朝晩冷える時期!ヒートショックに注意!#473

Voicy更新しましたっ!

今回は、今時期に一番気を付けたい、ヒートショックのお話

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中高年以上の方は特に気を付けたい「ヒートショック」

つい先日、gotoトラベルが年末年始に全国で一斉停止が発表されました。

感染者数も依然として高い数値ですので、引き続き、しっかりと感染対策をしてください。

ただ今回も、扱うのはcovid-19では無く、今の時期に一番注意したい「ヒートショック」についてです。

簡単に言うと、部屋の温度差によって血圧が急変して、心臓や血管に悪い影響が出る、という事です。

喫煙者の方や中高年、高齢者の方、心臓や血管に不安のある方は是非、充分に注意してください。

ヒートショックとは

急激な部屋の温度差とは、家の中では例えば朝起きた時、布団やベッドで暖かくして寝ていた寝室から冷え切ったトイレや玄関口に行くとか、ゴミ捨てにパッと外に出る、と言うような場合です。

今まで長時間過ごしていた暖かい部屋から、急激に温度が下がった環境に変わる時、血管が急激に収縮します。

血管が縮むという事は血液の流れが一気に悪くなることになり、心臓のポンプの圧力が高まります。

これが血圧が上がる、と言う状況ですので、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞と言った重大な病の引き金になり得ます。

また、お家の中でもう一つ重要な、お風呂場の脱衣所は特に厄介です。

暖かい居間から脱衣所に行って服を脱ぐことで、一旦急激に血圧が上がり、そこから暖かいお風呂に入ることで、縮んだ血管が反対に一気に開いてしまい、急激に血圧が下がります。

これによって、瞬間的に脳に血液が行かなくなり、立ちくらみをして転倒するとか、最悪失神することになります。万が一、湯船に浸かっている最中に失神してしまうと、そのまま溺れるという可能性もあります。

さらに言うと、暖かいお風呂にしっかりと浸かった後でも、再度冷たい脱衣所に出てしまうと同じように、血圧が急激に上がります。

そして、このヒートショックが一番起こりやすい時期が、まさに11月から2月の、冬の一番厳しい時期になります。

年齢層は65歳以上の方が85%を占めますが、高血圧や糖尿病と言った生活習慣病の恐れがある方や、不整脈や動脈硬化のような心臓、血管に不安のある方はリスクが高まります。

また、前項のお風呂の例で言うと熱いお風呂、高めの温度のお風呂が好きな人も気を付けた方が良いかと思います。

寒暖差をなくすこと

ヒートショックの対策は一点だけ、「温度差を少なくすること」に尽きます。

冬場だけ、トイレや脱衣所に暖房をつけるとか、浴室の扉を少しだけ開けて脱衣所の温度を高めるだけでもおすすめです。

扉を開けるのは結露の問題もあるので少し難しいですが、短時間の間だけでも温度が上がれば充分効果はあります。

また、湯船にお湯を入れても、浴室内そのものの温度が低くて寒いという場合には、蛇口からお湯を貼るのではなく熱めのシャワーで湯船にお湯を入れると、お風呂場全体の温度が高まります。

お風呂の温度については、41度以上だと事故が一気に増えることが分かっているので、数字で言うと40度以下だと安全です。

熱めのお湯が好きな方だと物足りないかもしれませんが、高い温度のお湯は体に負担にもなるので、不安があれば見直してみるのも一つです。

さらにもう一つ、お風呂の入り方についてですが、日没の前、夕食前あたりの時間帯は、家の中も外も比較的暖かい時間なので、そのときにお風呂に入るとより安全です。

反対に、ご飯を食べた後、食後すぐとか飲酒した後の入浴は避けた方が良いです。食後およそ1時間ほど待ってから入るのがベストです。

食事や飲酒をした直後は、一時的に血管が広がるため、そのときにお風呂などで不意に血圧が急変するのは、普段よりもリスクが高いと言う特徴があります。

ヒートショックによる浴室の事故で、年間1万人以上の方が亡くなっている

お風呂場についての事が多いですが、実はヒートショックによる浴室内の事故で亡くなる方は、年間14000人ほどとされ、これは毎年交通事故で無くなる方の2倍近い数字になります。

さらに、この数字はお風呂場だけの数字で、最初に書いた寝起きのトイレや玄関口、ゴミ捨てと言うような場面で亡くなった方も含めるとさらに多い数字になります。

急な心筋梗塞や脳梗塞による突然死、という事態を防ぐためには、早めに救急車を呼ぶことが必要です。

例えば高齢者の場合は、お風呂に入る時は家族に先に一声かけて、何かあった時には分かるようにするとか、一人の時には入らないという対策ができます。

寝る時も、可能であれば家族が同じ寝室で寝るようにすると、朝早起きしたときや、トイレに目覚めた時に隣にいないことに気づいて、発見が早まる可能性があります。

感染対策が、命を救うことに繋がる

最後に、以前の回に少し重なりますが、現在は全国的にcovid-19によって、医療がひっ迫している状況にあります。

感染が広がり入院患者が増えるという事は、一般病床と言う、普通のその他の病気の患者さんが入院できるベッドが埋まることに繋がり、結果的に救急の機能が低下することになります。

今回の例で言うと、血圧の安定のために少しだけ入院が必要、という場合でも、入院出来る病院がなかなか見つからず、徐々に容体が悪化してしまう、と言った事態も充分起こり得ます。

このような事態こそが「助けられる命が助けられなくなる」という事です。

ですので、この意味でも、依然として引き続き、しっかりと感染対策をして行きましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属