手洗いは効果アリ?感染対策が証明した患者減少の事実#496

Voicy更新しましたっ!

今回は目に見えて分かってきた、これまでの感染対策の効果について

健康情報を声で聞ける!

医療・健康ナビ なくすりーなはこちらから聞いてみて下さいね^^v

 

感染対策の効果は、実際あるの?

covid-19の拡大以降、これまで何度も感染対策について取り上げてきました。

マスク手洗い換気、3密の回避と言ったことですが、今回は実際に、本当に効果があるのか、ということについて、最新情報を踏まえて今一度お伝えしていきます。

現在の諸外国の状況や、covid-19以前の様子等も踏まえつつ、感染対策がどのように効果が出てきたのかを、まとめて行きたいと思います。

 

日本では死者数が減少

まず始めに、日本で一年で亡くなられた方の数、死者数についてですが、去年2020年の死者数は、およそ138万4000人でした。

これは前年度と比べるとおよそ9000人少ない数字です。

日本はそもそも高齢化社会で、死者数は年々増加傾向にありましたが、減少に転じたのです。

特徴的なのがこの内訳で、最も大きく減ったのが肺炎による死者数です。

肺炎での死者数が、前年に比べて1万2000人減少しています。またインフルエンザによる死亡も、2000人減少しています。後述しますが、これは言うまでもなく、飛沫からの感染対策が例年以上に徹底されたことに由来します。

さらには心筋梗塞や脳梗塞による死者も、8000人減っています。

反対に、例年から増えたのが、老衰での死亡で、7000人増加しています。老衰による死亡も年々増加傾向にありましたが、この7000人という数字は特に幅が大きい数字です。

最後に、covid-19による死亡が3500人増、自殺者が750人増、となっています。

 

インフルエンザ、その他感染症の患者数が激減している

以前から度々、インフルエンザがほとんど流行していない、という事について触れていたと思います。

これは日本国外でも同様で、ほとんど流行っていないという事もありますが、現在の国内では、インフルエンザの患者数が46人となっています。

これは昨年の同時期、covid-19が徐々に拡大し始めた頃の患者数はおよそ3万人にも上りました。

また、一般的な胃腸炎や、お子さんに多い溶連菌の患者さんも軒並み大幅に減少しています。

手洗い消毒やマスクでは予防できない性感染症は例外ですが、飛沫や手指から感染するほとんどの感染症は、大きく減少しているのです。

一点だけ、心筋梗塞や脳梗塞での死者も減っていますが、この理由は正直言って分からないです。

ただ一つだけ言えるのは、少なくとも去年のひっ迫した状況でも、救急の体制は整って医療が回っていた可能性が高い、という点です。

もし各地で医療崩壊が起きていれば、心筋梗塞や脳梗塞の処置が例年よりも遅れるケースが増え、結果的にそういった病での死者が増加する可能性が高いためです。

 

covid-19だけが減っていない

そして実は、欧米諸国の死者数と比べると、日本の死者数は大幅に少なくなっています。

これは生活習慣や遺伝子、体質など様々な要因があるので一概には言えませんが、covid-19以外の感染症患者の減少から見ても、日本の感染症対策は奏功していると言って良いかと思います。

ただし、その感染症対策をもってしても、ひとたび気を抜けば集団感染、クラスターが起きるのがcovid-19です。

以前お伝えしたことにも重なりますが、これほどまで感染力が強く、拡散するウイルスは未だかつてありませんので、引き続き、これまでのような感染症対策が必要なのです。

 

医療体制、社会の意識

最後に、日本の医療体制や日常生活についてですが、まず医療体制で言うと、死者数が例年よりも減少していると言う観点で、命を守るという点で見ると、及第点と言えると思います。

前述の、心筋梗塞や脳梗塞での死者数が減少していることからも、それほど大きな影響は出ずに済んだと考えられます。

そして日常生活においてですが、例えば一般のお店や企業でも、今はアルコール消毒が置いてあったり、非接触型の検温チェックがほぼ当たり前になっていると思います。

また同時に、職種によっては出社せずにテレワークに切り替えることも今では充分出来ていると思います。

言い換えれば、熱がある時は外出しない、どこにも行かないという文化が定着しつつあるという事です。

以前から、体調不良の時には診断書が無いと休めないとか、インフルエンザと診断されないと休めない、という事が問題でしたが、covid-19によってテレワークが推進されたり、外出自粛という言葉が定着してきたことで、結果的に休みやすくなり、感染を抑えることに繋がりました。

ただそれでも、中には熱が出ても解熱剤を飲んで無理やり出社するという方もいるようです。

言うまでもありませんが、熱が出るという事は、風邪やインフルエンザ、covid-19など何らかの感染症が体内で起きていることの表れですので、解熱剤で熱を下げたら安全という事はなく、感染力を持っていて他の人にうつす可能性は充分あります。

ですので、体調不良の時には、しっかりと安静にして休める仕組み作りは、これからも絶対必要になります。

個人個人の感染症対策は、結果として充分有効だったと言えます。だからこそ、これからも、このような対策を続けて行く必要があります。

マスクをつける、手洗い手指消毒をする、3密を避ける、と言った基本的なことを、是非これからも継続して続けて行きましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属