エアコンで声が枯れる?
先日、ここ1か月ぐらい喉の調子が悪く、声が枯れるという患者さんがいました。
喉以外で起きている症状は特になく、風邪の感じも全くないとのことで、しばらく聞いてみると、もしかしたらエアコンが原因かもしれない、という話になりました。
夏場に、エアコンをかけすぎることで声が枯れる、ということを聞いたことがある方も居ると思います。
今回はこのお話をもとに、声とエアコンについて少し触れてみたいと思います。
声が出る仕組み
まず、人間が出す「声」とは、簡単に説明すると喉にある「声帯」が出している音です。
2枚の薄い膜が重なっており、これが振動することで声が出ます。
そして、声が枯れるということは、この声帯の部分に何らかの変化が起き、うまく出せなくなっている状態のことを指します。
基本的には風邪などで喉の炎症と同時に、声帯にも影響が出ることが多いですが、炎症以外の要因も様々あります。
例えば、カラオケなどで激しい歌唱を繰り返したりして、声が枯れたという経験がある方もいると思いますが、これは正式には音声疲労という症状になります。
乾燥・水分不足で声が枯れることが
本題となるエアコンについてですが、夏場は外の空気は湿度が高く、乾燥とは無縁のように思えますが、エアコンをずっとかけている室内は乾燥していたり、またエアコン内のカビなどによって空気が汚れていることがあり、こうした原因によって声が枯れることがあります。
他には「酒焼け」という言葉があるように、お酒によって喉の水分がなくなったり、過度なアルコールによって文字通り焼けるようになってしまい、声が枯れるということもあります。
さらには声帯麻痺といい、何らかの原因で声帯が麻痺して動かなくなることもあります。
また、喉にはポリープが出来ることもあります。
ポリープは大きな声を出しすぎたりすると、声帯の粘膜に内出血が起こり、血豆のようなものになります。
これが徐々に大きくなるため、声のかすれも併せて徐々に進行していきます。
内出血ですが痛みはほぼなく、たんが絡んだり咳が出たりといった症状も無いためポリープが出来ているとは気づかないことが多いです。
最後に喉頭がんによって声が枯れることももちろんあります。
喉頭がんの場合は初期症状として、声が枯れてくるため、もししばらく経っても、何をしてもあまり良くならないというようなときは耳鼻科さんで診てもらうようにしてください。
喉のケアで声を守る
最後に声枯れの予防についてですが、重要なのはやはり喉のケアです。
例えば、はちみつを飲み物に少し入れて溶かして飲むだけでも、はちみつの膜が喉を保護してくれるためおすすめです。
普段からできることは、水分をこまめにとって乾燥しないようにすることに尽きます。
もしすでに声が枯れてしまった場合は、声帯が修復するまで声を出さないで安静にして過ごすようにしてください。
とはいえ、声は人間が生活するうえで非常に大切な要素で、声が枯れたからといって声を出さないように生活するのは難しいと思います。
その場合は、市販の喉の炎症を抑える薬や、うがい液を使って回復を促していってください。
もし、接客業などで人前で声を出す機会が多く、早く治したいというときは響声破笛丸(きょうせいはてきがん)という漢方が便利です。
これは一時的にですが、ある意味ドーピングのように声を出させてくれる漢方で、声枯れについては非常に効果があるのでもしもの際には使ってみてください。
ただ、声枯れが徐々にひどくなっていったパターンの場合は、前述のようにポリープやがんの可能性があるため、耳鼻科で内視鏡などを使って確認するのがベストです。
部屋に適度に湿度を保つのも効果的
今回のきっかけとなったエアコンですが、部屋の湿度を高めにすることも声枯れ予防になります。
例えば濡らしたタオルを干すとか、霧吹きで布を濡らすのも一つの対策になります。
水を撒くのはカビの原因になるため不要ですが、霧状に撒くことが出来ると湿度が上がるためおすすめです。
また葉の大きい観葉植物は天然の加湿器のような働きが出来るため、意外に便利です。
あとはやはり生活習慣も重要で、もし喫煙している場合はタバコを止めるのももちろん予防になります。
タバコ、お酒が声枯れの原因の恐れもあるため、心当たりがあれば一度見直してみてください。