内臓脂肪?皮下脂肪?中性脂肪?気になる脂肪の話#520

Voicy更新しましたっ!

今回は夏本番に向けて、気を付けていきたい脂肪についてのお話

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今こそ気を付けたい「脂肪」

さて、前回までの梅雨、カビのお話から打って変わって、今回は脂肪のお話です。

梅雨が終わると夏を迎え、薄着になって肌の露出が増えてくる時期です。その時気になるのが、ダイエットという言葉だと思います。

今回はこのダイエットと非常に密接に関わる「脂肪」について少しお話していきたいと思います。

「中性脂肪」と「体脂肪」

脂肪にはいくつか種類ありますが、大きく分けて、中性脂肪と体脂肪があります。

まず血液検査や健康診断の際によく目にするのが「中性脂肪」です。

中性脂肪が血液検査で分かるのは、単純に血中に流れている脂肪だからです。血液とともに全身を巡り、各部位にある細胞のエネルギー源となります。

中性脂肪は脂肪酸という酸に、グリセロールというアルコールの一種がくっついており、これで中性となっているため中性脂肪と言います。脂肪酸ではなく逆に、アルカリ性の脂肪というのは存在しません。

ちなみに、脂肪と聞くと文字通り脂っこいもの、脂ものを食べると増えるように思われがちですが、中性脂肪においては、炭水化物から、体の中で生まれることもあります。

ですので炭水化物を食べる事が、中性脂肪を不用意に増やすことに繋がります。

もう一つの体脂肪は、血中に流れるのではなく、体に蓄えられる脂肪のこと全般を指します。

血中の中性脂肪が多くなりすぎると、形が変わって体内に蓄えられます。この脂肪が蓄えられる位置によって、内臓脂肪と皮下脂肪に分かれます。

内臓脂肪は文字通り、胃腸のような内臓の臓器の周りにつく脂肪のことで、男性に特に付きやすいと言う特徴がありますが反対に、エネルギーが足りない時に消費して、エネルギーとして使うことが出来るため、減りやすい脂肪でもあります。

この内臓脂肪は生活習慣病に直結するタイプの脂肪ですので、充分注意が必要です。

一方の皮下脂肪は女性が付きやすいと言う特徴があります。

例えばお腹周り、太もも、お尻につくタイプで、役割としては体温を維持するとか、外部の衝撃から内臓を守るという働きのために尽きます。

つまりエネルギーとして使うことはほとんどなく、一度ついてしまうと減らすのが大変になるのです。

脂肪が蓄えられて行くと

まず、中性脂肪が血中に余分に濃く残ってしまうと、悪玉コレステロールを作ります。

これが血管を傷つけ、動脈硬化となります。この動脈硬化も生活習慣病の一つで、危険な状態となります。

そこからさらに悪化してしまうと、まず内臓脂肪は様々な悪玉物質を出します。

例えば血圧が上がるのはもちろんですが、血を固まりやすくして動脈硬化を進行させるとか、血糖値を不必要に上げて糖尿病のリスクを高める、などなど、あらゆる「生活習慣病」のリスクを高めることに繋がります。

一方の皮下脂肪は、悪玉物質を出さないため、動脈硬化を進めるとか血管に負担をかけるという事はありません。

ただ言うまでもなく、皮下脂肪だけが付いているという事はあまり無く、皮下脂肪が多いという事は同時に内臓脂肪も多いという事がほとんどですので、注意は必要です。

皮下脂肪で一番問題なのは「重さ」にあります。

皮下脂肪の重みで腰や膝に非常に重い負担がかかり、体が動きにくくなるのはもちろんのこと、腰痛や膝の痛みも当然出てきます。

結果的に、動きが悪くなってどんどん脂肪がたまりやすくなり、悪循環になって行くのです。

脂肪を溜めないために

最初に書いたように、脂肪にはきちんとした役割があるため、一概に悪いもの、無くすべきものとは言えません。

役割があるという事は、きちんとコントロールする分には問題ないので、脂肪を不必要に溜めないことを意識してください。

まず一番おすすめなのが、体重や体脂肪を定期的に測る、という事です。

目に見えるようにして、そして定期的に知っておくことで、溜まっているか減っているか、変わらないかが自分で把握できます。

気にしないで過ごして、対策も何もしなければ、どんどんリスクが高まっていきますので、まずは知っておくことが大切です。

具体的な目安としては、体脂肪率で言うと男性は22%以下、女性は28%以下だと健康となります。

次に食事については、前述したように炭水化物も脂肪の大きな一因で、どちらかと言うと炭水化物の方が、脂ものよりも気を付けた方が良いと言えるほどです。脂ものだけ注意するのではなく、トータルで、栄養バランスを見ることが重要です。

そして、食事と脂肪において一番危険なのは「夜食」です。

1日の間でとって、寝るまでに使い切れなかったエネルギーは、全て中性脂肪に変わります。

必然的に、余分であれば内臓脂肪や皮下脂肪に変わっていくため、夜寝る前の食事は充分な注意が必要と思ってください。

運動について

運動については、今回の脂肪に限らず度々voicyでも触れていますが、出来れば1日30分ほど、継続して行うのがベストです。

難しい場合は1週間で180分、3時間分どこかで時間を作って運動をする、という風にしてください。

さらにそれでも難しい場合は、少しでも良いので体を動かして、エネルギーを使うようにしてください。

最後に、脂肪吸引で一気にとる、という選択があるように思えますが、脂肪吸引が出来るのは皮下脂肪だけです。

そして皮下脂肪のもととなる脂肪細胞は、生後少ししたところから増えず、一度脂肪吸引して細胞を減らしたら増えない、ということがしばしば言われますが、これは半分正しいですが半分間違いの事です。

皮下脂肪を溜める細胞は数が決まっており、吸引されることでその数が減ることはその通りですが、内臓脂肪については変わらないため、脂肪吸引をしても食生活や生活習慣を変えなければ、その分内臓脂肪につきます。

ですので、場合によっては、脂肪吸引をすることで生活習慣病のリスクを高める、という事態にもなりかねません。

まずは自分の今の体重や体脂肪を把握して、きちんとコントロールすることが大切です。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属