酒類提供を控える要請にはエビデンスあり!緊急事態宣言#529

Voicy更新しましたっ!

今回は4度目となる、東京都に出された緊急事態宣言のお話

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東京都に4度目の緊急事態宣言

先日、東京都で4度目となる緊急事態宣言が出され、1都3県での五輪会場では完全無観客となることが正式に決定し、これにより緊急事態宣言下の中で、無観客で開催されるオリンピックとなりました。

そして同時に、飲食店の酒類の提供自粛も、引き続き行われることが決定しました。

またもや酒類の提供自粛となり、「なぜそこまで飲食店に厳しいのか、酒類の提供を強く締めるのか」という声が大きくなっていますが、実はこれにはエビデンスがあります。

今回はこれについても今一度詳しく、お伝えしていきたいと思います。

 

東京都がステージ4相当に

今回の期間は7月12日から8月22日と、最初から1か月以上の長い期間が設定されることとなりました。

今回の宣言の理由としては、東京都の新規感染者が、継続的に増えているという状況にあります。

ステージで言うと4相当で、さらに40代から50代の重症者が増加気味になっているのが現状です。

高齢者へのワクチン接種は全国的にも大きく行き渡っていますが、64歳以下の一般の方へはまだ接種券の発送が始まっておらず、接種が滞っており、40代や50代の重症化リスクの高い方の感染が目立ってきていると考えられます。

必然的に、今後はその年代の方が重症化していき、医療がひっ迫する恐れがあるため、緊急事態宣言として、自粛を要請するという形です。

ちなみに東京都以外の首都圏3県と大阪府では、緊急事態宣言ではありませんが、引き続きまん延防止等重点措置が8月22日まで続くことが決定しています。

北海道愛知兵庫福岡に関しては当初の予定通り、7月12日でまん延防止等重点措置が終了する見込みとなっています。

 

酒類の卸売業者に、飲食店への販売自粛を要請

今回の宣言の内容は、以前の大型商業施設への休業要請はなく、時短要請が主になっており、また五輪を除いたイベントや催事は収容人数50%未満、または5000人以下で21時までとなっています。

しかし、飲食店に関してはこれまで通り非常に厳しく、さらに今回はお店にお酒を卸す、酒類の卸売のお店に対して、飲食店への販売をしないようにという要請が出されました。(後に撤回)

どういうことかというと、都内で宣言下にもかかわらず酒類の提供を続けているお店を、いわばひとつ残らず休業させる、という狙いがあるためです。

そこにもう一つ、要請を守らない事業者の店舗の名称を、金融機関に報告するといった措置を金融庁から行う、というのも加わりました。(後に撤回)

これまでは過料という形で罰金のような対策をとっていましたが、今回はさらに踏み込み、お酒を仕入れられないようにしたりお店の運転資金に手をかけたりと、要請を守らない事業者への対策を一層厳しくとる形になります。

さらに、飲食店の酒類提供自粛については、緊急事態宣言が出された東京だけではなく、まん延防止等重点措置となっている関東の3県についても要請が出されました。

まん延防止等重点措置地域への要請は、自治体ごとに一定要件があり、それを満たしたお店は各知事の判断で、19時までは提供をしていいという風になっています。要件は自治体ごとで異なるため注意が必要です。

 

お酒の伴う飲食・会食が感染リスクを伴う根拠

今回で4度目となる宣言ですが、感染拡大当初から極めて厳しく指摘されているのが、前項のような酒類の提供をともなう飲食店への要請です。

ここまで厳しくする根拠、つまり、本当にお酒がcovid-19感染の高いリスクになるのか、エビデンスがあるのかということですが、これはきちんと存在しています。

これは日本の国立感染症研究所が発表したもので、covid-19に感染、発症した人の過去2週間以内の行動を分析した結果、大人数で長時間飲食をした人の感染リスクは通常の人の3倍あることが分かりました。

そして、その場でお酒を伴う会食を2回以上した人はリスクが5倍ということもわかりました。

もともとcovid-19は飛沫感染、他人との食事、会食によって感染することが当初から分かっているため、お酒が入る状態での会話は極めて感染リスクが高いのです。

ですので、お酒のある会食の機会を完全に大幅に減らすというのは、一つの施策として意味がある、と考えられます。

こういったエビデンス、根拠をきちんと周知させて、一人一人の意識を高めることが、感染予防として大切だと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属