質問より!漢方は一生飲んでいいの?好転反応って?#424

Voicy更新しましたっ!

今回はコメントで頂いた、漢方の飲み方や「好転反応」にまつわるお話

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漢方の飲み方・飲むのを止めるタイミング

先日、コメントで2件、お薬を飲み続けることについてと、かかりつけの婦人科の先生が漢方をよく出すことについて、頂きました。

今回はこのコメントを基に、漢方の飲み方や止め時について触れていきます。

 

症状が良くなっていれば、飲むのを止める

漢方薬そのものについては、以前331回で詳しく触れておりますので、そちらも併せて参考にしてみて頂ければと思います。

ざっくりおさらいすると、現在普通に処方されて、幅広く使われているのが西洋医学のお薬となり、漢方は東洋医学のお薬となります。

まず、結論としては、漢方に限らずお薬を飲むのは、症状が治るまで、と考えるのがベストです。

飲んでて体調が良くなってきているのであれば、そのまま治るまで飲み続けて、治ったら一旦止めます。

飲んでも何も変わらないとか逆に悪化するようなことがあれば、そこで飲むのを止めてお医者さんや薬剤師に相談する、という風にするのが安全で確実です。

病気やお薬には様々なケースや事情があるので、全く一概には言えませんが、例えば、高血圧のお薬や糖尿病のお薬は、生活習慣を変えない限り一生飲み続ける場合があります。

これを前提に、結局どういうタイミングで飲むのを止めれば良いのかですが、おすすめなのは「量を徐々に減らす」ことです。

 

急に辞めると元に戻る可能性が

コメントで頂いた方の例では、「あまり続け過ぎてはダメかなと思い、辞めてしばらくしたら体調不良に。。」とありました。

飲んでいたお薬を急に辞めると、お薬の力で整っていた部分の体調を突然崩すことになり、収まっていた症状が出ることがしばしばあります。

なので、飲むのを止めると思ったタイミングで、薬の量を少し減らして飲んでみてください。

具体的に言うと、例えば1日3回、朝昼夕に飲むお薬だったらそのうち1回へらして、1日2回にして様子を見るとかです。これでまた何か体調が悪いと思ったらまた次の日から元の量に戻せば問題ありません。

減らして様子を見るのは、大体2週間ぐらいで、もし問題なければ、そこからさらにまた減らしてみてください。2度目に減らすのは、お薬の種類や用法用量にもよるところがあるので、お医者さんや薬剤師に相談してみてください。

ちなみに、これは漢方の例で、西洋薬では違う場合もあるので、注意してください。

 

お薬の「好転反応」

漢方やお薬に限らず、様々な分野でたまに出てくるのが「好転反応」という言葉です。

体の調子が崩れることがあります。なかなか受け付けずに吐き気として出るとか、酷いと下痢やじんましん、発熱となって出ることもあります。

それから少し経って、こうした症状が収まり、元々の病にお薬が効いて急激に改善する状態を「好転反応」、漢方用語で「瞑眩(めんげん)」と言います。

これが起きるのは、多くの場合では飲んでから1週間以内、1日から3日以内程度で、それ以上経ってから好転反応が出る事はありません。

もし、しばらくしてから調子が悪くなるのは、その漢方薬の副作用や、体質的な影響によるものです。

ちなみに、漢方用語で瞑眩ですが、西洋医学では「ヤーリッシュヘルクスハイマー反応」と言う反応で、似たような物があります。

梅毒など、特定の感染症に抗菌薬を使った場合、高熱が出たり、悪寒の震えが出ることがあります。その原因は抗菌薬を投与することでそれらの菌が死に、菌の死骸が体内に一時的に残ります。

その死骸に対しても、免疫がさらに反応してしまって、戦おうとして発熱する、と言ったものです。時間が経って死骸が無くなると、そうした症状も自然と引いていきます。

お薬として効果があるものは、しばしば好転反応のような働きがあり、逆に効果がないものを取り入れても特に意味はなく、元々好転反応が起こることはない、という見方が出来るのです。

 

薬剤師は漢方に詳しい??

最後に、実はコメントにて「薬剤師さんは薬と同じ位漢方も詳しいですか?」とも頂きました。

自分としては、薬剤師みんながものすごく漢方に詳しいわけではない、と言うのは、実感しています。

自分も、ものすごく詳しいのかと言われると、一通りの事は知っていますが、一つの学問として深く学んだという事はありません。

具体的に、自分が薬学部で学んでいた際の例を挙げると、時間で言うと2コマ程度、前期後期の2年生の時にほんの少しやったぐらいだと思います。その他の時間は普通のお薬となる西洋薬、人体の事となる生理学の勉強が主でした。

漢方は今でも研究されており、新しい有用な知識が判明することもあります。

一方で当然ながら、勤務する場所によっては、漢方をほとんど使わないところもあります。

興味のある人は深く勉強すると思いますが、どちらかというとそうでもない人の方が、自然と多くなるとは思います。

漢方をあまり使わないところで長年働き、特に興味もなく、漢方については放っておいてしまうというケースも、無くはないのです。

漢方についての相談は、出来るだけたくさん漢方を扱っている薬局に行くとか、病院に診てもらうというのが、良いかと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属