二重マスク?ウレタンマスク?効果はどの程度?#486

Voicy更新しましたっ!

今回は頂いたコメントにも関連して、現時点で分かっている、マスクについての最新情報のお話

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「二重」にマスクをする?

今回は久々に、マスクそのものについて、現時点での情報をまとめながらお話していきます。

まずコメントで頂いたのが「二重にマスクをつけている人がちらほら居た」というものです。

確かに、マスクを2枚重ねにしている人が少なからず居て、少し気にもなっていたので、今回はこの二重マスクを中心にいくつかまとめてみたいと思います。

変異ウイルスの対策に二重マスクが推奨

単純に、マスクを2枚に重ねることで、1枚の時よりも防御効果が高まる、と思われそうですが、これは確かに一理あると思います。

もっと言うと、アメリカの疾病対策センター、略称でCDCというところが、南アフリカで確認された変異株の対策として、二重マスクを推奨する”可能性がある”と発表したのです。

ただ、これについてもう少し調べてみると、あくまでも常識にかなうという程度で、正式に推奨するほどのデータは無い、とも同時に発表しています。

つまり、根拠が一切ない、という事になります。

さらに言うとこの発表自体、アメリカ国内でのマスクの利権に絡んだ人から出たもので、利益のための発表の恐れもあるとされています。

ですので現状では、確実に効果があるとは言えません。

感染対策以外だと、ファッションのため、ウレタンマスクの下に不織布マスクをする人もいます。不織布マスクの高い効果を得つつ、その上におしゃれなデザインのマスクをつけるのです。

二重マスクの効果

二重にマスクをすることで、感染対策が一層強まるというのは、根拠はありませんが可能性があるとは思います。

単純に、息苦しくて空気の通りが良くないという事になり、その分飛沫の通りも遮られることになるためです。

ただ、費用対効果、コストパフォーマンスで考えると微妙なところがあります。

具体的に言うと、例えば花粉を例に上げると、おそらく大半の不織布マスクは99%防御できる、と宣伝されています。

これを2枚重ねると、99%のものが2枚で、99.99%の防御になります。

1枚で99%のものを2枚にしても、1%弱しか上がらないということは、正直に言うと誤差のレベルだと思います。

そしてもう一つ重要なのが、呼吸の時に取り入れる空気の量です。

マスクが1枚であっても2枚であっても、肺に必要な空気の量は変わりません。

マスクを2枚にしてフィルターが一つ多くなったとしても、結局は同じ量の空気が体内に入るため、感染をする可能性は充分残されているのです。

これはあくまでも、不織布マスクで、きちんとした付け方をしている前提ですが、それで言うとマスクの枚数は1枚で充分だと思います。

ウレタンマスクの効果

マスクと言えばもう一つ、ウレタンマスクの問題が最近は話題だと思います。

不織布でも色が若干違うものがありますが、ウレタンのマスクはおしゃれなロゴや柄が入っていて、ファッション性のある様々なデザインのものがあります。

ただ、最近ではそれを良く思わず、ウレタンマスクをつけていることだけを注意する方も、一部で居るようです。

voicyでも度々、ウレタンマスクは不織布に比べて効果が落ちるとお伝えしましたが、これの正確なシミュレーションが、スーパーコンピュータでされていました。

エアロゾルレベルのわずかな飛沫をどれだけ防ぐか、という実験で、N95マスクやサージカルマスク、不織布マスクだと、0.3から0.5μの大きさのエアロゾルをいずれも90%以上カットした、とされています。

次いで布系のマスク、ガーゼやポリエステルと言ったもので15%前後カットしたとなり、最初の不織布等のマスクよりも大幅に落ちることが現れています。

そして、ウレタンのマスクが、1%未満しかカットできなかった、とされています。

大きな飛沫は防げますが、エアロゾルレベルの飛沫はほとんど防げないということになります。

これでは少なくとも、covid-19の対策としては不十分で、自分の無症状感染からの拡大を防ぐのも、外からの防御としても、どちらもほとんど役に立っていないのです。

大きな飛沫を防ぐのには役立つ

ただ、繰り返しになりますが、ウレタンのマスクでも大きな飛沫は防げますので、大きな飛沫だけが不安な状態であれば効果はあります。

例えば、外を歩いている時に誰かとすれ違うとか、換気が充分な屋内で何人かと過ごす、と言うような場合では、つける意味はあります。

ウレタンマスクは当初から、不織布マスクよりも呼吸がしやすいのが長所でしたが、それは言い換えればその分、色んなものを通しやすいためで、感染力のあるエアロゾルも当然、通しやすいのです。

全く無意味ではありませんので、時と場合に応じて、不織布マスクと使い分けるようにするのがベストです。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属