喘息の原因を知って安心!予防と治療で呼吸を楽に!#809

死に至る危険もある喘息

先日、落語家でテレビでも活躍していた、桂ざこばさんが喘息によって亡くなりました。

喘息というと、呼吸器の病の一つ、という認識かと思いますが、実は死亡する危険もある、厄介な病です。

喘息の仕組み

喘息とは、気道に何らかの原因で炎症が起き、狭くなってしまい呼吸が難しくなる、という病のことです。

気道が狭くなっているために、ヒューヒューとした特有の音が鳴る喘鳴(ぜんめい)という症状が起こったり、胸が息苦しい感じがしているのです。

そして喘息は、発作という言い方がされるように、何らかのきっかけをもって、咳が連続して出るのが特徴です。

きっかけは非常に様々あり、何らかの花粉やハウスダストと言ったアレルギー反応やタバコのような空気の汚れはもちろん、夜になると出るとか朝になると出る、ということもあります。

喘息になるのは遺伝的な要因も大きく、家族に喘息の方が何人もいることはよくあります。

実は自分も小児喘息という、小さいころだけ喘息の症状があったのですが、おじいちゃんが喘息だったという経験があります。

また、家族に何らかのアレルギーがある方も喘息になりやすいとされています。

年齢で言うと、前述の小児喘息もあり、一般的にはお子さんに多く、小学校高学年ぐらいから落ち着くことが多いですが、大人から発症するケースもあります。

喘息はコントロールできれば日常生活に支障が出ない病気で、もしコントロール出来ないほど重い場合は慢性的に咳が出るうえに、放置していると気道が常に狭くなってしまいます。

そして、喘息でも特に重いのが喘息の重責発作で、咳が止まらなくなって呼吸が出来なくなり、場合によっては救急車による素早い処置が必要になるケースもあります。

発作が起きないようにする、発作が起きた時に素早く対処する

喘息の元凶とも言える原因は炎症で、アレルギーの問題もあるため、完治するのは難しいです。

ですので、まずは発作が起きないように気を付けることと、そして発作が起きた時に素早く対処することの二つが肝心になります。

まず、発作が起きないように長期的に使うお薬として、ステロイドがあります。

ステロイドは炎症を抑えるためのお薬ですので、これが喘息の治療薬とも言えるお薬になります。

このステロイドは、副腎皮質ホルモンのステロイドで、筋肉増強剤に使うようなステロイドとは全く違います。

副作用は確かにありますが、吸入の場合は直接喉の気道に作用するため、全身に回る副作用が起こることはまずありません。

一つだけ注意が必要なのが、症状があるところ以外にお薬がとどまってしまうと、そこで何らかの影響が出ることがある点です。

例えば、吸入のステロイドを使うと声が枯れるというのは、ステロイドのお薬が喉に余分に付着しているために起こっている可能性があります。

ちなみに、症状がしばらく治ると、完全に治ったと思い、吸入の治療を辞めることがありますが、また何らかの拍子で再発する可能性がありますので、お医者さんの指示に従って、必ずお薬を使いきるように、治療を進めてください。

そして次の、発作が起こった時の対処についてですが、その際には発作を落ち着かせるお薬を使います。

発作が起きた時に、気道を開かせてすぐに止めてくれるというお薬で使ってみると便利ですが、これは対症療法で、原因の炎症には全く作用していないため、治療にはつながりません。

まずは、吸入のステロイドで炎症が起きないように抑え続けて、万が一発作が起きたら気道を開いて和らげる、という風に治療をして行きます。

アレルギー物質、空気の悪い環境を避ける

喘息の予防は、やはりアレルギー物質や、空気の悪い環境を避けることに尽きます。

もし喘息の傾向があるなど、心当たりがあれば、アレルギーの検査を受けてみるのももちろん効果的です。

花粉やハウスダストが原因であれば、空気清浄機を使ってなるべく寄せ付けないとか、掃除をこまめにする、マスクを活用するなどで対策してください。

そして免疫力も大切ですので、ストレス対策や睡眠をとることも、喘息の予防につながります。

運動ももちろん大切ですが、運動が引き金になって喘息が起こる場合もありますので、その場合はお医者さんと相談して、運動量を正確に決めるのがベストです。

ちなみに、天気痛のように、低気圧の影響によって喘息の発作が起こるということもあるため、もし不安があれば天気予報も確認して、お薬の予備等を見て心構えをしておきましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属