経口補水液を飲み過ぎると
先日ネット上で、経口補水液をガブ飲みしてしまい入院した、というお話を見かけました。
70代ぐらいの方が、水分補給としてスポーツドリンク代わりに経口補水液を飲んでしまい、高血圧で入院されたとのことで、もともと心不全の傾向があり、そのうえで経口補水液を飲んでしまった、というようです。
最近こうしたお話は身の回りでも時折あり、経口補水液をケースで購入して常備しておいて日頃から飲むという方も少なくないようです。
経口補水液を日頃から飲むのは体への悪影響が大きく、危険ですので避けてください。
今回は、熱中症などに触れてしばしば出てくる、この経口補水液というものについて、詳しくお伝えしていきます。
体への吸収速度が著しく早い
経口補水液の最大の特徴が、体への吸収速度の速さです。
飲む点滴、と言われることもあるほど素早い水分補給が可能で、通常のお水だと飲んでから吸収されるまでは、およそ1時間から2時間ほどかかり、スポーツドリンクだとおよそ30分から1時間程度で吸収され、水分として体内で使われます。
経口補水液は飲んでから15分程度で吸収され、体の水分となるのです。
この理由は、糖質と塩分の配分量にあります。
どちらかというと塩分、ミネラルが多いのが特徴で、汗によって失われた塩分やミネラルが補給できるため、脱水症状が起きている時に飲むことですぐに回復できます。
逆に言うと、汗や嘔吐などで体の水分が著しく減った場合で、素早く水分を吸収する必要がある、という際には最適な飲み物ですが、それ以外の場合では塩分が高すぎるため、水分補給には向いていません。
飲み続けると血圧や心臓に負担がかかる
経口補水液は塩分が多いため、血圧が高めの方や心臓に持病のある方、特に高齢者の方は普段から飲んでいると塩分過多になり、重大な事態が起こるリスクが高まります。
経口補水液を使うのは、熱中症や風邪、ウイルスなどで水分が大幅に失われ、体調が優れないときだけ使うようにしてください。
熱中症以外だと、ノロウイルスや胃腸炎で水分や栄養がうまく取れない場合にも有効です。
普段の水分補給は普通のお水や、糖分が少しありますがスポーツドリンクでも問題ありません。
重ねてになりますが、汗を大量にかいたり嘔吐をして、頭痛が起きていたり、なんかふらふらするというような脱水症状が起きている場合には経口補水液がベストですが、そこまでの症状が無い場合は普通の水分をとってください。
脱水しているかの見分けとしては、親指の爪を見るという方法があります。
通常、親指の爪はピンクっぽい色になっていると思いますが、親指の腹を強く押すと、爪が少し白くなると思います。
これを離したとき、すぐにピンク色に戻れば脱水していない健康な状態ですが、離してもすぐに戻らず白い場合は水分が減っている可能性が高いサインです。
経口補水液の味では見分けがつかないことも
最後に、一昔前までの経口補水液は、味で見分けるということができました。
voicyでも度々、熱中症の回などで、経口補水液がおいしく感じたら脱水している証拠で、おいしくなければ普通のお水で大丈夫、という風にお伝えしていましたが、最近では販売されている種類が増え、味が整っており、脱水していなくてもおいしく飲める製品がいくつかあるため、脱水しているか味で見分けるということが難しくなりました。
こうしたこともあり、最初にお伝えしたようなケースが起きているのかもしれません。
経口補水液として売られているものは、脱水している場合のみ飲むようにして、それ以外は普通のお水、スポーツドリンク等で水分補給をしていってください。