質問より!湿布はどれくらい効いてるの?#511

Voicy更新しましたっ!

し今回は頂いたコメントから、「湿布」と言うお薬に関するお話

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湿布?貼り薬?

今回は頂いたコメントから、湿布や貼り薬についてのお話です。

「職業柄、何枚も湿布を貼っている方が居たり、湿布の上にさらに塗り薬を使っている方や同じ湿布を何日も貼り続ける方を見かけますが、副作用等はないのでしょうか。」と言った内容のコメントを頂きました。

今回は特に痛み止めの湿布、貼り薬について少しお伝えしていきたいと思います。

 

成分が皮膚に吸収される

まず、当然と言えば当然ですが、貼った箇所からお薬の成分が吸収されることで、効いていくというお薬が湿布、貼り薬になります。塗り薬になると、塗った箇所から成分が吸収されていきます。

成分で言うと、インドメタシン配合とか、ロキソプロフェン配合と言った表記があると思いますが、そう言った成分が患部に入り、直接効いていきます。ちなみに痛み止めであれば、成分ごとに違いはあまりありません。

変わるのはやはり、塗り薬か貼り薬かの違いのような、使用感にあります。

例えばソフトに接着する分、動いたらはがれやすいタイプとか、逆にしっかりとくっつく分少し動いてもはがれにくいタイプのように、商品ごとで使用感に差が生まれます。

ですので、成分で選ぶよりも使った感触で選ぶのがおすすめです。

 

温湿布と冷湿布

湿布と言えば、温湿布と冷湿布の2種類があります。

文字通り、温い感触と冷たい感触の2種類ですが、実はこれはどちらでも同じ効果で、どちらを使っても変わりません。

あくまでもそういった感触がする成分が入っているだけで、実際に患部を温めたり冷やしたりする成分は含まれていません。

お薬の中には痛み止めの成分が入っていることには変わりないので、特に違いはないと考えて大丈夫です。温かいか冷たいかで、自分が気持ち良いと感じる方を選んで問題ありません。

ただ、湿布に関係なく、一般的に怪我は冷やすことが多いです。例えば内出血が起こって青タンができていたり、腫れていて炎症が起きている場合はコールドスプレーや流水で冷やした方が良いです。

反対に、肩こりのような血液の流れが悪くなっている場合には、温めるのが良いです。

怪我で温めるか冷やすかという事については、以前250回の配信でお話していますので、もしよければそちらも参考にしてみてください。

 

湿布はどれくらい効果が続く?

以上を踏まえて、コメントにあった内容についてですが、まず湿布の効果が続く時間は、含まれる成分によって若干違いがありますが、基本的にはおよそ12時間から24時間効くものが多いです。

これは例えば、用量の欄に1日1回とあるお薬だと、丸1日、24時間効くと考えてください。ですので1日2回の場合は12時間で貼り変える、と考えて大丈夫です。

これは処方されたものでも、市販の湿布薬でも同じで、1日何回と書いてある場合は、その時間分効果があると考えると分かりやすいです。

例えば、気管支喘息の胸に貼る貼り薬で24時間効くものでは、お風呂のタイミングではがれてしまうため、お風呂上りに貼って、次の日のお風呂に入るタイミングではがして取り換える、という使い方ができます。

そして、コメントにあった「同じ湿布を何日も貼り続けている」という方ですが、これは単純に、効果が切れて、何も無いものを貼っているだけなので、それほど大きな副作用は起きません。

ちなみに、例外のものだと、ガンによる痛みを和らげる痛み止めの貼り薬があり、これは3日間貼りっぱなしで効果があるというお薬になります。使い方も特殊で、体温が上がると急激に成分が体内に入ってしまうため、3日間使用中のお風呂は40度以下のお湯のお風呂や軽いシャワーで済まさなければなりません。

また同時に電気毛布やカーペットのような、急激に暖かくなるような場所でも同様に体温が上がるため、注意が必要です。

 

湿布の”適量”

コメントにもう一つ「湿布の上に塗り薬を使っている」とありましたが、これは確かに飲み薬で言うなれば、様々なお薬を混ぜて一緒に飲んでいる、ように思われそうですが、これも市販の痛み止めという点に限定すると、ほぼ問題はありません。痛み止め以外だと、効果が変わる場合があるので、用量通りに使用してください。

湿布などの貼り薬、軟膏やクリームを塗る塗り薬、どちらもその箇所に痛み止めの成分がとどまることになります。

一部のお薬では、使った箇所の皮膚から血液に乗って全身に回るというものもありますが、ほとんどの貼り薬も塗り薬も、成分は使った場所にとどまったままで、含有量で言うとごくわずかです。

これは体内に入って効く、飲み薬一つよりも非常にわずかな量で、両肘両膝、両肩、首、腰、頭に1枚ずつと、背中2枚と、全部で全身に10枚程度の湿布を貼ったとしても、同じ成分の痛み止めの飲み薬1錠より少ないことがほとんどです。

痛み止めの貼り薬を使うことで血中に入るお薬の量は、飲み薬に比べるとごくわずかですので、たとえ大量に使ったとしても、飲み薬を大量に飲んだ、というような副作用は起こりません。

それよりも、全身にむやみに貼ると、その箇所かぶれる可能性はあります。

 

貼り薬で貼った箇所の皮膚がかぶれた場合

皮膚が弱い場所だったり、体質的にたまたまお薬の成分が合わなかったという場合、皮膚がかゆくなったり、赤みが出ることがあります。

その場合は一旦使うのを辞めて、違う種類のものを試したり、貼り薬ではなく塗り薬を使うことを検討してみてください。

ちなみに塗り薬を大量に、分厚く塗るのも、前項の痛み止めの貼り薬と同じく、大きな副作用は出ません。

分厚く、濃く塗ったとしても、皮膚から体内に吸収される量はお薬ごとに決まっているため、一度にどれだけの量を塗っても効果は変わりませんが、前述のように痛み止め以外のお薬は、効果が変わる可能性があるので、用量通り使用して下さい。

 

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属