オミクロン株の特徴を捉えた効果的な対策とは?#582

東京都で感染者数が1万人を突破

今回は徐々にわかってきたcovid-19のオミクロン株の最新情報についてです。

現在、東京都では新規感染者数が1万人を超え、北海道から全国的に過去最多を更新するところが相次いでいます。

一方重症者数は全国で430人ほど、東京都で13人と低い水準にあります。

全国で重症者数が430人程と言う数字は、第5波の際に首都圏に出された緊急事態宣言時と同じ規模の数字ですが、首都圏での重症者数は少なく、宣言までには至らないという状況にあります。

つまり、オミクロン株はデルタ株よりも重症化しづらい可能性が極めて高い、という裏付けとしても捉えられます。

ただし、以前からお伝えしているように、全人口の8割がワクチンを2回接種済みという上に、重症化しやすいデルタ株と比べて重症化しづらい、ということですので、感染が拡大して感染者数が増えるほど、重症者、死亡者も徐々に増えていくと考えられます。

徐々にひっ迫していく医療体制

そして当然、感染者数が増えるにつれて医療体制もひっ迫していきます。

特に前回少し触れた、濃厚接触者の問題が次第に表面化してきています。

オミクロン株による感染拡大がいち早く来た沖縄県では、第5波の感染者数のピーク時の、3倍もの医療従事者が、感染者との濃厚接触者となって隔離を余儀なくされ、一時的に休職したというデータがあります。

これによって急激に人手不足に陥り、急速に医療がひっ迫したのです。

これを受けて、エッセンシャルワーカーという、医療従事者等を含めた社会活動の維持に必要な方への濃厚接触の定義、基準を見直す動きもありますが、エッセンシャルワーカー以外でもテレワークが難しい職種はたくさんあります。

また、地域によっても、濃厚接触者が増えることが社会機能の維持に影響するという可能性は、一層高まると予想されます。

オミクロン株とデルタ株の決定的な違い

次に、オミクロン株そのものの特徴についての最新情報ですが、最近わかったのが「オミクロン株自体はデルタ株と比べて感染力が強いわけではない」ということです。

どういうことかと言うと「感染力は同程度なものの、感染してから、次の人にうつすまでのサイクルがデルタ株よりも短い」ために、感染爆発が起きている可能性が高いということです。

デルタ株は感染してから発症するまでの潜伏期間が5日、オミクロン株は3日とされており、感染してから次の人にうつすまでの期間ではデルタ株では5日ほどだったのが、オミクロン株は2日でうつる可能性が高い、ということがわかったのです。

これを分かりやすく言うと、まず始めにデルタ株に感染した場合では、一人感染したらその人が3人に感染させる力を持つまで5日かかることとします。

1人から3人へ感染、その3人が3人に感染させることで9人、9人が3人に感染させると27人、27人が3人に感染させると81人、となります。

デルタ株の感染者一人から81人感染させるまでにかかる日数は、4回x5日で、20日かかるという計算です。

オミクロン株の場合は、デルタ株と同じ感染力ですので感染者の部分の数字は前述のままで、「5日」と言う部分が「2日」になります。

つまり、オミクロン株の感染者一人から81人感染させるまでにかかる日数は、4回x2日で、8日かかるという計算になるのです。

オミクロン株の具体的な症状

次にオミクロン株の症状ですが、やはり軽症で済む人が多いことは確かなようです。

まず高血圧や糖尿病が無い人、肥満でもない健康な50歳以下の方であれば、軽症で終わることが多いことが明らかになってきています。

100%全員ではありませんが、感染したとしても自宅療養で回復するケースが多いです。

比較的若く、基礎疾患が無い健康な方であれば自宅療養で回復することが多いですが、重症化する危険は充分ありますので、完全に治るまではしっかりと見て行くことが必要です。

そして、感染者が増えるとコピーミスの回数も増え、新たな変異株が生まれる恐れがある、とお伝えしましたが、このオミクロン株の変異株というものがすでに生まれている可能性があります。

一部報道ではステルスオミクロンとか、BA2、BA3などと言われていますがこれに関してはまだデータが少なく、何とも言えません。

ただ、感染者が増えることの弊害の一つとして、変異株の脅威はこれからもありますので、引き続き注意が必要です。

感染力はデルタ株と同じ程度という意味

最後にオミクロン株の対策ですが、前述のように感染力はデルタ株とほぼ同程度の可能性が高い事が分かりました。

麻疹のような強力なものではないため、これまで通りの、デルタ株と同じ対策で効果的という見方が強くなりました。

例えば、オミクロン株でもデルタ株でも、感染経路は全く変わっていないことが分かっています。

3密回避がされていない環境を防ぐ、黙食が徹底されていない中での会食を避ける、といったことが対策になります。

しかし、少し前までまん延防止等重点措置も全国的に無く、飲食店の夜間営業や酒類提供も活発にされていたため、これまでよりも会食や飲酒の機会が増えているという現状があります。

ですので、ここで今一度、そういった機会を出来るだけ減らして、その上でマスク、手洗い、手指消毒といった基本的な感染対策を徹底していくことが一番大切です。

特に、非日常的な機会での会食が感染リスクが高いとされており、やはり、パーティや普段集まらない人が集まっての会食、飲酒では感染リスクが高い事が分かっていますので、これからも引き続き、出来るだけ避けるようにしてください。

医療体制を確保するためにも、3回目のワクチンが急務

最後に、感染者が増えることは、前述のように濃厚接触者が増えることになり、医療がひっ迫することにつながります。

高齢者や基礎疾患がある人、そして万一重症化した場合でもスムーズに医療が提供できる体制を整えるために、3回目のワクチンが可能であれば、急ピッチで接種を速めた方が良いと考えられます。

接種直後はオミクロン株でも7割近くは感染予防効果があり、また重症化予防効果も3回目接種後は90%になることが分かりました。

必要な人に早く届けられるよう、出来るだけ早めにワクチンの接種体制を整えて欲しいと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属