Voicy更新しましたっ!
今回は新たに承認申請がされた、covid-19の新たな治療薬について
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日本で新たにcovid-19の治療薬が申請
国内でワクチン接種が本格化され、いよいよ64歳以下の一般の方への接種も始まろうとしている現在、治療薬やワクチンの国産化についても新たな進展がありました。
中外製薬という会社が、「カシリビマブ」「イムデビマブ」という2種類の治療薬を承認申請しました。
「抗体カクテル療法」
承認申請とは、メーカーの方での試験が完了した状態で、厚労省が引き続いて薬の機能、治療の程度、安全性といった部分を評価するという段階です。
この二つのお薬は、同時に投与することで、covid-19の働きを抑える抗体が体内に生まれる、という「抗体カクテル療法」という仕組みのお薬です。
この抗体カクテル療法という言葉は、わずかにですが、すでに何度かニュースになったことがあります。
これは去年、前アメリカ大統領のトランプ氏が実際行ったタイプと同じもので、実はこのお薬もアメリカでは去年の11月時点で承認、流通されています。
そしてこのお薬は、デルタプラスを含む変異型のウイルスによる感染にも、一定の効果があることが分かっています。
日本人を対象としたものではなく、海外での治験のデータですが、重症化を70%防いだことが分かっています。
高いコストがネックに
現在のcovid-19の治療薬についておさらいすると、承認されていて実際にcovid-19で入院されている患者さんなどに使われているのは、レムデシビル、デキサメタゾン、バリシチニブの3つで、いずれも中等症から重症の、急を要する方に用いられています。
一方のこのお薬は、軽症者に使いやすいという利点がありますが、最も難点なのがコストです。
製薬から極めて高いコストがかかり、単純に治療費が非常に上がるという懸念がされています。
具体的なことはまだ不明ですが、ある意味、抗がん剤のような安易には使いにくいお薬になる可能性があります。
ですので、例えば重症化リスクの高い人が感染した場合の初期の段階で、重症化を防ぐために使う、というような限定的な使い方がされていくことも考えられます。
イベルメクチンというお薬
もう一つ、承認申請ではなく、治験が開始されたことでニュースになったのが、イベルメクチンというお薬です。
これは興和という日本の製薬会社が作ったお薬で、このメーカーがcovid-19への効果があるかを確かめるべく、治験を開始したという段階です。
イベルメクチンの成分は日本人が開発したもので、ノーベル化学賞を受賞した先生が合成した成分を用いて、開発されたお薬です。
アメリカのメルク社がすでに製造販売しており、糞線虫やヒゼンダニのような虫から起こる、腸管糞線虫症や疥癬(かいせん)といった感染症への治療薬、またフィラリアの予防薬としてすでに使われています。
このお薬が、covid-19へ感染して症状が小さい、軽症者に対して、重症化を防ぐ効果があるのではと去年から国内でしばしば言われていたのです。
去年の9月ごろから北里大学などで小規模に治験が行われていたものの、今年の3月にはWHOから「効果が確実ではなくメカニズムも不透明で推奨しない」という旨の声明もあり、難航していました。
さらには製造と販売を手掛けるアメリカのメルク社も、covid-19の治験に対して前向きに協力しないという背景もありました。
紆余曲折を経て、開発を手掛けた最初のメーカーとなる興和に話が行き、本格的な治験にこぎつけたということです。
将来的に効果が認められた場合、covid-19の軽症者用治療薬として、興和から製造販売をすることができます。
万が一承認となった場合は、インフルエンザ特効薬のタミフルのような、極めて安価で誰でも使いやすいcovid-19のお薬となる可能性を秘めています。
ただ、イベルメクチンがcovid-19に効果があるとされる理由は、お薬や化学的な話が好きな薬剤師界隈でも、誰も分かっていません。
様々仮説はありますが、いずれもしっくり来ず、いまいち的を射ないものばかりなのです。
今後、実験が本格化していき、具体的なことが分かってくるのだと思います。
国産ワクチンについて
最後にワクチンについてですが、「シオノギ」で知られる塩野義製薬が、年内に6000万人分のワクチンの供給ができると発表しました。
種類でいうと「遺伝子組み換えたんぱくワクチン」というタイプになります。
ざっくり簡単に言うと、covid-19を構成しているタンパク質を遺伝子組み換えで合成し、それを注射して体内に免疫をつける、ということです。
いわゆる一般的な、インフルエンザなどで用いるワクチンとほぼ同じ仕組みのワクチンになりますが、現段階では効果が不確実で、もともと日本では大規模な治験が難しい背景もあるため、現在でも治験が完了していません。
併せてデータの発表も不十分で、個人的にも今の段階でこのワクチンについてお伝えできることがあまりありません。
効果や、現在接種しているワクチンとどれほどの違いがあるか、どういう違いがあるかということは追って出てくるかと思います。
ただし、ワクチンというと日本政府はすでにファイザー/ビヨンテック社とモデルナ社の2種類を全国民分購入しており、またどちらも高い効果があることも確認済みで、正直この効果を超えるかどうかは疑問があります。
数字でいうと95%以上有効ということが発表され、世界的にも十分に確認されているこれらのワクチンと、少なくとも同程度の効果がないのであれば、承認する意味は薄いということです。
確かに長期的に考えると、国内でワクチンを自給自足できるかどうかは重要な問題ではありますが、どうしても現在のメッセンジャーRNAワクチンの方が効果は高いことが明らかです。
さらに言うと、このワクチンに関して塩野義製薬は、条件付き承認制度を使って年内の実用化を目指している、とも発表していました。
条件付き承認制度は、お薬の対象の患者さんが極端に少ないようなケースで、大人数の対象者を集めて治験をしようにもなかなか進まない、というような特殊な場合に用いる制度です。
患者さんが大勢いて、さらにほかのメーカーで同じようなワクチンがありますので、これに限っては、早急に実用化する必要があるお薬とは言えないと思います。
個人的には、きちんと効果を確かめて、治験も十分にしてからだと安心できるかと思います。