。

言い換えれば、1週間から10日ぐらいは、ウイルスが体内にいる状態になるという意味です。

そして、風邪の症状がしっかりと出ているときは、体内にウイルスが大量にある、ピークとなっているときで、これは症状が出てから2,3日あたりが最大の量になります。

風邪をひいたと思った次の日には治ったり、3日も経てば元気になるという事もよくあると思いますが、治ったと思っても睡眠不足や栄養不足、ストレスといったことが起こると、再び免疫力が弱ってしまってウイルスが強くなり、症状が再度出ることもあります。

「治りかけ」のときは特に安静にする

重い発熱やだるさなどといった症状が一旦落ち着いてから数日は、いわゆる「治りかけ」の状態です。

この治りかけのサインは、例えば黄色く粘り気が強い鼻水が出ることがあると思いますが、これは風邪のウイルスや菌と戦ってできた残骸で、これが出てくると体が治ってきている証拠になります。

また、症状は落ち着いたもののだるさが取れない、微妙に疲れやすくなってきた、と言うのもまだ完全には治っておらず、治りかけであるという表れです。

ちなみに、1週間から10日ほどでウイルスが消えるのに、一回風邪をひいたらしばらくは咳が止まらないという事もあると思いますが、この場合は「炎症」が治っていない状態です。

それでも最大で2週間程度で治りますが、もし治らない場合は喘息や百日咳など、風邪や炎症とは違う別の疾患の可能性があるためお医者さんに診てもらってください。

早く治すためには「睡眠」が何より不可欠

完全に治すために10日ほどは安静にするのが確実ですが、出来るなら早めに治したいはずです。

早く治すために一番大切なのは「睡眠」です。

これは例えばテレビやスマホを見ながらなど、起きて頭を使っているのであれば、意味がありません。

頭を使わず、しっかりと頭と体が休まっている状態であれば、エネルギーが風邪のウイルスに対して集中攻撃できますので、ぐっすりと、しっかり寝ることが早く治すことにつながります。

その次に大切なのが栄養補給と水分補給です。

有名ですが柔らかくて消化が良く、温かいものがベストです。

食べ物の消化にもエネルギーが必要なため、できるだけエネルギーを使わないで消化吸収できるものをとってください。

炭水化物だとおかゆや、軟らかめに煮たうどんがありますが、どの食べ物にしても食欲が無ければ食べない方が良いです。

何かを食べたいと思えないときは、体がエネルギーを欲していない現れですので、無理に食べる必要はありません。

冷たい食べ物や飲み物は、内臓のエネルギーを失うことにつながるため、必ず温かいものをとってください。

ちなみに香辛料やスパイス、辛い物も刺激が強く、胃腸の負担になるため避けてください。

そして水分補給についてですが、お水やスポーツドリンクが一番便利ですが、前述のように冷たいものはあまりよくないため、出来るだけ温かいものか、常温のものを飲むようにしてください。

一般的な普通の風邪であれば、そこまで脱水が進むことはないため、経口補水液はあまり必要ありませんが、万一大量に汗をかいたり、発熱が激しいというときに備えて置いておくのも手です。

普通程度の発熱と発汗であれば、普通のスポーツドリンクで問題ありません。

サプリメントを使うときは「ビタミンC」が便利

最後にお薬やサプリメントについてですが、まず風に対してのサプリメントと考えたら「ビタミンC」が一番おすすめです。

ビタミンCそのものに免疫細胞を元気にする働きがあるため、ウイルスと戦っている最中の時に補給することで非常に良い助けになります。

ちなみにエナジードリンクや一部の栄養ドリンクには、カフェインが多く含んでいるものがありますが、これを風邪の時に飲むのはおすすめしません。

カフェインで体が不必要に興奮してしまい、うまく休むことができなくなります。そのため、結果的に治るのが長引くことにつながります。

もし飲む場合はカフェインが入っていない栄養ドリンクを飲むようにしてください。

ちなみに栄養ドリンクよりコストがかかりますが、漢方を活用するのも手です。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)と言う漢方は、風邪や胃腸炎など、体のエネルギーが低下して弱っているときに、エネルギーを補うような効果がありますので、例えば風邪の症状が妙に長引いてるとか、疲れが微妙に取れない感じがするというときに便利です。

それよりもさらに疲れがひどく、体がだるい時には十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)があります。

これは説明が難しいですが、十全大補湯は補中益気湯より少し良いタイプのお薬となります。

さらにもっとひどく、咳が長引いてるとかだるさも重い時には、人参養栄湯(にんじんようえいとう)という漢方がおすすめです。

少しハードルが高く、またコストもかかりますが、漢方薬でお探しの時は参考にしていただければ幸いです。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属