メンタルの悩みの患者さんが増加
5月も後半になりましたが、この時期はやはりメンタルの不調の患者さんが多い印象です。
いわゆる、5月病です。
5月病とは、日本ではゴールデンウィーク明けのこの時期によく話題になる言葉で、新生活の緊張感が少し緩んだタイミングで、気分の落ち込みや無気力、体調不良などが現れる状態を指す言葉です。
正式に5月病という病名は無く、俗称とも言える呼び方ですが、言い換えればうつ病や適応障害、抑うつ状態などの初期症状になるため、意外に注意が必要になります。
4月は進学や就職など、環境が変わりやすい時期で、良くも悪くも刺激を受けながら日常生活を送りますが、そこから1か月ほど経ち、ゴールデンウィークで少し休んだことで緊張の糸が切れ、蓄積していた心身の疲労が一気に表面化する、というのが大きなきっかけとされています。
今回はこの5月病について、詳しくご紹介していきます。
海外の「5月病」
5月病という名称は日本独自のものですが、実は同じような症状は海外でも起きています。
例えば、ヨーロッパでは7月から8月にバカンスを取る文化がありますが、その休暇明けとなる9月に、日本の5月病と同じような症状が出る、9月病というものがあるとされています
また、アメリカなどではクリスマス、年末年始の休暇明けの1月に、メンタルの落ち込みが見られる、1月病というケースもあります。
日本の5月から6月という時期、梅雨などの気候変動や気圧差が大きいこともあり、自律神経がより乱れやすい季節も、一因とされています。
疲れたと思ったら無理をせずに早めに対処する
5月病が厄介なところは、気のせいとか、ただの怠け、等と見過ごしてしまいがちな点です。
鬱なども同様ですが、真面目で責任感が強い人ほど、自分の不調を認めにくい傾向にあるとされており、違和感に気づきつつも、対処せずに過ごしてしまうと、本格的なうつ病に進行してしまうこともあります。
ですのでまずは、今の自分は少し疲れているかも、と素直に認めることが大切です。
疲れを認めずに、無理矢理に気分転換をするなどで、見て見ぬふりをすると思わぬ体調不良が起きることもあります。
うつは心の風邪とも呼ばれるように、風邪をひくのと同じく、年に1度くらいはメンタルの調子が崩れることもある、という気持ちで、自分を責めすぎずに受け止め、安静にする時間をとるのが最もおすすめです。
もし可能であれば、気軽に話せる人と会話をするとか、頑張らなくてもいい日をつくったりすると、より回復しやすくなります。
数日ほど、気分が落ち込んで回復しないような場合はきちんと休みをとって、もし休みを取っても回復しなかったり、1週間や2週間ほど続いているとか、回復しないどころか逆に酷くなっていくような場合では、一度心療内科などにかかってみてください。
5月病を防ぐために
最後に、5月病の予防についてですが、風邪を完全に予防するのが難しいように、5月病を完全に防ぐというのは、とても難しい部分もあります。
ただ、やはり自律神経の問題が大きいため、日頃の習慣がひとつの要因になります。
朝起きてすぐにカーテンを開け、日光を浴びるというのは、体内時計をリセットして自律神経を整える効果があります。
バランスのとれた食事や適度な運動など、一般的なことももちろん効果的ですが、今日はここまでやれたから十分、というような小さな達成感を毎日感じることは、心の安定につながります。
長期戦のマラソンのような気持ちでペース配分を考えるように、少しずつ達成していって、新しい環境に徐々に慣れていくことが、ひとつのポイントです。
前述に重ねてになりますが、一旦症状が出始めてから1週間以上続く、もしくは悪化しているようであれば、専門の心療内科などを受診することも大切ですので、注意していただければと思います。