肺炎ってどんな病気なの?#407

Voicy更新しましたっ!

今回はcovid-19から、今一度おさらいしておきたい「肺炎」という病

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「肺炎」とは

voicyでも以前270回目などで度々登場していた「肺炎」という病ですが、今回はこのcovid-19の中、肺炎について今一度おさらいしたいと思います。

最初に肺という臓器は、空気中にある酸素と対をなす、二酸化炭素を交換する場所、となります。

体内にある二酸化炭素を血液によって肺に送って、そして呼吸で肺に取り込んだ酸素と置き換えて、再度肺から血液によって全身に酸素を送る、という仕組みです。

そして、酸素と二酸化炭素を交換する、袋のようになっている一番小さい末端部分が「肺胞(はいほう)」で、これがたくさん集まって肺を形成しています。

この肺胞に炎症が起こったというのが、肺炎です。

 

呼吸が出来なくなる

肺胞に炎症が起こると、当然ですが酸素と二酸化炭素の交換ができなくなるため、呼吸が出来なくなります。

少量の、わずかな肺胞の炎症であれば、強い息苦しさを感じる程度ですが、万が一ほとんどの肺胞に炎症が起きれば、息が出来ないのと同じことになり、死に至ります。

肺炎の原因はウイルスや細菌に感染したり、誤嚥性肺炎という食べ物が肺に入ってしまうことで起こるなど、いくつかあります。

通常は、呼吸をしても鼻や喉の粘膜があるため、病原菌が入ろうとしても鼻水や咳、痰と言ったもので肺や体内に入らないように守ってくれます。

仮に入ったとしても血液にある白血球の働きによって、ウイルスを攻撃して肺などの臓器を守ります。

しかし、栄養、睡眠不足やストレスで免疫力が落ちている時とか、強い咳をしても異物が外に出せない場合、さらに加齢によってそもそも咳をするのが難しい、と言った場合では、肺胞まで到達してしまい、肺炎となるのです。

 

市中肺炎・院内肺炎

肺炎の具体的な種類については、270回目の配信でも紹介した、ウイルス性肺炎、非定型肺炎、誤嚥性肺炎、そして分類として市中肺炎と院内肺炎があります。

「市中肺炎」「院内肺炎」ですが、まず後者の院内肺炎は、文字通り病院内で起きた肺炎で、前者の市中肺炎は、普通の生活をしていて発症した肺炎です。

普通の風邪やcovid-19のように、普段通りの生活で発症したというケースで、どこからどのようにして肺炎になったか分からない、というのが市中肺炎です。

そして以前ご紹介した、普通の風邪やインフルエンザからの肺炎となる細菌性肺炎ウイルス性肺炎、マイコプラズマのような、細菌でもウイルスでもない微生物による非定型肺炎、食べ物が肺に入って咳で吐き出せず、とどまってしまうことで炎症となる誤嚥性肺炎、と続きます。

ちなみに一般的な肺炎とは少し違いますが、閉塞性肺炎という種類もあります。

肺までの通り道がガンなど何らかの原因でふさがってしまい、その奥にある肺胞に炎症が起きる肺炎で、これは肺がんのような、肺炎ではない別の病の時に起こるもので、普通の生活している中では起きないタイプになります。

肺炎の典型的な症状としては、まず38度以上の高熱が出る、そして痰が緑色とか錆のような色でかなり汚れた感じな場合、そして息苦しさがあるとか息切れがひどい、胸が痛いと言った症状です。

普通の風邪の症状とも似ているので見分けをつけるのが難しいですが、痰の色がおかしい、または胸が痛い、息苦しい時は、肺で炎症が起きている可能性が高いので、注意してみてください。

 

肺炎の予防・ワクチン

270回でも触れましたが、肺炎はウイルスや細菌によることが多いため、ワクチンもあります。

肺炎用には肺炎球菌ワクチン、また水ぼうそう、水痘ワクチンも肺炎予防につながり、インフルエンザワクチンももちろん効果的です。

ただ当然ながら、ワクチンを打っても予防できるのは、それらのウイルスによる肺炎で、今回のcovid-19などのようなその他のウイルスによる肺炎を予防するのは、難しいですが一応は可能です。

例えば、やはり一番に上がるのが「たばこ」です。もし今絶対肺炎になりたくない、という方でたばこを吸っているのであれば、まず最初に禁煙をすることから始めるのが非常におすすめです。

逆に言うと、もともとたばこを吸っていない人は、ある程度予防が出来ていると考えても良いほどで、肺炎になりづらい、かかったとしても重症化しづらいことは確定しています。

重症化のしやすさで言えば、たばこを吸っているほうが圧倒的に高いのです。

それ以外だと、やはり風邪の予防、対策とほとんど同じです。

手洗いや消毒、飲みうがいですが、口の中を清潔にしておくのもかなり効果的で、例えば歯磨きで歯茎や頬、舌の裏も念入りに洗うようにするとかはおすすめです。

これは特に、高齢者に起きやすい肺炎を予防するのに最適で、口の中にある菌がつばを飲んだときに肺に入ってしまい、結果として誤嚥性肺炎に至るケースがまれにあります。

歯磨きの介助をする際などには、口の中をきれいにするのも意識してみてください。

あとはもちろん、バランスのいい食事と充分な睡眠をとって、免疫力を高めるのも肺炎予防になります。

 

飲み込む力を高めて誤嚥性肺炎予防

最後に、先ほどの誤嚥性肺炎に関連してもう一つ、飲み込む力を高めるのも、一つの対策になります。

これは実際に、飲み込む力をつける訓練、リハビリのメニューというものが存在します。誰でもすぐに力がつくというわけではないですが、もし不安があれば検討してみてください。

また、しっかりとよく噛んで食べることも重要ですが、誤嚥をしにくいようにとろみをつけるとか、普段よりも細かく刻んでみるといった工夫も誤嚥性肺炎予防につながります。

お年寄りの方は、肺炎による発熱がほとんどないとか、微熱ぐらいのことがあります。

加えて、少し元気がないとか食欲がないと言った、かすかな症状しか無いのに肺炎にかかっているというケースが多いので、普段から気を付けてみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属