Voicy更新しましたっ!
今回は387回の脾臓編から続く、マイナーな臓器シリーズその2「胆嚢(たんのう)」編
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胆嚢とは
胆嚢(たんのう)のお話に入る前に、お伝えしたいのが「胆汁(たんじゅう)」です。
肝臓などの回で何度か登場してきましたが、ざっくり言うと肝臓で作られる液体のことで、脂肪を体に吸収しやすい形に変えるための液体、となります。
脂肪は体にとっては、割と大切なエネルギー源ですので、これを吸収して使うために、胆汁を分泌していきます。
この胆汁を貯めておく袋、嚢こそが、胆嚢となるのです。
食事が十二指腸に届いたとき、胆嚢から胆汁が出る
簡単に言うと、脂っこい食事をとって食べ物が十二指腸まで行ったとき、胆嚢から胆汁を出して使う、と言うのが胆嚢の大きな役割となります。
しかし、胆汁を作る元となる肝臓は、1日に1リットル程の胆汁を作りますが、実は胆嚢には50㏄ほどしか入らない、小さな臓器です。
どうなってるかと言うと、もともと胆汁には水分が多いため、胆嚢で水分を吸収して、水分以外の部分だけが胆嚢内に残るようにしているためです。
いわば、胆嚢で胆汁が濃縮されていく、ということです。
肝臓が出す量から見ると、およそ5倍から10倍も濃くして貯めているのです。
胆嚢内に不必要に貯まってしまうことで「胆石」に
胆嚢で起こる病気で、一番有名だと思われるのが「胆石症」です。
胆汁にはどうしても「コレステロール」が含まれるため、脂分を取り過ぎるとコレステロールが胆嚢の中にどんどんたまって行きます。
初期のものは「胆砂(たんさ)」と言い、砂のような形で、非常に小さくわずかな大きさですが、それが溜まった泥のようになったものを「胆泥(たんでい)」そしてさらに大きく固まったものが「胆石(たんせき)」となります。
石と聞くと非常に痛いイメージがありますが、実は胆嚢内に胆石があったとしても、必ず何かの症状があるとは限らない、という特徴があります。
なぜかというと、胆石は胆嚢内でこびりつくように固まるものではなく、常に転がっているためです。
胆嚢の出口にさえなければ、分泌するのを邪魔しなければ、特に症状が出ないのです。
もし万が一、ラムネのビー玉のように、出口に引っ掛かってしまい栓をするような形になると、50㏄程しか入らない胆嚢にどんどん胆汁がたまってしまい、吸収が完全に追いつかなくなって、激痛が発生します。
これが「胆石症の発作」です。
また、胆嚢の出口ではなく、胆嚢と十二指腸をつなぐ管に胆石が行ってしまって詰まることもあります。
治療法は、石があっても痛みが無い場合は、お薬で石を溶かしていきます。
もし痛みがある場合は、衝撃波で石を砕いて通りを良くするのもありますが、再発しやすいため、最終的には手術で石を直接取り除く方が確実です。
胆嚢を取り除いたら
脾臓に続いて、この胆嚢も、取ってしまっても問題ない部位になります。
あくまでも胆汁を凝縮して貯めておく場所ですので、肝臓が健康な状態で、胆汁を作れれば、そのまま十二指腸に流れるだけですので、特に大きな問題は出ないのです。
ただし、貯める場所がないということは、胆汁が常に十二指腸に流れ続けることになるため、量が必要な時に、多く出すことが出来なくなります。
そうなると、脂の吸収が難しくなり、脂っこい食事をした跡に下痢をしやすくなるといった影響が出ます。
また、胆嚢をとった後、腹痛を感じる「胆嚢摘出後症候群」という症状が出ることもあります。
手術によって胆嚢をとったあと、術後の傷となる部分を体が治そうとします。
胆嚢をとった傷を治すということは、おなかと腸の一部が癒着することになり、食べ物が通りづらくなって痛みを起こすことがあります。
市販薬の「ウルソ」で肝臓を助ける
ちなみに、先ほど胆石を溶かすお話をしましたが、市販薬で「ハイウルソ」というお薬があります。
これは胆石を溶かす作用もありますが、肝臓の働きも助ける便利なお薬になりますので、もし脂っこいものがきつくなってきたとか、お酒よりも脂分のことで肝臓が心配という時におすすめです。