睡眠薬を飲む・飲み続けるのは、大丈夫なの?
前々回の配信の質問にて、睡眠薬についてのものをいただきました。
内容は、睡眠薬を飲み続けてもいいのか、成長してお子さんの夜泣きが治るまで服用し続けて良いのか不安、というものです。
睡眠については304回でも触れているので、そちらも併せてご覧いただければと思います。
必要な期間、処方された分を飲み切れば大丈夫
今回は睡眠導入剤ではなく、睡眠薬そのものについてのお話しです。
睡眠薬は少しの間飲み続けるだけで依存症になる、などのような危険なイメージがつきまとっていますが、普通のお薬のように、「必要な時に必要な量を、しっかりと飲み切る」ということをきちんと行えば、問題なく使用できます。
睡眠薬に依存性があるのは確かですが、それは「止め方」をきちんと行えば出ることはありません。
ある程度長い期間、継続して睡眠薬を飲んでいた場合、突然飲むのをやめると全く眠れなくなるということがありますが、徐々に量を減らしたり、飲む日と飲まない日を1日おきに区切るとか、あるいはお医者さんと相談してお薬の種類を変えて止める方向に促していく、ということも可能です。
今どれぐらい眠れているか、効き方はどうかといった現在の状況をお医者さんと相談しながら、量を調整していけばスムーズにお薬の服用を止められます。
「睡眠薬」は一気に飲み過ぎると危険?
ちなみに、一昔前の映画やドラマなどで「睡眠薬を大量に飲んで自殺する」という描写がありますが、これは古いものであれば実際に可能なことでした。
睡眠薬を大量に飲むだけで呼吸が止まって死に至る、というものですが、今流通している睡眠薬では、たとえ100錠ほどまとめて飲んでも、それだけで死に至ることはありません。
また例えば、睡眠薬を飲み物や食べ物に入れて眠らせる、と言う描写もしばしばありますが、今流通している強力な睡眠薬だと悪用防止などの観点から、何かに混ざると色が青く変化するように作られています。
睡眠薬の副作用
睡眠薬の副作用は、効果が長く続くタイプで特に起きやすいという特徴があります。
例えば、起きてからも意識がはっきりせず眠気が残る感じで、明らかに薬の効き目が残っていると思える感覚です。
他には筋肉を緩める効果があり、普段よりも全体的に力が入りにくいとか、歩くときにふらふらする感覚がするといったのも副作用の一つです。
さらにごくまれにですが、一時的に認知症のような、酷い物忘れが起こるようになることもあります。
もし長時間効くタイプのお薬を使って見て、こうした副作用がある場合はすぐお医者さんに相談して、お薬の量や種類を調整してもらってください。
睡眠のリズムを調節するお薬は副作用が少ない
ここまでご紹介したのは、お医者さんの診断と処方が必要な、いわば強制的に眠らせるような強い睡眠薬についてですが、睡眠のリズムを調節するタイプのお薬は副作用が少なく、依存性も少ないタイプになります。
大きく2種類あり、一つは眠りのホルモンと言われているメラトニンが出やすくなるお薬、もう一つは起きているときに出るオレキシンという物質を、寝ているときに出ないように抑えて睡眠を助けるお薬です。
これは2種類とも、外から物質を取り入れて強制的に眠気を起こすのではなく、もともと体内にある物質に対して働きかけるという効果ですので副作用が少なく、無理なく自然に眠気が来るという効果が期待できます。
逆に言えば、処方されるような強い睡眠薬で得られるような、飲むとすぐ眠くなるという効果はありません。
ちなみに漢方薬でも睡眠薬はあり、酸棗仁湯(さんそうにんとう)は疲れてても眠るのが難しい時や、眠れてもすっきりと目覚めないというときに便利です。
他には、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、加味帰脾湯(かみきひとう)と言ったものも、睡眠薬としてドラッグストアで市販されているので、気になる方は試してみてください。