水虫とカンジダは同じ薬?どういうことなの?#617

同じお薬で治していく「水虫」と「カンジダ」

前回、帯状疱疹とヘルペスについてお話ししました。

今回取り上げる「水虫」と「カンジダ」も、前回のように似通った特徴を持つ二つの病です。

この二つは、同じ「真菌」による病で起こるため、同じお薬を使って治していくという特徴があります。

今回はこの水虫とカンジダについて、まとめていきたいと思います。

水虫とは

まず水虫ですが、こちらは以前519回で詳しくお話ししておりますが、簡単にまとめると「白癬菌」という真菌の一種に感染することで起きます。

白癬菌はいわゆる「カビ」の一つで、白癬菌に感染するということは「体にカビが生えた状態」になります。

足にカビが生えれば水虫、爪であれば爪水虫、頭髪であれば白雲、などのように呼称が変わって行きます。

およそ、日本人の5人に一人は体のどこかに水虫があり、10人に一人は水虫が悪化した爪水虫になっているとされているほど、ポピュラーな病の一つです。

白癬菌は暖かく湿った場所で繁殖しやすいため、銭湯の脱衣所や足ふきマット、共有している靴やスリッパと言った場所から感染しやすいです。

白癬菌は付着したとしても、24時間以内にに洗い流せば感染を防げるため、毎日こまめに洗っておけば、まず感染はしません。

カンジダとは

もう一つのカンジダは、カンジダ属という種類の中での、真菌のことです。

カンジダというと性器に感染する、性病のイメージが強いかもしれませんが、実は性交渉でカンジダに感染するのは全体の5%ほどにしかすぎません。

常時皮膚などに居る菌のため大半は、いつの間にか知らず知らずのうちに感染します。

カンジダの菌は皮膚の表面はもちろん、腸内や口の中でも生きれる、いわば普通の雑菌のような存在です。

ですので、たとえカンジダの菌を持っていて感染していても、普段は特に症状を起こしません。

しかし、風邪をひいたり、ストレスがかかるなどで免疫力が落ちたり、女性の場合はホルモンバランスの乱れが起こったりすると、カンジダの菌が活発になり、水虫のような症状を引き起こすということです。

これは例えば、何らかの治療で、何らかの菌を殺すお薬を飲んでいると、体内の菌のバランスが崩れてカンジダの菌が活発になるとか、汗などで陰部が蒸れ、雑菌が繁殖することでカンジダの菌も不必要に増えて発症する、というケースもあります。

予防としては、清潔に保っておくことはもちろんですが、通気性の良い下着を着るとか、菌のバランスを保つために性器を不必要に洗いすぎないことも発症予防につながります。

水虫とカンジダの症状

水虫とカンジダの症状をもう少し詳しくまとめると、まず足の水虫の場合は、指の間にぽつぽつとした水ぶくれができ、その皮がむけて行くところから始まります。

水虫と言うとかゆみが大きな症状のように思われますが、一番初期の時は、かゆみのない水ぶくれができるだけ、というのが多いのです。

水ぶくれの皮がむけ、かさかさとした感じで、放っておくことでかゆみが出たり、爪にまで症状が広がって爪水虫になる、という風に進行していきます。

爪水虫は非常に厄介で、特に治りづらい上に、爪の形が変わって痛みが出てくることにも繋がります。

さらに水虫を放置すると足全体の皮膚が弱まり、傷つきやすくなって菌が入りやすくなり、化膿するなどどんどん重症化していきます。

一方のカンジダは、女性の方がなりやすく、症状は非常に強いかゆみが主で、おりものがぽろぽろとした感じで多くなるという特徴があります。

男性もカンジダの症状が出ることはあり、かゆみや排尿の際の痛みなどがありますが、男性の場合は自覚症状が出ることはあまりなく、自然と治癒していくことが大半です。

治療も、排尿時の痛みについて治療することはありますが、それ以外だとほぼ何もありません。

ちなみに、口の中にもカンジダの菌があるため、口の中で発症する場合もあり、口内の痛みや、味覚がおかしくなる、味が分からなくなると言った症状で現れます。

さらには頭髪に感染して、カンジダ性の湿疹になるとか、手指の爪、喉に感染することもまれに起きます。

水虫・カンジダの治療

水虫とカンジダの治療ですが、今回のタイトルにもありますが、どちらも同じ真菌という菌で起きているため、同じお薬で治療していきます。

真菌を殺すお薬を使いますが、どちらも非常にしつこく、なかなか治らないという特徴を持っています。

薬をつけて治ったと思っても簡単に再発するため、治ったと思ったところから2週間、水虫であれば1か月程度は薬を使い続ける必要があります。

さらに、水虫の症状が一部だとしても、症状が出ていないだけで真菌に感染しているのは足全体ですので、足全体に塗らなければ別の部位で再発していきます。

そのため、例え片足の一部だけに症状が出ていても、必ず両足の全体に塗らなければならないのです。

水虫、カンジダのお薬はいずれも市販されていますが、今市販されているお薬は少し古いタイプになるため、効き目が薄い事があります。

そして、そもそも現在出ている症状が真菌によるものなのかどうかも大切です。

前回のヘルペスや帯状疱疹のように、基本的には水ぶくれのぽつぽつとした湿疹が主な症状になるため、そういったものであれば、真菌を殺す水虫のお薬は効果がありません。

零売で、市販薬とは少し違う効果の高い塗り薬を販売しているため、もし不安があれば一度薬剤師に相談してみてください。

症状や進行度合いによっては、塗り薬では治らないという事もあり、その場合は皮膚科や婦人科などのお医者さんに診てもらうように指導することもあります。

例えば爪水虫やカンジダは、位置的にもお薬を塗るのが難しいため、飲み薬を使うことがあります。

最後に、当薬局なくすりーなでは、試験的に完全匿名での健康相談を始めましたので、お気軽にご活用ください。

もちろん、こちらのvoicyのコメント等でも引き続き受け付けておりますので、是非なんなりとご相談いただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属